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夏に聞きたくなる曲「若者のすべて」

Noteのお題#夏の定番曲といえばこの曲。
フジファブリックという山梨県富士吉田市出身のバンドが2007年にリリースした曲です。
まずは歌詞から。

真夏のピークが去った
天気予報士がテレビで言ってた
それでもいまだに街は
落ち着かないような 気がしている

夕方5時のチャイムが
今日はなんだか胸に響いて
「運命」なんて便利なもので
ぼんやりさせて

最後の花火に今年もなったな
何年経っても思い出してしまうな
ないかな ないよな
きっとね いないよな
会ったら言えるかな
まぶた閉じて浮かべているよ

世界の約束を知って
それなりになって また戻って

街灯の明かりがまた
一つ点いて 帰りを急ぐよ
途切れた夢の続きを
とり戻したくなって

最後の花火に今年もなったな
何年経っても思い出してしまうな
ないかな ないよな
きっとね いないよな
会ったら言えるかな
まぶた閉じて浮かべているよ

すりむいたまま
僕はそっと歩き出して

最後の花火に今年もなったな
何年経っても思い出してしまうな
ないかな ないよな
なんてね 思ってた
まいったな まいったな
話すことに迷うな

最後の最後の花火が終わったら
僕らは変わるかな
同じ空を見上げているよ

Source: LyricFind

わたしがはじめてこの曲を聞いたのは2020年。発売から10年以上たち、作詞作曲ボーカルの志村正彦はすでに亡くなっていました。

ちょうどコロナの全盛期で、自粛警察の嵐が吹き荒れていたころ、わたしは地方の温泉をこっそりと訪れお金を落とす=経済をまわす活動をしていました。
そのときよく聞いていた曲です。

個人的には、東北地方なかでも秋田と岩手、信州の空、空気にとてもマッチしていて、しかも聞くたびに心が揺れ感傷的になるのです。

この曲のテーマは花火だから、夕方から夜にかけてのはずなのに、わたしにとっては昼間、空気が透明すぎて目に染みるような青空や入道雲を見あげながら聞く方が、なぜだかより響いてくるのです。

東京や神奈川だと不思議と響きが弱い。空気のせいか、もしくは日常生活の影響が強すぎるのかもしれません。高村光太郎によれば智恵子さんも「東京には空がない」と言っていたくらいですから。

なにが響くのか、人それぞれなのですが、わたしの場合、何か遠い日に約束をした、それを守れずにいる、そこから目を背けている後ろめたさ、あるいはあきらめ、挫折といった感情が沸き上がるのです。

具体的にどんな約束だったとか、誰とした会話だったとかが思い出されるわけではなく、漠然と心にざわざわと波風が立ち始めるのです。
あきらめているはずなのに、あきらめきれていないからなのか、あきらめずに立ち向かうために戻ろうとしている人への感情移入なのか、わかりません。

とにかくこの曲を聴くと、忘れていた大事なことを思い出す感じがします。歌詞からは恋愛のようにも見えるのですが、わたしの場合はもっと大きな、例えばどのように生きるかとか、そっちの感覚なんですよね。

「お前の志はどこにいったんだ、なんだその生き様は」と、顔が浮かばない誰かに言われているような感じといえばいいんでしょうか。過去の自分かもしれない。

フジファブリックのもう一つの名曲、”茜色の夕日“にでてくる歌詞「忘れることはできないな そんなことを思っていたんだ」にも通じるものがあります。
抽象度は違えど、わたしのなかでは同じモチーフあるいは世界観を感じます。

すいません。つい、いつもの調子でややこしいことを言ってしまいました。

単純に、そして素直に、みなさんがどのように感じるか、ぜひ一度聞いてみてほしいと思います。

本当にすばらしい曲です。天国にいる志村さん、ありがとう。


#夏の定番曲

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