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一緒に上野動物園に行ったことを忘れた彼氏

昨日、部屋の掃除をしていました。わたしは片付けがめちゃくちゃ苦手で、「もうこれアウトでしょ」くらいの段階にならないと動き出せない人間なんです。ゴミを捨て、服を畳んで仕舞い、カバンから色々と出して整理し、、、。こんな感じで、あらゆるものを黙々と片付けていたところ、上野動物園のチケットが出てきました。懐かしすぎて驚愕。これは去年の11月、彼氏と付き合う前に行ったやつだなあ、その時は先輩だったから敬語を使ってたっけなあ、としみじみ思い出していたら、彼氏から酔っ払い電話がかかってきました。さっき銭湯出たところでビール落としたってLINE来たけど、結局飲んでるんかい。

丁度良かったので、かくかくしかじか彼氏に話しました。掃除してたら上野動物園のチケットが出てきたんだよ、大事にとってあったの可愛いでしょ、とニコニコ語ったんです。そうしたら、「上野動物園とか行ったっけ?付き合う前だっけ、後だっけ?」と聞かれました。わたしは親切なので、去年の11月に行ったじゃん、付き合う前に行ったんだよ、と丁寧に教えてあげました。

彼氏も徐々に思い出してきて、「ああ、あなたがインド人だかネパール人だかに道案内してたらカレーご馳走されそうになって、約束の時間にすげー遅刻してきたやつね」と嫌な部分だけピックアップしてきました。そういえば彼氏が遅刻してないのなんて、この時くらいなんじゃないでしょうか。まあそれはどうでも良いんです。思い出を忘れてしまうことについて、話をしていきましょう。

やっぱり、彼氏と一緒にいる時が長くなるほどに思い出は増えていくから、忘れる思い出もあると思うんです。それはね、寂しいという気持ちもあります。わたしの彼氏だって付き合う前は、「前に北千住の河川敷で過ごした時のことを思い出して、素敵な時間だったなーってうきうきしてた」とLINEをよこしてくれていたのに、ってさ。

でもね、片方が覚えていれば満点じゃないですか。「え、こういうことあったじゃん」って話して、「ああそうだったね」って思い出せれば、楽しかった記憶を共有できたことに変わりはないと思うんです。

そして、思い出す過程というか、作業もまたワクワクするものだと感じます。記憶の糸を一つひとつほぐしていくように、思い出のページをふたりでめくる共同作業。これは、過ごす時が長くなるほど、ときめきも増すんじゃないかなって期待しています。もちろん、ずっと素敵な思い出を紡ぎ続けるためには努力が必要な上、努力でどうにもならない場合もあると思うんですけどね。

わたしはまだ、上野動物園でのことをちゃんと覚えてますよ。彼氏がスマホを落としすぎて壊しちゃったから「俺の代わりに写真撮って」って言ってきたけど、「わたしちょっとよくわかんないんで撮りません」で突き通したこと(不親切)。パンダを一緒に見たけど、お尻しか見られなくて残念だったねって言い合ったこと。彼氏が爬虫類(主にワニ)を見てめちゃくちゃはしゃいでいたこと。吉祥寺にリスを近くで見られる動物園があるから、それにも今度行こうって話したこと。上野公園をうろうろした後になぜか秋葉原まで歩いて、電車が見えるカフェで謎のお菓子をシェアしたこと。わたしの地元の駅でアイスを一緒に食べたこと。

あと、「いつも可愛いけど今日のあなたは特別可愛い」って言ってもらえたこと。

ああ、あの時は、今だったら考えられないような言葉を貰ったなぁ、とただ懐かしんでいます。これも上野動物園の大事な思い出のひとつですが、この言葉に限っては、彼氏に思い出させる必要はない気がするんです。だから、彼氏にはわたしが遅刻したことだけ覚えておいてもらって、わたしは心の中に宝物を大切にとどめて、あとはふたりで記憶を紐解きながら歩んでいきたいです。

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