見出し画像

あなた場違いじゃないですか。

はい。ということで久々にバトルの件も書いていこうと思う。今回の話題はBATTLE SUMMIT。賞金1000万という過去に類を見ないほどの金額で行われるMCバトルとなる。戦極やUMBといった古くからの大会がヘッズたちの主人公を決め、KOKが最も格好いいMCを決め、凱旋といういい意味で敷居を下げた大会で、Adrenalineのような音楽性も求められるといった各大会でそれぞれの個性が際立つMCバトルが行われている。
その中でやはり1000万というのはMCバトルの成熟化、そしてそれだけ多くの人にバトルというイベントが親しみを持って迎えられているという証左だろう。実際に参戦するMCたちもバトルで実績を残している方から、普段は音源やLIVEを中心に活動するMCまで幅広く参戦する。
そんな中で、一人どう頑張っても場違いではないかと思ってしまうMCが居るのだ。それががーどまんである。まあ、ベルも場違い感は強いが確実にラッパーとして成長をしているのを見るとなんだか微笑ましいので、当アカウントではベルを応援していこうと思います。

そもそもがーどまんってMCとしてどうなんですか

YouTuberであり、ラッパーでもあるというがーどまん。
彼のMCとしての実力を問われると、必ずしもバトルにおいて弱いとは言い切れない。中には曲も良いという話もあるくらいなので、少なくともずぶの素人というわけでは無いし、また時折評価の高いバトルをすることもある。
KOK2018の西日本予選ではUMB2017でかましたふぁんくさんにも勝利、出場権を獲得するなどバトルMCとしての実績は時折大物を食う事だってあるくらいだ。
呂布さんとのバトルではいわゆる「YouTuberかどうか」という不毛な争いはもはや定番となっているし、大御所MCに噛みついてバチバチのバトルを展開しようとする部分は確かに好感が持てる部分もあるにはある。また、知名度を活かしてラップやフリースタイルという分野に多くの人が入るきっかけになったことは否めない。
それでもだ。私はどうしても彼が場違いだと感じてしまう。少なくとも1000万という賞金を賭けた戦いには相応しくはないと感じるくらいには。
では、何故そう思うのかを次の項目で語ろう。

集客力以外に単純にMCとして特徴が無い

彼がバトルMCとして選ばれることは、イベントを行う側としては集客力という面において大きな期待を持つことができる「コンテンツ」となる。だが、がーどまんがこのバトルイベントにおいて期待される部分はそこだけのような気がしてならないのだ。
単純にMCとして特徴が無いともいえる。とはいっても、バチバチなスタイル・対話ができる・即興性が高い・実力はあると様々な反論がある事だろう。それらを踏まえてそれらの意見に対して個人的な見解を述べたいと思う。

バチバチの熱いスタイル

MCバトルにおいて近年、どうしてもイツメンが多くなってしまう風潮の中で、がーどまんのようにバチバチで戦うMCというのは確かに珍しい。しかしだ。熱くバチバチのスタイルで言うならば、ベルも年上のMCに対して臆せず立ち向かっていくし、SIMON JAPさんや晋平さんだってバチバチで熱いバトルを繰り広げる。CIMAさんや輪入道さんだってそうした類のMCである。
別に彼だから求められているという部分ではない。

対話力がある

近年のMCバトルはよりフィギュアスケートのような上手く着地できればポイント、的なスポーツのような部分が出て来ているのは事実だ。その中で、バトルの中で「対話」が生まれることは多くなくなってきている。
確かにがーどまんはそういう部分では相手の揚げ足を取りながらも、きっちりとアンサーを返すMCではある。しかしだ。だからといってその部分でトップレベルというわけでもない。対話しつつ相手を自分の土俵に引きずり込むのが上手いGOMESSさんや、口喧嘩という部分で揚げ足取りが上手いのが呂布さん、相手の意見をがっちりと受け止めた上で上回っていくのが輪入道さん。男気を見せながら相手と丁寧に向き合う早雲さんもまた、対話型のMCとしては極めて素晴らしい。
残念ながら、彼らと比較した際にがーどまんは対話能力があるとも思えないのだ。揚げ足取りだけが対話ではない。

即興性が高い・落としが上手い

これもまた、彼の評価の中でよく聞く内容である。相手の揚げ足を取ってその上で、ラップで返すという点で確かに彼の即興性と頭の回転は確かに評価すべきところではあるだろう。だが、即興性が高いMCといえばミメイもそうだし、TKda黒ぶちさんの即興性の高さは特筆すべきものがある。
また、同様にスキルで落としが上手いというのがあるが、残念なことにこれもまた突出しているとは言えない。例えばいわゆる00世代は似たり寄ったりとまでは言わないが、スキルフルなMCが多くいるし、大阪のMCは結構韻を踏むのが上手いMCはたくさんいる。FORKさんやT-TANGGさんといった韻が硬く落としが上手いMCはごまんといる。即興で文脈を通した上で相手と対話するスキルならば晋平さんの土俵だ。

その他を探しても、結局彼がMCとして突出する部分を私は残念ながら見つけることができなかった。
とはいっても、こうした突出する部分が無くてもMCとしてある程度盛り上げてくれるという面は確かにあるのだろう。だが、別に彼でなくてもいいんじゃないのとやっぱり思ってしまう。人気という面で他のMCより優れていたとしても、である。
どうしてここまで場違い感が出てしまっているのだろうか。それも併せて考えていこう。

際立つ「一生懸命やっています」感

別に私は彼がYouTuberの分際でラッパーやってんじゃねえよというつもりはない。今では呂布さんに晋平さんにフランケンさんもYouTubeをやりながらラッパーとしても活動をしている。また、YouTuberの方が先だったMCとしてSILENT KILLA JOINTさんもいる。
それと「大麻持ち込むな騒動」は確かに自分の中で彼の評価が落ちる一要素ではあったが(正直あれはバトルとしては作戦勝ちだがダサい以外の何物でもないと思う)、それもBATTLE SUMMITの場違い感を醸し出している直接的な原因にはならない。DOTAMAさんのようにねちっこいラップやSAMさんのように「俺は使わなくても格好いいラップができるぜ」と言いながら本当に格好いいラップで観客の心を掴んでいる。
では、何が問題なのだろうか。それは彼の中から出てくる「一生懸命やっています」という雰囲気をいつも出してくる点だ。単純に口げんかして勝ちました・負けましたというのはバトルの一部にしか過ぎないし、フロウや韻にトラップ、パンチラインと言った様々な「音楽的要素」を含めた様々な要素で成り立っている。

MCバトルは熱さだけが全てではない。IDさんやMU-TONさんのようなフロウを存分に活かした格好いいラップ、GADOROさんのように自らをさらけ出しながらもスキルフルなラップ。あくまでも「熱さ」は要素の一つに過ぎない。逆にそれだけを押し付けられても私は困る。

むしろそれ以上にいかに「格好良いか」をMCには求められる。少なくとも1000万という賞金がかけられるBATTLE SUMMITという大会は、その日ラップそのものが格好いいかどうかという事によって決まるべきだ。では、がーどまんはどうだろうか。残念だが、彼からその「格好良さ」を感じたことは無い。伝わるのはただ一生懸命やっている、ということだけだ。

なんなら出場しているMCは全員大なり小なり一生懸命やっている。

別に彼だけが特別な訳ではないし、「がーどまんだから」というオリジナル感も無い。多分、私が彼のBATTLE SUMMIT参戦するにあたって場違いだなと感じてしまうのはそういうところが原因なんだと思う。

1回戦の相手はMU-TON

そうはいっても「ネットで叩いているだけのお前が何言ってんだ」みたいなことを言ってくる人はいるだろう。確かにそうだとは思うが、それでも私は彼から格好良さを一つも感じないのだ。理由は先ほど説明した通り。別にそれでもがーどまんが好きなのは構わないし、YouTuberとしての成功まで否定するつもりはない。
ただ、ラッパーとしてのがーどまんを格好良いということは出来ないし、今大会で一番場違いな男だと感じた。反論は大いに結構だが恐らく彼に対する印象が変わることは多分ないと思う。
そんな彼の1回戦の対戦相手はあのMU-TONさんだ。「あの禁じ手」を使ってから早くも8カ月以上。ある意味で禁断の一戦となるこの試合はどうなるのか。

もちろん私はMU-TONさんを応援したいと思います。
それでは。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?