身長ー体重=110が標準体型は健康的にはマジ無理ゲーって話

TikTokやYouTubeなどのショート動画で、こんな歌を聞いたことがあるだろうか。

『身長ひく体重イコール~♪ 110が標準体型らしい~♪……
\ドンッ/   セーフ~♪』

マジか。いや、本当に?
私の周りの人たちを見るに、体型管理に相当気をつかっている人でないと、身長ー体重=110を上回るのは難しいのではないだろうか。
そんな値が「標準」なのは間違っている気がする。というか、そもそも何をもってして標準とされているのか?

ダイエットに悩むすべての人のために、本記事において検証していきたいと思う。
文字を読むのはだるい!という人は、図とまとめを読むことをお勧めする。

疑問①「標準体重」の医学的根拠は?

医学的には、最も健康リスクの低い体重が定められている。これはBMIという指標で表され、身長と体重から計算することができる。学校の授業で計算したことのある人もいるのではないだろうか。
BMIは、体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)で求められる
私の場合、身長158cmで、体重が56kg(諸説あり)なので、
56÷1.58÷1.58 とスマホの電卓に打ち込む。
すると、22.43…という数値が出力された。これが私のBMIだ。読者の皆さんも、いったんこの記事をブックマークした上で電卓を開き、計算してみてほしい。
計算できたかな?
さて、問題はこの数値がどう評価されるかだ。
WHO(世界保健機関)によると、BMIが25を超えると過体重、30を超えると肥満となり、糖尿病や高血圧など、おなじみの生活習慣病のリスクが高まるとされている。一方で、日本肥満学会によると、アジア人の体質を加味した上で、25以上を肥満としている。
下限をみると、BMIが18.5を下回ると痩せすぎとなり、健康リスクが高まるそうだ。痩せすぎによる健康上の問題として、貧血や骨粗鬆症、女性の場合は無月経などがあげられる。さらに、これはエピジェネティクスの観点から有名な話だが、母体の低栄養が、子の肥満につながるというデータもある。母体の飢餓に応答して、胎児の遺伝子発現動態が変化し、よりエネルギーを節約する体質になることで、胎児が将来太りやすくなるというメカニズムのようだ。
つまり、健康リスクの低い体重はBMI18.5~25となる。
さらに、諸説あるが、最も病気になりにくいのはBMI22とも言われているらしい。なんと!私は今、一番健康なのか。。。

疑問②身長ー体重とBMIの関係は?

では、BMIと身長ー体重=110の以下「標準体型」との関係はどうなっているのだろうか?
プログラミングソフト「R」を使って、可視化してみた。
まず、横軸に身長、縦軸に体重をとり、身長ごとの「標準体型」をプロットした。同様に、やせ型の基準とされるBMI18.5、最もリスクの低い体型とされるBMI22、肥満の基準とされるBMI25となる体重をプロットした。
すると、下のグラフ(図1)が出力された。

図1 各指標のプロット

「標準体型」は、ほぼすべての体重でBMI22よりもやせ型であり、さらに、身長155cm以下では、「標準体型」は医学的に危険なやせ型であるBMI18.5を下回る体重であることがわかる。
下が、よりわかりやすくするためエリアごとに色を塗った図だ。

図2 段階ごとに色を塗った図 

緑色…「標準体重」よりは重いが健康リスクは低い
青色…肥満(健康リスクあり)
赤色…やせ型(健康リスクあり)
紫色…「標準体重」を満たし、健康リスクが低い
となる。
読者の皆さんには、グラフ中から自分の身長と体重を探し、何色に属するかを確認してほしい。健康リスクの低い「標準体重」であることがどんなに困難か、おわかりいただけただろうか。

まとめ

上のグラフから、「標準体型」に届かず悩む皆さんに以下の2点のアドバイスができる。
もしあなたが身長150cm前半ならば、「標準体型」は目指すべきではない。なぜならば、健康リスクが高いからだ。
もしあなたが身長180cm以下ならば、「標準体型」よりも多少体重が重かったとしても、気に病む必要はない。医学的な肥満には程遠い場合が多いからだ。

さらに、厚生労働省が若い女性のやせすぎに警鐘を鳴らしたのは記憶に新しい。(https://news.yahoo.co.jp/articles/e2314ade0aabbdaaa6c9b6447beb5e17cdf1de72)

SNS上では、体型は個人の自由と反発する女性も多かったが、その自由は健康リスクと天秤にかけられるものだろうか?
最近は、筋肉量を増やすためのトレーニングも流行っている。数字上痩せている必要があるという美の概念を見直すとともに、「機能美」の再評価をする必要がある。


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