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狙い目の新規事業、「ニッチD2C」 を立ち上げる方法

初めまして、岡前と申します。私は大学在学中にワインのサブスク事業を立ち上げました。現在継続会員数は3,000名を超えて、リリースから8ヶ月で単月黒字化しました。

D2Cはレッドオーシャンなのか!?

  • CPAは高騰し続ける。

  • 平均4ヶ月でサブスクは解約される。

  • プロダクトライフサイクルも短い。

と言われながら、次々に新ブランドが入れ替わるD2C業界は、一見レッドオーシャン感があります。また、M&AしたD2C事業が一向に黒字化しなかったり、最近上場したD2C企業の株価は下がり続けるなどもあり、一部の人はD2Cは儲からないかのように言う方々もいます。一部のベンチャーキャピタルの方からもD2Cには投資されない方針に変えたと聞きました。しかし、私はそんなD2C業界に、ニッチなD2Cであれば利益が出ると声を大にして言いたいです。

私はホームワインを起案し、立ち上げから今までの戦略策定や予算管理、商品企画、オペレーション管理、マーケティングのディレクションをしています。その経験から、実はニッチD2Cは狙い目であるということを1年間思い続けていたので、このnoteを書きました。このnoteを見て素敵なサービスを作る一助にしていただければと思います。

ニッチD2Cは狙い目

ニッチD2Cとは、ニッチな悩みを持つユーザーにニッチな課題解決を届けるD2Cサービスを言います。
素晴らしいプロダクトを作って一気に新規顧客獲得をし、赤字になりながら売上を急拡大していくD2Cに比べ、ニッチD2Cは広告費を抑えてニッチユーザーだけに使ってもらい、その分原価率と商品改善に再投資してサービスを磨いていきます。

ホームワインは「ワインをこれから楽しみたい」というニッチなユーザーにターゲットを絞ることで、継続率を月ベースで95.8%と非常に高くできています。ニッチなジャンルはたくさん存在するため、ニッチD2Cは非常にブルーオーシャンだと思っています。もともと顧客の声を直接サービスに反映しやすいことがメリットであるD2Cの、メリットだけを特化させて商品改善の小回りが効きまくるようにしたのがニッチD2Cだからです。

ニッチD2Cで利益を出す方法

ニッチD2Cでは売上ではなく利益の最大化を狙うため、広告投資したらいくら粗利益がでるのか(= ユニットエコノミクス)が最も重要です。ユニットエコノミクスはLTVが高く、顧客獲得コスト(CPA)が低いほど高くなります。

ライフタイムバリュー(LTV) = 月額料金 × 平均継続回数 × 粗利率
ユニットエコノミクス = LTV / 顧客獲得コスト(CPA)

ユニットエコノミクスが高いと、商品改善をして原価率や販管費を高めても利益が出る健全な状態になります。逆にユニットエコノミクスが低いと、商品改善の投資はストップし原価率を下げるようになります。CPAを無理やり下げるために強い訴求でブランディングを下げる広告を出したり、ポイントプログラムなどの別のサービスで利益を削ってLTVを無理やりあげたりと、負のループに入ります。

やはり売上を急拡大させるD2Cでユニットエコノミクスを合わせるのは難しいです。ですが、実はニッチD2Cの場合、深い課題を持つニッチユーザーから意見を集めて商品改善を繰り返し、原価率を上げて圧倒的なサービスを作るだけで、「そのサービスでしか課題解決できない」ニッチコミュニティが出来上がり、簡単にユニットエコノミクスを健全な状態にすることができます。

結果、ホームワインのユニットエコノミクスは680%で利益率も業界平均より高く保てています。ちなみにD2C業界平均のユニットエコノミクスは200-300%で、150%以下になると大体赤字になります。

改めてユニットエコノミクス680%とは、広告を10,000円打つと、粗利益が68,000円返ってくる状態です。この打ち出の小槌を作るためには、3つのKPIを達成する必要があります。
・十分な顧客単価
・圧倒的な継続率
・非常に低い顧客獲得コスト

本noteでは、3つのKPIを全て達成し、ニッチなD2Cで利益をバンバン出す方法を解説いたします。

【方法①】 プロダクトを売らない

まず、十分な顧客単価を達成するためには、顧客の深い課題を解決する必要があります。世の中は素晴らしいプロダクトで溢れていますが、深い課題解決をしてくれるサービスは意外と無いです。ホームワインでいうと素晴らしいワインや、ワインの知識が集結したソムリエ教本はあっても、ワインを手軽に詳しくなれるサービスはありませんでした。D2Cは、メーカーと違い規模の経済が使えない分のコストがかかる一方、顧客データの収集がしやすい利点を活かして、顧客の深い課題を解決するサービスを提供する方が向いています。

また、顧客の深い課題は1つのプロダクトでは解決できません。ワインを手軽に詳しくなれるサービスがこれまで無かったのには、ワインは高くて750mlであることや、飲み比べる機会がないこと、勉強する機会がないことなどの複合的な問題があったため、

  • 750mlのワインボトル
    ➡️ リーズナブルに効率よく飲み比べられる100mlの小瓶を開発

  • 教室で授業するワインスクール
    ➡️ 自宅で飲みながら学べるようにソムリエの解説動画を開発

  • プロ用のソムリエ教本
    ➡️ 簡単に復習できるようにイラストたっぷりのバイブルを345p開発

と、新たなプロダクトを3つ作ることで解決しました。

また既存商品の詰め合わせが定期的に手に入るサブスクとは全く発想が違います。まとめ買いや詰め合わせ商品は安くなるのが普通だと思いますが、顧客の深い課題を解決するために必要なものを作ることで、新たな価値が創造され、十分な顧客単価を設定できるようになります。

【方法②】 アイデンティティで継続してもらう

深い課題の解決に注力することで、十分な顧客単価を設定できるようになったところで次の問題が出てきます。「課題解決だけでは人は継続しない」ということです。

同じ商品を送り続けていると、初期の感動体験が薄まり、飽きるからです。各々の課題解決がある程度完了した人からサブスクを解約します。一方で、サービスを使っていることがその人のアイデンティティに変わると継続率が無限大になります。一通りワインを体験できたから解約します。ではなく、その方の趣味の一つにワインがある限り、ホームワインを続けてくれます。実際ホームワインの解約は非常に少なく、解約理由も体調の事情で飲酒を控えたい方や、引越しされる方など環境原因が一番多くなっています。

アイデンティティに変わってもらうには、課題解決が終わった人に次のステップを提供して、ブランドに期待してもらい続ける必要があります。ホームワインでは、さらにワインを飲み進められるコースであるホームワインプロや、レストランでペアリングコースに行ってみたい方向けに会員制フレンチの特別コースに招待、希少なワインボトルの購入券の付与などを行っています。

このように、感動体験を提供しつづけると継続率が高くなるだけでなく、会員(コミュニティ)からの紹介経由の購入も増え、顧客獲得コストも下がります。1つの指標として、指名検索の購入比率で50%以上は目指したいです。

【方法③】 0円でインプレッションを稼ぐ

最後に、ニッチD2Cで顧客獲得コスト(CPA)を圧倒的に下げるためには、インプレッションを0円で稼ぐことが重要です。

まず、「チラシのROASがすごく良い!」「FacebookのCPAが高騰し続けていて心配..」などとよくTwitterで見かけますが、ニッチD2Cでは日予算が小さいため、毎日のROASや媒体毎のCPAは気にしません。

理由は、そもそも人はいろんな人に何回もお勧めされてから購入するからです。いつもみているYoutuberがおすすめしていたサービスを、チラシも入っていたので気になっていて、友達も良いと言っていて…購入を決めます。友達に勧められたから買ったと言う人も、実はその前にPRや広告に接触していたりします。ホームワインでも購入までに平均6回のインプレッションが必要です。そのため、媒体毎の撤退CPAと全体ユニットエコノミクスだけを確認して、適切なターゲティングにインプレッション回数を重ねることが重要になります。

つまり、そのインプレッションを安く稼げると、CPAを圧倒的に下げることができます。ホームワインは成果報酬によるPRで0円のインプレッションを増やし、広告費を削減しました。全て直で相談しに行き、提携先の売上を伸ばす提案か、大きな成果報酬を生めば成果報酬メインで契約することができます。提携はYoutuberの方やインフルエンサーの方、ワイン講師などのアンバサダーの方、レストランさん、ワインバーさん、ワインショップさん、インポーターさん、メディアさんなどと行っています。今後も提携先を増加させることで、CPAを低く保ったまま、ローリスクで獲得数を積み上げることができます。
もっと言うと、単に限界CPAに高騰までSNS広告費を増やせば、短期的な売上/利益は最大化されますが、信頼ある経路からの0円のインプレッションを積み上げた方が、長期的な利益は最大化され、ブランディングも向上します。

ホームワインではリリース当初、チャンネル登録者数 90.2万人のマコなり社長にホームワインを実際に購入いただいた上でオンラインサロンやYoutubeなどで取り上げていただきました。結果、Youtubeで大変反響があっただけでなく、レストランさんや他のYoutuberの方、メディアの方などのTo Bにもプラスブランディングになった経験から、信頼ある経路からのインプレッションを積み上げることの大事さを勉強できました。

余談ですが、実は私が高校生の起業家コンテストで真子さんが登壇されていた時に初めてお会いし、その4年後のホームワインのリリースする前にメッセージしたところ、時間をとって事業相談をしていただくなど、リリース前からお世話になっておりました。真子さん、リリース前から本当にありがとうございます!

【まとめ】 戦略を正しく立てて、ニッチD2Cでニッチで素敵な愛されるコミュニティを作ろう

上記を読んでいただいた方は感じていただいたかと思いますが、圧倒的なユニットエコノミクスを達成するための
・十分な顧客単価
・圧倒的な継続率
・非常に低い顧客獲得コスト

これら3つのKPIは繋がっています。良い戦略は全てにプラスの影響を与え、悪い戦略は顧客獲得コストが上がるが継続率を下がるなど、長期的な利益が上がりません。つまり戦略が間違っていると圧倒的なユニットエコノミクスを出せる確率は0です。

KPIに良い影響となる戦略を正しく立ててユニットエコノミクスを改善する。これだけでニッチD2Cはニッチなコミュニティに愛され、利益と商品改善が循環していきます。

今後やりたいこと

ホームワインのスタート当初はD2C業界からたくさんの反対意見をもらいました。

・市場規模が小さすぎて、参入する意味がない。
・1万円以上のサブスクは売れない。
・原価率が高すぎて、スケールしない。

リリース前には原価を下げないと払えないくらいの高い獲得単価を払わないとアフィリエイトでは扱えないとも言われました。しかし、今では提示された1/3のCPAで獲得できています。

メンバーを募集しています!

「マーケやりたい」「商品作りたい」「ワイン詳しくなりたい」
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2月16日(木)14〜15時にECFORCEさんとミートアップを開催する予定です!

また、初期よりお世話になっているカートシステムのecforceさんと2月16日(木) 14〜15時にミートアップを開催する予定です。本noteの内容の深堀りに加え、noteでは話せなかった内容についても詳しくお話しさせていただきますので、是非ご参加ください。

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