見出し画像

商標権を使えば無償で提供した精米の転売を止められるだろうか?

こんにちは。商標の記事ばかり書いていますが普段は特許を扱っております。

昨日目にしました世知辛い&せつないニュースはこちら。
生活支援のために都が無償で提供した精米がフリマサイトで販売されているというニュースです。

NHKのニュースだけ見ると、「都がせっかく無償で提供したのに転売するなんて…」という文脈で語られていますが、テレビ朝日のニュースも見ると、量が多すぎて食べきれなかったり、そもそも施設に入っていて不在なので必要のない人に届いたりと、デリバリーする側にも問題はありそうです。

果たして食糧支援のために白米の精米を送り付けることが適切なのかという問題はさておき、「転売禁止」とデカデカと表示されている米が見事に転売されまくっている様子は、「デザインの敗北」とは言わないかもしれませんが、何かの敗北であることは間違いないようですね。

つまり「転売禁止」の表示には何の効力も無いということです。
ネットでよく「無断転載禁止」のようなことが書いてある場合がありますが、それが例えばイラストの著作者による表示で、イラストについて複製や公衆送信することを禁じているものであれば一定の抑止力になっている場合がありますが、一方的に譲渡した精米について「転売禁止」と叫んだところで、これを譲り受けた者にとってはどのように処分しようが自由というものです。

ここで、転売を禁止することの是非はともかく、もしかしたら商標権であれば転売を抑止する効果がワンチャンあるかもしれないと思ったり思わなかったりするので、おもしろ読み物枠として考えてみました。

転売されまくっている問題の米は「国内産 精米」と表示されているだけで、国内産であること以外は全くもってどこ産であるとか出所がわからない米になっています。
これについて「東京都〇〇米」みたいな登録商標に係る商標権を指定商品「精米」について取得してみたらどうでしょうか。そして、支援米として提供する精米のパッケージには「東京都〇〇米」を付しておきます。

パッケージの写真をそのまま撮影して転売している場合、例えばメルカリだったら権利侵害品として削除申請できるかもしれません。

厳密には、中古品については基本的に最初の販売の時点で商標権は消尽しているとして、権利行使は認められないのですが、メルカリぐらいだったら言うことを聞いてくれるかもしれません。メルカリで出品されている物なんてどういうルートで入手されたものかわからないですものね。

もちろんパッケージから出してしまえばこの手は使えないのですが、無地の袋に入っている精米なんて気味が悪いので買い手は付きにくくなると思います。

しかし、商標権の権利化及び維持年金が税金の無駄遣いだと炎上する可能性があるので、やめた方がよさそうですね。

前川知的財産事務所
弁理士 砥綿洋佑