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伊豆半島の温泉をレンタカーで巡る 1泊2日18湯の旅【2023年4月】

さくらの季節も終わったGW前の中途半端なタイミングを狙い、伊豆半島で温泉めぐりをしました。
テーマは①行ったことがない温泉に行く②西伊豆を狙うの2つです。

1日目

熱海のレンタカー屋が開店する8:00に合わせ、熱海に到着。
駅前の足湯「家康の湯」はコロナになってから閉められ、今回もやっていませんでした。

レンタカーを借りて最初に向かったのは熱川温泉(あたがわおんせん)。立ち寄り湯のある「たかみホテル」に行きました。
露天風呂に入りました。眺望はありませんが、ぬるめの湯でついつい長湯になってしまいます。先は長いのでいくら気持ちが良いからと言っても、あとで湯あたりになるといけないと思い、泣く泣く出ました。

ロビーからの眺望はすばらしいです。下に見える広場では、地元のおじさんバンドが野外コンサートをしており、10名くらいの観客とほのぼのした感じを醸し出していました。

次は「踊り子温泉会館」に向かいました。河津温泉と思い込んでいたのですが、温泉分析表で源泉を見ると「峰温泉」となっています。受付の方に念のため確認したら「峰温泉です!」とおっしゃっていました。
新しい建物で、地元の方々が開店前から並んでいます。新しい施設でサウナに打たせ湯、露天風呂もあるので、人気がでるはずです。

みなさんが入館した後で撮りました。

その後、そのまま一気に下田まで行き、「昭和湯」に入りました。
雰囲気は昔ながらの銭湯ですが、中身は源泉かけ流しの温泉です。

私はこういう共同浴場が大好きでいつまでも続けてほしいと思っているのですが、残念なことに急速に無くなっています。
1日に何回も温泉に入るようになったのは、無くなってしまう前に少しでも多くの共同浴場や旅館の温泉に入っておきたいからなんです。

近くにはペリー上陸の地があります。

奥に見えるきれいな形の山は下田富士

早めの昼ごはんを近くの食堂で食べました。早すぎて鉄板が温まっておらず下田焼はできないというので、たこ焼きを頼みました。

次に向かったのは下賀茂温泉「銀の湯会館」です。
下田の食堂のおかみさんオススメの温泉。

この温泉、稀に見る濃さです。塩類泉に分類されるには、1リットルあたり1g(1,000mg)以上の溶存物質が入っていないといけないのですが、ここはなんと17g(17,000mg)も入っています。
ちなみにバスクリンなどの温泉入浴剤は1リットルあたり0.2〜0.3gになるよう計算されているので、入浴剤の60〜80倍の濃さと言うことです。
女性が美肌成分として好むメタケイ酸も、100mgあれば保湿効果ありと言われる中、倍の200mg近いです。
おまけにここ注目ですが、99.6度の高温泉が毎分106リットル掘削自噴してます。
多くの温泉がポンプで強引に汲み出すしかない状態なので、掘削とはいえ豊富に自噴しているだけでも貴重な存在です。温泉分析書を上げるのはあまり好みではないですが、今回はあげておきます。

本当はこのあと弓ヶ浜温泉の共同浴場に行きたかったのですが、営業開始の14時まで1時間近く待たないと行けなかったので、先の温泉に進みます。

大沢温泉「依田(よりた)の荘」に行きました。

依田家はもともと武田信玄の家臣が武田氏滅亡の折に伊豆まで逃げてきて住み着いたのが始まりと伝えられています。
明治維新の際には、財力を活かして伊豆で最初の製糸工場を建て、今の下田高校につながる私塾を作り、天城峠を開通させ奥伊豆への陸路を開いた偉人「依田佐二平」を出しています。
弟の勉三氏がまたすごい人で、慶応で福沢諭吉と交わり感化を受け、北海道開拓に乗り出しました。十勝と帯広地区が開拓されたのは、この人がいたからと言われるほどの人物です。
結局彼の会社は倒産して失意のまま亡くなられたものの、彼の偉業は引き継がれ今の十勝地方の発展の礎となっています。

こういうことを知れるのは旅の醍醐味ですね。

温泉は旧家を改装した建物にあり、昔の太い梁や蔵が残されています。中庭も良い感じです。


次は堂ヶ島温泉にある共同浴場3つを巡ります。強風で一つ閉まっており2つしか入れませんでした。

「せせらぎの湯」

「しおさいの湯」

「沢田公園露天風呂」は強風のためお休みです。とても楽しみにしていただけに残念。

そして今日の宿泊地土肥温泉(といおんせん)に向かいます。
土肥温泉には4つの共同浴場があります。このうち元湯は地元の方のみとあったので、3つに入りました。
朝は営業しておらず、今日中に入ってしまわないといけません。
湯あたり気味でだるさと下痢症状が出てきました。
効いている証拠です。

1つ目は「大藪共同浴場弁天の湯」

2つ目は「馬場共同浴場楠の湯」

本当の元湯は楠の湯だという主張

3つ目は「尾形温泉共同浴場」

海沿いにあり分かりにくかった。

宿泊は伊東園ホテルにしてしまいました。普段なら頑張っている民宿を応援するところ、1泊2食付きで8,998円と安く値段に負けてしまいました。
ここのグループは夜食べ放題なだけでなく、ビール、日本酒、焼酎などが飲み放題なんです。
元は名だたる名ホテルだったことを忍ばせるロビーからの絶景です。

映画「湯道」で源泉掛け流しにこだわる頭の固い評論家役で出演していた吉田鋼太郎

2日目

ゆっくり朝ごはんを食べ、朝風呂に入ったあと早めにチェックアウトして、土肥温泉発祥の地と言われる「まぶ湯」の見学をしました。
金鉱山を掘っているときに見つけた温泉なので、坑道を意味する「間歩(まぶ)」から来ていると思ったら、由来を見ると見つけた人の名前が間部(まぶ)でした。意表を突かれました。紛らわしすぎる。
温泉を下ではなく横に掘って見つけたのは、伊豆山温泉の「走り湯」が有名ですが、土肥温泉もそうだったんですね。

お湯はまだしっかりと出ているようで、最高に気持ちよさそうな浴槽までありましたが、当然入ることはせず手だけ入れてみました。適温です。

奥の階段を上った突き当たりに源泉と思われる場所あり
安楽寺の門前に並ぶお地蔵さんの手前を右折します。
お賽銭をお忘れなく。

まぶ湯見学の後向かったのは青羽根温泉の「湯の国会館」です。

ホテルからの順路でいえば船原温泉の「湯治場ほたる」が先に来るのですが、営業時間が11時からなので、先に湯の国会館に行きます。
ここも開店前から地元のお客さんが待っていました。
内湯と露天風呂からの渓流の景色が素晴らしい温泉です。源泉が2種類あるのと、薬草風呂もあります。これは人気でますね。

それとここは温泉スタンドもあります。

次に行った「湯治場ほたる」はおススメです。宿泊はできずに立ち寄り湯のみなのですが、弁当を持っていき1日中過ごすにはもってこいの場所だと思います。
まず温泉がすばらしいですね。あつめとぬるめの湯があり、感覚的にはあつめで40度くらい、ぬるめは38度いかないくらいぬるいです。
そして湯舟がとても広い。
99度のお湯が毎分80リットル出ており、水で薄めなくてもよいように別府の鉄輪温泉にもある竹製の冷却装置(湯雨竹:ゆめたけ)で冷やしています。
その結果、源泉かけ流しで提供できているというわけです。
窓の外、というより窓はないので外の景色なんですが、渓流が流れており、季節的に新緑とさわやかな春風が心地よかったです。
正直もうずっとここにいたいと思いましたね。こうして書いている今も、うっとりとした気分がします。今回の大発見でした。無料のマッサージチェアが何台もあり、誰も使っていません。

外観: 昔のホテルをそのまま使っている感じです。
パンフレットより浴場の写真。男湯は逆で左が熱く右がぬるい

次に向かったのは修善寺温泉です。有名な「筥湯(はこゆ)」に初めて入りました。前に来たときは「独鈷の湯」しかなかったです。

独鈷の湯 今は入れない

筥湯は木造のユニークなデザインで、印象に残る建物でした。年月が経過すれば風合いも落ち着いてきて素晴らしい雰囲気になるのではないでしょうか。
修善寺の新たなシンボルですね。

筥湯外観

風呂の後、街を散策してそばを食べました。前回来たのは20年前で、渓流沿いの風格のある旅館がいくつか改装されてしまっていましたが、さすがの散策路でした。

昼食後に向かったのは白岩温泉です。ここでは3か所に入りました。

1つ目は「白岩の湯」。公民館のような建物で、横の公園では少年野球をやっていました。

2つ目は「白岩荘」。ここは源泉に一番近い源泉かけ流しなので鮮度が良いのだろうと期待していました。
感覚的なものですが、新鮮だったと思います。
宿泊旅館はやめており、立ち寄り湯を頑張って続けていただいている貴重な場所です。本当にありがたいことです。

3つ目は「小川温泉共同浴場」です。白岩荘と白岩の湯の間にある温泉です。
失礼ながらそこまで名の知られていない温泉地に、2つも共同浴場があるなんて、日本の温泉文化の裾野の広さに驚かされました。

横文字を右から書くのは戦前ですね。

白岩温泉を離れて向かうのは伊豆長岡温泉です。

「あやめ湯」に入りました。お湯は熱いですが、入れないような温度ではありません。44度くらいでしょうか。
建物の外観、浴場内の内装、雰囲気はすばらしかったですね。昔ながらのひなびた渋さに加え、粋や風流を感じさせます。

やはり共同浴場があるだけで、その温泉街の懐の深さが違ってきますね。
温泉街としては大成功している熊本の黒川温泉でもしっかり共同浴場は2軒ありますし、日本の文化としていつまでも大切に守っていきたいものです。

そのあとは駐車場探しに苦労し、狙っていた「長岡南浴場」「韮山温泉館」には入れずじまいでした。今度は電車で来ようと思います。

最後に熱海まで車を返しに行き、時間がかなり余ったので伊豆山温泉の「浜浴場」に行こうとしましたが、やはり駐車場を見つけられず入らずに帰りました。ここも今度電車とバスで来ようと思います。
熱海駅から歩けないことはないのですが、歩くと坂道がある上に結構な距離なんですよね。

こうなったら「熱海駅前温泉浴場」でも入っておくかと行ってみたら、残念なことに改装中でお休みでした。

最後に海鮮丼を食べて帰りました。桜エビは品切れで生シラスに変更です。

伊豆でおすすめの温泉

今回は行きませんでしたが、私が独断と偏見でチョイスする、伊豆の温泉ベスト3を上げさせていただきます。いずれも電車のある東伊豆エリアかつ駅から歩ける距離で、車がなくても行けるアクセスの良さを評価しました。

第1位:北川(ほっかわ)温泉「黒根岩風呂」

台風で高波が来て流されてもよい、という潔さで掘っ建て小屋にしているのでは?と思うほどの簡易さです。
伊豆には絶景風呂と言われる風呂はあまたあれど、多くは高台やホテルの高層階に人工的にお湯を引き上げて景色をよくしているだけであって、泉質を犠牲にした人工的な景色に感じます。

黒根岩風呂は ”目の前の景色をそのまま楽しめ” というワイルドな立地に、お湯も自然に上から下に流れてきましたといったダメージを受けていない泉質で、文句なしです。
問題は混浴なことくらいですかね。あとは混みます。ライダーがひっきりなしに来る感じです。

第2位:河内温泉「金谷旅館」

ここは千人風呂と言われる巨大な浴場で人気です。ただ大きいだけではなく、浴槽から建物まですべてヒノキ造りなのです。
浴槽は20m×5mに深さ1mというまさにプール
そこに敷地内から湧き出した温泉を源泉かけ流しでこれでもかと大量に投入しているありえなさ。
また、浴場奥にある茶室のにじり口のような戸を押すと、その奥にはこじんまりとした露天スペースが現れます。
限られたスペースにすべてを詰め込んだ、待庵、如庵クラスの侘び寂の極致を表現したかのような特別な空気感が、そよ風とともに吹き抜けていきます。

足元湧出ではないですが、そこを除けば酸ヶ湯の千人風呂、法師温泉長寿館に匹敵するレベルの雰囲気を持つ温泉と思います。
ここも混浴です。女性の方本当にすいません。そういえば酸ヶ湯も法師温泉も一番良い場所は混浴ですね。

第3位:今井浜温泉「舟戸の番屋」

ここは浴場に向かうまでの道と掘っ建て小屋感のある脱衣所をすぎ、ばーんと目の前に海が開けるまでのストーリーが素晴らしいです。
ずーっと薄暗い感じなのが、急にまぶしくなり、青い海と空が目の前に広がります。
かつてジェフリー・バワが建てたゴールのホテルで、ロビーから見た海のような衝撃を覚えました。ちょっと大げさだったかもしれません。。すいません。

なにしろビーチと同等のまぶしさですので、なかには素っ裸でSun bathingしている男性陣もおり、完全に違う目的に使われてしまうほどです。

それと、ここの良さは風呂上りに受付のある海産物レストランで伊豆名物の食べ物たちを楽しめるところです。さざえにイセエビ、キンメダイなどお楽しみください。昼時は激混みです。

脱衣所
浴場へ向かう階段

伊豆は首都圏から近く日帰りでも楽しめますので、是非とも熱海や湯河原からさらに足をのばし、美しい海岸線と海産物と温泉をお楽しみいただきたいと思います。

それでは良い旅を!

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