見出し画像

点字絵本ボランティア〜お金儲けじゃないことを始めてみます〜

娘の小学校からお知らせメールがきた。

「点字絵本ボランティアをしませんか?」

日常生活で「点字」を意識したことはなかったし、別の国の言葉のような捉え方をしていた。知っていたのは、駅のホームの点字ブロック、公共施設に点字版があることくらいだ。最近は調味料、飲料水など食品にも多く点字が付けられているようだ。

点字に関して知識皆無の私だが、「点字絵本」というワードにはちょっとひっかかった。

絵本は子どもの読みもの、点字は目の見えない人のためにあるもの、こんなざっくりした理解しかなかったが、これらがくっ付くとよく分からなかった。
絵はどうするんだろ?
子どもが見えないのか?
お母さんが見えないのか?
これを作るって、手作業なの?
などなど。

とりあえずこの疑問を解消するには、自分で見てみようと体験会に申し込んだ。

体験会当日、20人ほどのお母さんたちが集まっていた。先生と思われる人は6人ほど。ほとんどがかなり年配。と思っていたら、「私の孫がこの学校に通っています」という先生が多かった。数人の先生から「先生」と呼ばれる人は86歳だという。
「次の回では生きているかわかりませんので、あと一年くらいで点字を習得してください、私はカーブスに行って頑張ります」と声をかけられた。


点字絵本

現物はこんな風に、市販絵本の文字の下に手打ちした点字シールを貼っていく。そして絵は主要な部分に転写シートを乗せてなぞる、それをまたシールに転写。出来たものを間違えのないように絵本に貼り付けていく。

手順を知るだけでも気の遠くなるような作業だった。しかし、これができるようになるまでには、まだまだ時間がかかるらしい話を聞いて、普段は前のめりな私も、話を聞きながら椅子を後ろに下げてしまった。

点字の教科書

それはこの本を見せられた時だ。点字がきちんと打てるようになるためには、この本でルールを学んだ方がいいという。そらそうかと思うが、ちょっとした疑問解決のために覗いた世界で、ここまでやる覚悟はまだなかった。

話は変わるが、前から一つ引っかかっていた言葉を思い出した。

「あなたはなにかボランティアしてる?カナダでは普通よ」

英会話をしていた時の先生が言ってた話だ。その先生は、学校に行けない子どもたちと、外に出て一緒に過ごすというボランティアをしていた。特別な教育などではなく、一緒に買い物したり、おしゃべりしたり。日頃、ガツガツ稼いで、余裕があるからそれをしているという雰囲気ではない。ただ、定期的に会う人との関係や、そこで起こることを楽しんでいるというだけ。そういう雰囲気がカナダの日常にはあるらしい。

「そうだな」と思った。仕事したり、投資したり色々お金を稼ぐことはしているけど、お金と切り離した時間があってもいいなと思った。動機は曖昧だけど、娘が小さい頃はたくさん絵本を読んだし、目の見えない人でも同じように絵本を楽しむ時期があってほしい、という気持ちはすごくある。いつになったら自分の点字絵本が、点字図書館に並ぶのかも分からないけど、「自分のペースで、焦ることなく、気負うことなくね」という言葉に誘われて、ゆるい一歩を出してみようと思う。六つの点で全てが表される世界へ。

点字を打つ道具、最初に抱いた疑問はおいおい分かっていきたい。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?