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新しい授業①Marketing Managementと②Supply Chain Managementがスタート

ここから2か月はマーケティングとサプライチェーンを勉強します。
マーケティングは昔コトラーの本を読んだことがあるくらいで、どちらの科目もちゃんと勉強するのは始めてなので楽しみです。

すでに4回ずつ授業をしていますが、経営に関するすべてをカバーしようとしているんじゃないかというくらい、範囲が広いです。


1.マーケティングマネジメント

■ なにを学ぶのか

マイケル・ポーターのポジショニング理論、5フォースや、VRIO、PASTLEフレームワークといった経営戦略全般から始まり、マーケティングのフレームワークを学びます。
実際にジャティナゴールキャンパス(バンドン工科大学の学部生1,2年生が通うキャンパス)の新規事業の市場調査やアイデアだしをするところまでやります。
具体的には、食堂、コンビニまたは本屋パートに分かれ、学生のニーズ調査からやっていきます。ちなみに昨日丸一日かけて、インタビューやアンケート配りをやっていました。目標の150人回答を無事超え一安心です。ジャティナゴールキャンパス巡りの話は別のNoteで書きます。

チームは構成は5名でうちのクラスは8チームできました。
わたしのチームは、くじ引きの結果コンビニまたは本屋の担当になりました。

最終的な成果物は収益性のシミュレーションも入るというので、市場調査というよりフィージビリティースタディー(FS)に近いイメージです。授業の範囲の広さもですが、成果物の範囲の広さと授業の範囲がちゃんと合っているのかも若干気になります。

コンビニであれば、デモグラフィーを見せればFC本部がFSを作って持ってきてくれると思うので、あまり気にしなくてもいいかもしれません。

■ 授業ではみんな生き生きしているが、わたしはついていくのが大変

正直何を言っているのかわからないことが多いです。というのも、例え話がインドネシアローカルだったり、世代間の違いもあるためです。
インドネシアのブランドや店の名前がいっぱい出てくるし、インフルエンサーの名前を聞いてもさっぱりわかりません。それだけ勉強になるということなんですが、いちいち調べるのも大変で、わからないまま放置になりつつあります。
そもそも調べようにも綴りがわからないから毎回授業が終わったあとにクラスメートに聞かないとならず、面倒になってきたんです。

それでも本当に興味深い話が多く、ノートにメモしまくっています。あとでもっと調べたいと思うサービスや会社、へーって思う小ネタですね。
例えば床屋はGarut出身者が多い。いつも頼んでいる人が帰省していて困った、あるあるとか。インドネシアの米はジャワ島はジャポニカ米(短粒)なのにスマトラはインディカ米(長粒)だからパダン料理を手で食べるとき指でつまめず手ですくって食べるとか、です。
教えてくれる人には困らないので、授業で話に出てきた新しいアプリを入れてみたり、どんなサービスか相談したりしています。Noteの記事に事欠かないくらいネタがあります。

クラスメートは生き生きと質問したり議論してますね。たぶん取っつきやすいんでしょう。
わたしにもマーケター気質の時代がありました。ベンチャーキャピタル業界にいたこともあり、新しい業態やサービスに敏感になっていた20代の頃です。
たぶん若いときの方が時代の変化がより身近で、かつ若者層がターゲットになっていることもあり、熱狂の渦に巻き込まれやすいのだろうと思います。

せっかく若者に囲まれているので、精神状態は若返らせたいと思ってやっています。

2.サプライチェーンマネジメント

■ なにを学ぶのか

サプライチェーンマネジメントと言われてわたしの頭に浮かんだのは、倉庫管理、ロジスティクス、ジャストインタイムでした。前職の自動車会社にSCM本部があり、そこの管掌エリアに引っ張られています。SCM本部は生産の下についている組織でした。

実際に勉強する範囲はもっと幅広く、例えば購買、販売、品質管理、ワランティーも入ってきます。ものやサービスが動くという観点で見れば、そのプロセスをいかに改善し効率よくしていくかは全部サプライチェーンマネジメントに関わるということです。

基本的な戦略と理論を学び、プロセス設計、プロジェクトマネジメント、予測、キャパシティーマネジメント、測定と進んでいきます。
基本的な戦略は、今のところサプライチェーンというより、経営戦略そのものでして、マイケル・ポーターのポジショニング理論や5 Forceからやります。Marketingの授業でもポーターはやるので戦略=ポーターなんでしょうね。

■ 授業の様子

実務経験がないと想像するのが難しい分野ではないかと感じました。
消費者として日々ものを購入したりサービスを受けているけれど、最終消費者の手に届くまでにどのような過程を経ているのか、普通考える機会はあまりないと思います。

例えば、原材料のコストを減らすにはどうしたらよいと思うかという質問に対し、交渉で値引きさせるとか、購入先を変更するということも思いつかない生徒が半分くらい。ましてや、商品のデザインを変更して使用量を減らすとか、原材料を別の素材に変更するとか、不良率を改善してロスを減らすといったプロセスの改善によりコストを減らすなど思いが及ばない生徒が大多数です。

よくある勘違いが、売り上げを増やしたら相対的に原材料が減るという意見です。3人くらいが被った意見を言っていましたね。お前らちゃんと話聞いとけよとちょっとイラっと来ました。
プロセス変更しない限り、原価率は変わらないのでリニアに増えていくだけなんですが、減るように感じるらしいのです。
もしかしたら彼らが英語でうまく説明できないだけで、別の論点を持ち出していた可能性はありますが。

ファイナンスの授業のときも思いましたが、一度ものづくりの現場を見た方が理解が深まると思います。

■ 先生のレベルが高い

この授業を教えてくれる先生はかなりレベルが高いと感じました。わたしが考えるレベルの高い先生の特徴は以下の通りです。みなさんの考えとは合わないかもしれません。

1.簡単に答えを言わない。
何が正しい姿なのか、どういう状態がうまくいっていると言えるのか、指標や答えを知りたいという人が多いと思います。わたしにもそういう瞬間がありますので否定できません。
ただ、ある分野に精通している人、知に対して誠実な人ほど、安直に答えを求めることの弊害を分かっています。
なので、生徒に考えさせようとします。アメリカのロースクルーでやるソクラテスメソッドがその代表ですね。先生と生徒の問答を繰り返していく方法です。今回はそこまでではないですが、考えさせようとはしています。

2.いろいろな視点を示し、答えは考え方次第で変わる、一つではないことをわからせる。
答えを簡単に言わないというのと近いです。違う角度から見たら全く違う結論になるというのを理解させるやり方です。
群盲評象(群盲象を評す)という有名な故事がありますが、目の見えない人が象のそれぞれのパーツを触って、象は牙がある動物だとか、鼻が長い動物だとか、いや耳が大きいとか、自分の感じた範囲だけで物事を判断する弊害を説明したものです。
ロースクールの授業では、似たような事案にも関わらず全く異なる結論になった矛盾したように見える判例(ケース)を使って、なぜなの?と問うていく授業をよくやります。

3.生徒の質問や発表から話を広げ議論を深めることができる。
これは本当にその分野に精通していないとできないですし、教科書通りではないので、教え方も非常に難しいです。生徒たちがどのような角度で来ても、それを上回る角度でさらに生徒に考えさせたり気づかせたりする手法です。
生徒たちは先生の手の上で踊らされているようなものです。

2000年学部卒なのでわたしもより若い先生ですが、期待しています。ITB出身なのにITBの教授にはならず、カトリック大学の教授として若くして偉くなっています。ITBには手伝いで来ているみたいです。

クラスメートから話を聞くと、ちょっと苦手かもという生徒が多いですね。常に間違っているかもしれないとビクビクしながら発言している感じです。声が消え入るように小さくなってしまうっていうやつです。
優秀な人間にありがちな、間違えることが怖いというタイプが多いのかもしれません。

先生はだんだんスタイルを変えてきていて、最初よりかは答えを早めに言うようになっています。生徒たちが慣れてきたらまた元に戻すかもしれません。

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