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老後のお金いつまでにいくら貯めればいい?【一生受け取れる収入を追加するという考え】

最近の円安・物価高・医療費・増税etcとお金に関わる良いニュースがないのですが、本当に老後2000万円貯めておければ良いの?

こういった質問に答えていきたいと思います。

結論から言いますと、お金を貯めるというより一生受け取れる収入を構築することで老後の不安はなくなります。
2000万円貯めたところで老後は安心という方は多くないと思います。さらにいくら貯めておけば安心という金額もありません。

なぜなら老後の年金や生活費がこれからどのように変化していくかわからないからです。

例えば65歳までに2000万円を貯めたとして、毎月年金を貰いながら足りない分を2000万円から毎月5万円引いていったとした場合、約33年後には貯金が尽きます。

2000万円 ÷ 5万円 ÷ 12ヶ月 = 33.3年間

『33年後は98歳なら・・・大丈夫かな。』
(そこまで生きている可能性は低いという意味)

とおっしゃる方がほとんどです。

しかし、仮に
99歳からは5万円少ない生活を強いられ、仮に結婚して配偶者がいる場合、
どちらかが亡くなると年金額も減り5万円も減ります(生活費の水準も減りますが)

今現在、毎月の収入が5万円減ったらどうでしょう?

収入があり、副業もできるかもしれない状態でも毎月5万円の減収は痛手ですよね。

それが90代後半で起こってしまいます。

これから高齢化と少子化が一気に進んでいくことで高齢者の負担が増加することは間違いありません。

2000万円から毎月5万円支出していくらくらいでは足りない可能性もあります。
(毎月10万円を支出すると82歳時には貯金が尽きます)

そんな事態を防ぐためにはどのようにしていけば良いのか考えていきましょう!


老後のお金はいつまでにいくら必要?

結論からいいますと答えはありません。
極論すぎるかもしれませんがこれが事実でもあります。

正解を作るとしたら、

「生きている間に生活費と同じ収入があること」

そんなこと言われなくてもわかっているよ!と怒られてしまいそうですが、
私のところに来る質問のほぼ100%は、

「老後までにいくら貯めておけばいいですか?」

です。

『2019年に年金財政検証で政府が老後資金が2000万円足りなくなる可能性があるのでそれまでに資産構築していきましょうね。』

と発信しているので、65歳までに2000万円を貯めればいいのかな。と思ってしまうのは仕方ないかと思います。


しかし本当にそれで良いのでしょうか?


2019年に発表された2000万円は、

・夫婦で夫が会社員で妻が専業主婦(または逆)のパターン
・自営業者は2000万円では足りない
・新型コロナウィルス発生前の発表
・少子化が予想を超えている
・戦争などによる物価高・円安
・リタイア時期が65歳

他にもありますが、たった5年間で世界が大きく変わってしまいました。

もちろん新NISAにより運用の非課税枠が増えたり恒久化されたりと良いこともありますが、これから10年20年30年と支出が減る要素があまりありません。

2024年に年金財政検証が発表となりますが、それも5年後にまた大きく変化していくでしょう。

「ではどうすれば良いの・・・?」

といったことをより具体的に考えていきましょう!

老後の支出と年金収入の予想を立てる

結論から言えば、収入と支出の予想を立てて、今から対処していくということです。

どうやって予想すればいいのか。

政府の出している資料を参考に収入と支出それぞれに負荷をかけるということです。

さらに政府の出している資料を鵜呑みにしていると将来お金が足りないという現象に落ちてしまう可能性もありまう。

政府の発表がある度に状況は深刻化している(ことが多い)ので、今の資料より年金受給金額を下げて支出額を増やしてシミュレーションしていくしかありません。

将来のことなんてわからないから、今出ている資料で試算する専門家もいますがそれは怖い話です。

老後の支出を予想する

まずは支出から考えていきましょう。
下の図から見てもらえると約24万円/月額となっています。(236,696円)

ではこれを老後の必要支出として考えれば良いというわけにはいきません。

これには昨今の物価上昇は入っておりませんし、その他にもちゃんと見ていかないといけない支出があります。

例えば住宅費ですが、消費支出236,696円の内の6.6%=15,622円

65歳以降の住宅費が月々15,622円・・・。

本当にそれだけで済むのでしょうか。

団塊の世代は学校を卒後して終身雇用で毎年昇給して60歳で定年を迎えて年金生活がスタートしているかもしれません。

20代や30代前半で結婚して子供が産まれて住宅購入。
35年ローンを組んでボーナスや退職金で繰越返済して定年には完済。

固定資産税として毎月10,000円〜15,000円というのであれば、なんとなくわかります。

今は終身雇用も毎年昇給も約束されていませんし、退職金も減っています。(退職金がない会社も増えている)

そのような状態で60歳または65歳時点で住宅ローンを完済できるのでしょうか?
今一度住宅ローンのシミュレーションを見直してみても良いと思います。

それ以外にも政府が出している資料の全体的な数字だけを鵜呑みにするのではなく、ご自身の家計を考えリタイア後にどれだけの支出があるかを考えていかないと、2000万円貯めたからといってもあっという間に貯金がなくなってしまうことになります。

住宅費用だけ見てもこれだけの金額の差が出てくる可能性がありますので、
他の支出も確認しながら全体的に10%でも20%でも増やしたシミュレーションをしていくことをおすすめします。

年金収入を予想する

次に収入を見てみましょう。

仮に現役時の平均年収が400万円だった場合、
厚生年金は約8.5万円/月額

国民年金を満額支払っていれば収入問わず
一律で約6.5万円/月額

合算すると15万円/月額です。

これに配偶者の年金を足します。

夫婦共働きで上記とほぼ同じであれば15万円+15万円で30万円/月額となり、
もし配偶者が厚生年金がほぼ無ければ、15万円+6.5万円で21.5万円/月額となります。


これが果たして今から10年後20年後30年後に受け取れる金額になっているのか?

という疑問が浮き上がってきます。


年金財政検証に記載があったのですが、2046年の所得代替率は51.9%と記載されています。(経済成長率が2029年以降20年〜30年間0.9%の場合)
※2019年の所得代替率は61.7%

所得代替率とは公的年金の給付水準を示す指標。現役男子の平均手取り収入額に対する年金額の比率により表せられる。
所得代替率 = (夫婦2人の基礎年金+夫の厚生年金)÷現役男子の平均手取り収入額

簡単に言ってしまうと、年金額はリタイア前の月収を100とした場合61.7%に減ります。ということです。

それが2046年は51.9%と更に下がっています。

今は共働き世帯も増え、厚生年金も2人分受け取るという家庭も増えているとはいえ少子高齢化の影響で受け取る年金は年々減っていきます。

そう考えると30%程度はカットしても良いかと個人的には考えています。
(この話をすると50%カットで試算してほしいとか年金は無しで考えてくださいと言われることが多々あります)

そうなると上昇した支出と削減された収入の引き算をすると必要額が出てきますね。

<夫婦共働き世帯>
調整前:30万円 ー 24万円 = 6万円/月額
調整後:21万円 ー 28.8万円 = ▲7.8万円/月額

<配偶者専業主婦(夫)世帯>
調整前:21.5万円 ー 24万円 = ▲2.5万円/月額
調整後:15万円 ー 28.8万円 = ▲13.8万円/月額

ここでは一例で政府の資料を参考にしながら数字を使いましたが、
この通りになるわけではありません。

細かい数字を知ってほしいわけではなく、なんとなくイメージをしていただけたらと思います。

仮に7.8万円の補填をするために65歳までにいくら用意しておけば良いのか?
と考えた場合、100歳まで生きたと考えた場合

▲7.8万円 × 12ヶ月 × 35年 = ▲3276万円


これでは2000万円ではもしかしたら足りないかもしれません。

・老後までいくら貯める必要があるのか?
・いつまで生きるのか?
・100歳以上生きた場合どうすれば良いのか?

未来のことは誰にもわかりません。ではどうすれば良いのか。


「老後いくら貯める」ではなく「途切れない収入を作る」

そんなことが可能なのか?と思われるかもしれませんが可能です。

実際、公的年金(厚生年金・国民年金)は一生受け取ります。(減ることはあります)

もし公的年金と老後の支出がマイナス5万円であれば、一生受け取れる収入を5万円作ってしまえば計算上一生安心出来ますよね。

老後の支出30万円 ー 年金等の収入25万円 + 5万円の収入 = 0円

なので一生受け取れる年金をもう一つでも二つでも作ってしまえば良いということになります。

終身年金を作ろう

新NISAでは一生涯受け取れる年金は作れません。

とはいえ新NISAはおすすめの制度なので新NISAと併せて終身年金を作っていくことをお勧めします。

<終身年金で受け取れる金融商品>
・iDeCo(会社による)
・確定拠出年金(DC)(会社による)
・個人年金保険・変額保険(会社による)

身近なものだとこんなところでしょうか。

iDeCoと確定拠出年金については基本的には途中引き出しが出来ないというデメリットがありますが、老後の資産形成にコミットできるため効果的に活用しましょう。

個人年金や変額保険は多くの保険会社が揃えておりますが、保険会社によって終身年金が出来ない保険もたくさんありますので必ず確認しましょう。

特に個人年金保険を貯金だと思ってと加入し年金の受け取り期間を10年としている方がほとんどです。

実際にお会いした74歳の方ですが、30代から個人年金保険に加入し60歳まで支払った後に65歳から10年の年金受け取り(75歳まで)をされておりました。

月額10万円の年金が保険から入ってくるのですが、これまで週に何度も外食をし年に何度も旅行をしていたようです。
高齢になってきたので車を手放そうと車屋さんに行ったら新しい車を新車で購入してしまったり、趣味の音楽鑑賞用に高音質のスピーカーも購入していました。

よく聞くリタイア後の生活ではあります。

しかし、そんな状態なので貯蓄も多くありませんでした。

更にその間に大病をし入院・手術もしており、年齢的にもですが現役時のような体力があるわけではありませんし、これから治療費もかかってきます。

そんな中で残り数ヶ月後には毎月10万円の収入が途絶えるのです。

こういった状況になる直前の方とお会いすることは初めてであったのですが、
確定年金10年という個人年金保険に加入している方は沢山います。

しっかりと管理が出来れば問題ないのですが、なかなか難しいかもしれません。

仮に一生受け取れる年金が3万だとしても、収入がそれしかないので、それで生活していくしかないですし、逆にそれで生活できればお金の心配をせずに(またはごく少ない心配で)生活していくことが可能になります。

「老後までにいくら貯める」という目標もとても大切ですし必ずやっていただきたいのですが、それだけでは老後の不安はなくなりません。
貯蓄と一緒に「終身年金を1つでも多く増やす」ということも同時並行してやると良いのかなと思います。

新NISA元年でもありますが、ただ単に投資信託で増やすことだけではなく、実際に受け取る時のことを想像して投資ライフを過ごしてみてください。


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