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私にできること

「丸山さぁ〜ん、丸山誠二さ〜ん(仮名)」
「おはようございます」
「お待たせしました」
「こちらにどうぞ」
「ゆっくりでいいですよ」
「おかばん持ちますね」
「オレンジの椅子に腰掛けてください」
「今日は前回の検査結果を聞かれるんですね」
「先に血圧測りましょう」
「134/76、いつもと同じくらいですね」

10年以上ぶりにナースとして発した言葉。
自分の耳に聴こえてくる自分の声は結構美声(笑)だった。
声を発する前までは私にできるのか?と自分を疑っていたが、案外よかった。
いつもは声が低くて、そのうち森の悪い魔女みたいな、しわがれた声になると思っていたけど。

期間限定の頼まれナースなので、業務内容も限られている。
患者さんの血圧、誘導、カルテを回すくらいだ。
正直、誰でもできるやぁ〜んとなる。看護師免許なんていらない内容!
それでも、現場に戻って「ナース」として患者さんに接している自分が新鮮だった。そして少し高めの澄んだ声で話せるように心がけた。
「斎藤さぁ〜ん(仮名)、おはようございます」
と言ってニコっとしよう。


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