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ラノベ#4話

前回のあらすじ:感電した事とイスから落ちる以外は特に何も起きなかった


    【魔王様は倒されたい#4】




『どうです!?初出勤、頑張ってますか〜???』

普段ならストレスを感じる様な声だが、これだけ暇なので喋り相手がいるのはありがたい。

「いや、“頑張ってますか?”とか言われても頑張り様が無いよ。で、何か用?」
と小言を言ってる顔が嬉しそうな自分に気づく。

『いや、昨日はですね、引き継ぎの途中で目を覚まされたでしょ?まだ、説明が出来ていない事がありまして』


(それならもちょっと早く出て来いよな〜。)
そう思ったが、会話を進ませたいので飲み込んだ。
「やっぱり。どうりで説明されてない事だらけだと思ったよ!!」

『ええ、まず、下半身なんですけど、、。
下半身は黒い獣の様な毛に覆われてますよね。
それ、、、
そういうズボンを履いてると思います??
それとも、直接生えてると思います??』


「ぅ〜ん?、、、直接、生えて、、る。」


   『そ う な ん で す!』

「ほぉ〜。。。。」




『あ、それでね、《下半身は毛に覆われてる》って言い方さっきしましたけど、、
その体毛、生え際がヘソのちょうど下くらいから始まってますよね?
でも、普通、普通ね、ヘソの真下は下半身とは呼ばないですよね?
下っ腹とか言いますよね?

でも《下半身は毛に覆われてる》て言い方やとヘソの下も下半身に含まれてる感じの言い方ですよね?
ここまでOKですかね?』

「え?と、多分、、OKです。あれですよね?
毛に覆われてるの、下半身限定で言ってるけど、下半身だけでなく、上半身にも一部食い込んでるやん。みたいな事ですかね?」

『そうそうそう。。ん??え、合ってる??
、、、合ってるか。合って、、?いや、アレですよ?下半身の基準みたいな話ですよ?』

「ま、あの、とりあえず続けて下さい」


『ま、その、魔王の上半身と下半身の境目はどこになるのか?て事なんですけど、
ここの、獣の毛の生え際基準やと思います?もう、“ヘソの下も毛が生えてるから下半身や!”て事ね。

それとも人と同じ腰から下派??
“ヘソの下は毛に覆われてるけど、コレは上半身に毛が食い込んで来てる”て事ね。

これ、どっちだと思います??』



「うーわ。。どっちやろう???
でも、、、うぅ〜ん。。人間と同じ、腰から下なんかな?と思います」

『それね、、、前の魔王と同じ意見です。
2人もそう言うって事は、、、きっと、そうなんでしょうね。』


「、、、、、あ、答えは無い感じですか?」

『はい。気になってたんで。』



       やばい。

  め ちゃ くちゃ  楽しい。



会話出来るって最高だ。

『あ、あとね、ワザと死ぬと現実世界でも死にます』

    「ソレ最初に言えや!!!」

思わず繰り出される魔王閻殺ビンタが、テニスボールサイズのレバ刺しボディにジャストミートし、5回ほど壁や天井を跳弾し最終的に床にめり込む。
床に出来たクレーターやボロボロになったレバ刺しの体にザザっとノイズが走り、何事も無かったかの様に元に戻った。


『あと、ツノにも神経が通ってます』

「いや、まだや!まだ!!現実世界でも死ぬ云々の説明が全く消化されて無いんよ!次に行くな!!」

『え?あぁ、でも、あくまで“ワザと”死んだ場合ですよ??
勇者に倒された場合は大丈夫です!
いわば、魔王を辞めたいからってゲーム内で自爆とか自殺とかされたら困るんで、防止策です。
例えば、部屋から出ようとしたら結界に阻まれますよね?
あれ、痛みも感じますけど実際HPも減っちゃうんです。
ワザと結界に何回もぶつかりに行くとかしない限り大丈夫ですから』

、、、、、、、。
めちゃくちゃ危なかったやん、、、。
そう思ってHPを見てみる。8%くらいしか無い、、、。

「危なっ!!おまえ、ホンマそーゆー事はもっと早く言ってくれよ!!先ほどまで行われていた結界と肩のツノの無限自爆ピタゴラスイッチで死ぬとこやったわ!!!
危な〜〜!
あと、ツノにも神経通ってるんやろ?
後でツノ折ったろ思ってたけど、折ってたら最後の8%のHP持ってかれて、これまた死ぬトコやったわ!」
凄い勢いで薬草を食べながら怒りをぶつける。


『あと、そうだ!《魔王カスタマイズ》も説明しておきましょう!!
実は、魔王のパラメータはポイントを使って自由にカスタマイズする事が可能なんです。』

「すげぇ。こんなちゃんとした無視ってあるんや。」

『あ!パラメーターは自由に変えれますけど、負けたいからと言ってワザとそこらのモンスターよりも弱くすることは出来ませんよ!
例えばHPを物凄く下げると、反比例して防御力が上がりますから。
ちなみにポイントは、勇者パーティーを倒す度に貰えますからね
現在は1ポイントありますよ。何かカスタマイズしますか??』

絶対に聞いとか無くてはイケない類いの説明なので、怒りを鎮めて説明を聞くことにした。

なるほど。見ると体力や魔力、素早さや運の良さなど数値を変えれる様だ。
何を変えるのかは重要だな。


ほうほう、1ターン目の攻撃、2ターン目の攻撃など何をするかは既に決まっていて、変更も可能な訳か。。何でも変えれるな。と考えていると、その中の項目の一つに目がいった。

      「弱点変更?」


『あぁ、前魔王の【† 死黒聖天†】さんもそこを変更されてましたね。確か、バリアを破る弱点を[伝説の剣]から[鍋のフタ]に変更して、HPを激低にしてましたよ』

「やっぱり!変やと思ってたらそー言うことか!」

[鍋のフタ]が弱点なんて普通のゲーム製作者は考えなさそうやし。

確かに[伝説の剣]は手に入れるのが困難。
[鍋のフタ]は初期装備なのでみんなが持ってる(ほとんどのプレイヤーは売却してるらしいが)

「でも、、、ワシ[伝説の剣]装備してたのに、、、。
弱点変更されてなかったらもっと楽に倒せてパーティーメンバー誰も死なず済んだのに何、奇をてらって余計な変更してくれとんだ?
[伝説の剣]手に入れるためにした苦労はなんだったんだ!?
この、【弱点[鍋のフタ]】は変更する!!」

『分かりました。では、弱点は何にしますか?』

とは言いつつも、確かに[伝説の剣]も持ってる人が少ないので違うモノにした方が良いだろう。

なるほど、弱点として設定可能な項目を見るといろいろあるな。
しかし、習得が難しい呪文は1発でオッケーだが、誰でも覚えれる弱い攻撃呪文とかだと《50回連続で当てる》などハードルの高い条件が必要な様だ。

アイテムを投げる場合も、投げるアイテムのレア度によって、《一回で何個以上投げる》と言う条件が付く様だ。
それを考えると誰しも持っていて、1つ投げるだけで効果の出る[鍋のフタ]は“優秀な弱点”だったのか。。

(うーん。。誰でも沢山持ってて、余らしてる様なアイテムなぁ。。)

(こないだ、セラミックソード大量に売ったけど、アレも同じ狩場でレアアイテムを狙ってた時の副産物で誰でも沢山持ってる訳でなさそうやし、、、。)

等と自分の所持アイテムのウィンドウを見ながら考えていると、ピーンと来た。

『コレだ!』

めちゃくちゃモンスターが落とす割に、使った記憶ゼロな程、要らんから溜まってく一方の上、店で売ってもたいして金にならんアイテム。

『弱点、目薬にします!!』

《一度に99個まとめて投げる》
という条件付きだが、目薬は何も勿体無くはないので躊躇なく使えるだろうし、自分のアイテムウィンドウ見ても99個持っていたので、他のプレイヤーも似たような物だろう。

でも、目薬を99個持ってなかったらどうするかって??
大丈夫。それには“アテ”がある!

「よし!これで弱点は変更完了!!
それで、レバ刺し☆大革命、まだ一つ、説明してない事があるよな?」

『、、え?』

「あ・る・よ・な!?」

とぼけた顔にスズイっと迫り寄る

そう。絶対に有るハズの“ある要素”の説明がまだだ!!
アレが無いハズが無い。
弱点の目薬を絶対に使わせる事の出来る、【負ける為に必勝のカギ】だ。



「ほら、勿体無いつけずに早く言え!」

『、、ええ??』

「もう良いって!ほら!絶対に説明してない事あるやろ!?早く!」

『、、、え、、???』


、、、、あ、コレ、マジで無いヤツかもしれん。

   【魔王様は倒されたい#5】に続く

次回あらすじ:
私が「ほら、あるバスだろ!?魔王城に置いてる宝箱とか出てくるモンスターとかも自由にレイアウト出来るハズだ!!無いなら、案内板とか駐輪場は最初から有ったって事になるぞ!?」
と言うと
『あぁー!!“魔王城のもようがえ”の事ですね!』
とレバ刺しが返して来たので
「いや、模様替えって、季節の変わり目ちゃうねやから」
とツッ込み
「まぁ、いいや!とりあえず、やっぱりあるんだな!?魔王城のレイアウトを自由に変える方法が!」
と言う。
しかし、魔王城のレイアウトを変える為には、魔王城の内装業者に頼まないとダメなのだが、肝心の金(ゴルド)が無い!どうしよう???
ま、最終的にアイテムとかほとんど売って金策するんだけどね。
次号、お楽しみに!!

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