彼氏と別れて10日が経った

彼氏と別れて10日が経ちました。

今まで自分の心のそばにいた存在がなくなるというのは、ふとした瞬間にダメージを与えてきます。街中でカップルがさりげなく手を繋いだのを見た時、元彼の手のぬくもりを思い出し、川を歩く時、元彼と何度も隅田川と神田川を歩いたことを懐かしみ、桜のつぼみを見た時、桜の季節をもう一度迎えられなかった自分を憂います。いつだって苦しくて悲しいわけじゃないにしても、日常のさりげないところに元彼のかけらが潜んでいるから、心のガードをするまもなく、胸に小さな痛みを感じます。

だけど、元彼に恋したこと、元彼と別れたこと、どちらも間違いではなかったと強く思っています。

わたしはずっと自分のことが嫌いでした。特に大学3年生の頃は、自分が嫌いすぎて、どうにかなってしまっていました。

それを引き上げてくれたのが元彼でした。わたしは元彼と付き合って、恐ろしいほどに嫌いだった自分を好きになることができました。もちろんこんな自分なんて、と思う日だってありますが、このただのわたしも悪くない、と思えるようになったのです。わたしは何もできなくても、わたしのことを一番に大事にしなくてはいけない、そう考えるようになりました。

だからこその別れだったと思います。元彼がわたしに少し冷めている、すなわち大事にされなくなってきていることは薄々感じていましたから。わたしがわたしのことを大切に思うようになったから、わたしがわたしを大切にするのと同じように、大切にされなければいけないのです。

それはもしかしたら傲慢な考えかもしれません。でも、結局わたしたちはひとりなのですから。ひとりだけでは生きてはいけませんが、まずは自分ひとりを大切に思うようにならなければ、誰かと付き合っても「依存」になってしまうと思うのです。

元彼に恋して良かったこと、別れて良かったこと、まだあります。

それは、自分の好きなものをたくさん増やせたことです。

わたしはもともと保守的な性格です。さらに大学1.2年はコロナで思うように遊べなかったことから、さらに保守的な暮らしに拍車がかかっていました。そんなわたしを知らない世界に誘って、素敵なものをたくさん教えてくれたのは、元彼でした。

ですが、やっぱり性格それ自体は変えられませんでした。変える、というか、もとの感受性が2人は大きく違っていたのだと思います。感受性が豊かな方が良いとかいう話ではありません。ただ、わたしの感じる幸せは、元彼にとってはあまりにも変わり映えないものでした。ベンチに座って食べる肉まん、路地裏にいる猫、お日様の中でゆるゆると歩く。元彼によって好きなものが増えても、結局わたしの求めるものは、そうした穏やかな幸福でした。新しいものは新しいもので魅力的ですが、それが1日に何個も続くとぐったり疲弊してしまうわたしと、常に動いていないと気が済まず、知的好奇心豊かな元彼は、続かなかったと思います。

もしも次に付き合う人がいるのなら、その人と幸せを分かち合いたいです。幸せに誘ってもらうのではなく、わたしが誘うのではなく、ともに幸せの世界に入っていきたいのです。それはきっと、価値観の合う人と出会いたいということなのでしょう。

わたしは自分が大人になっていることを感じています。いやまあ22歳なのに子ども気分なのがおかしいんですけど。言いたいのは、たぶん今回のようなお付き合いは、学生の頃しかできなかった、ということです。多少の価値観の相違も、かなりのワガママも、謎のパワーみたいなもので乗り越えてきていました。ですが、これから社会人になれば、仕事という存在が常に自分の中にあることになります。その状態で、大きすぎる違いを乗り越えられないし、今までわたしが見逃してもらっていたワガママも、わたしが我慢できていると思っていた元彼の不満も、うまく消すことはできなかっただろうと思うのです。

だからやっぱり、元彼とは別れて良かったです。

でもなぁ、好きだったなぁ。わたしは確かに元彼のことが好きでした。好きにさせた後にいなくなって遠距離になった挙句に、会うたびに東京で思い出つくりやがってくそやろう。今のわたしがこんなに苦労しているんだぞと言いたいです。

それもね、嬉しいんですけどね。元彼との日々はわたしから消えることはなくて、確かに今のわたしのアイデンティティを形成してくれたのですから。今のわたしじゃなかったら、わたしはわたしのことを好きじゃないのですから。

わたしは本当にダメなところがあります。別れる時に、相手に自分のダメな部分を見せつけて別れるところです。うーん本当にダメなんですけど、どうせ別れるなら相手に嫌われてしまいたいと思っていたんです。今回もそれをやってしまったんですけど、もうやらないと強く誓います。わたしは自分に甘いので、別れなければそういう欠点も直そうとしなかっただろうと思うので、うん、しっかりやります。

結局、付き合って良かったし、別れて良かったです。今感じている心の穴は、どうにかして埋めようとしなくて良いし、たぶん勝手に何かしらで埋まるんだと思います。早く埋まってほしいという気持ちはありますが、この心の痛みは成長痛だと思って、感じることから逃げないようにしたいです。とりあえず、すぐに男で埋めようとか、お酒で埋めようとはしません。わたしは心配されないような、自分の足で立った女性になると決めたので。別れたあともゼミの先輩、いつか飲み会とかで会う時には、見違えていたいと、そう思います。

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