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有給休暇を取得中に海外留学したらどうなる?そもそもできるの?

結論からいうと、取得自体は会社のルール次第ですが、仮に会社が認めたとしても税金の関係でやめておいた方が良さそうです。

特に留学期間が私のように2年間と長く、非居住者扱いになる人はややこしいと思います。

もし留学予定が1年未満で、日本の税制上居住者扱いになるのであれば、現地の税制次第では、以下のサイトの方のように大丈夫かもしれません。
私はこのサイトはわかりやすいので参考にしていました。

言葉でロジックツリーを書くと①人事が認めるかor認めないか→②日本の税法上居住者に当たるかor非居住者に当たるか→③留学先の税法上居住者に当たるかor非居住者にあたるかの順で検討していくことになります。

1.会社が認めるか

私の会社は大丈夫でした。
副業は許可制ですので、副業を行う場合は認められないリスクはありましたが、留学は副業には当たらないです。
所得税の計算がややこしいとか、退職金の課税方法が異なるとか、通常のやり方と違う分面倒なので、認めないと言いそうだなと思っていましたが、そこは大丈夫でした。

2.退職金の課税

退職金の税率は低いから退職金でもらう方が有利と聞いたことがある人は多いと思います。
この優遇税制が、海外に在留している非居住者には適用されず、通常の源泉徴収(20%強)を受けることになります。
線引きは、滞在予定の期間が1年以上の場合、非居住者にあたるようです。

ただし、救済ルールはあり、確定申告により優遇税制の適用を受けた場合の課税額を超える課税は還付が受けられます。これを退職金の選択課税と言います。
要は、いったん源泉徴収されて目減りするけれども、後から取り返せるということです。
確定申告の時期に忘れずにやっておけば大丈夫です。
ご参考までにインターネット情報を載せます。他にもありました。
本当は国税のサイトをご紹介したかったのですが、正直非常に読みづらくわかりづらいので、やめました。

国税庁のサイトにも説明があるくらいですから、海外駐在が長く退職時に海外にいて退職後も海外で生活を続けるケースとか、非居住者が日本で退職金をもらうケースはよくあるのでしょう。
私のベンチャーキャピタル時代の同僚の中にも、日本に帰ってこいと言われて従わずに現地に残った人が何人かいますので、彼らは非居住者扱いで退職金をもらっているはずです。

還付を申し込んだかまでは分かりませんが、他にも沢山いるはずなので、税務署も慣れているような気がします。

あと気になるとしたら、誰に還付手続きをやってもらうのかですよね。
私の場合は還付された税金はすべて成功報酬で渡すという条件で、日本に残る妻か娘に願いしようと思っていました。

ということで、あまり心配はしませんでした。

3.留学先の国での課税

インドネシアの場合、居住ビザを取る人は滞在期間に関係なくインドネシア居住者とみなされ(居住の意思あり)、インドネシアで全世界の所得を申告し納税しなければなりません。
就労ビザでなければ、NPWP(納税者番号)を取らないので、もしかしたら納税義務が発生しないかもしれないと思いましたが、いくら調べても出てきません。

納税者番号がないから払えないということにして逃げ切る考えは私にはありません。それは節税ではなく脱税になってしまうので。

これがシンガポールとかであれば、たとえシンガポールに家があり家族で住んでいようが、シンガポールに滞在している日数が短ければ課税額が低くなるルールがあります。

この課税が厄介に思いました。有給休暇を消化中に留学先に出国してしまうと、退職の時点でインドネシア居住者になっているので、退職金所得に対しても課税されますし、有給休暇消化期間の月給についても課税されます。

退職金にかかる税率とか、月給にかかる税率とか、インドネシアの税法を調べないといけないですし、日本で源泉徴収された分は全部は取り戻せず2重に課税されそうです。

また私が駐在していた当時の記憶では、法人税だと、前年の法人所得を元に前払いしていくので、払い過ぎた分を後から還付請求しないとならず、大変苦労した記憶があります。税務署が還付に抵抗するんですよ。
私は徹底的にやるたちなので、不服を申し立て、税務裁判に持ち込み勝ちました。でも会計事務所に高いお金を払っていたので、税務署が払う金利分を考慮しても手取りとしては半分程度しか戻ってきませんでした。
個人所得でこれをやられると大変面倒なことになります。

日本人向け税務コンサルで食っていくのであれば、労力をかけリスクを負っても経験して学ぶ意味もあろうかと思いますが、正直考えるだけで面倒です。

4.理屈上ありえるパターン

入学し授業に出ているけれど、遠隔で日本から授業に参加するのであれば、いけます。
VISAがおりないとか、コロナのようなパンデミックで入国が求められないなど、現地に行けない合理的な理由があり、大学側も認める場合です。
そうやって有給休暇を消化し退職してから出国すれば、日本の居住者ですから、現地での納税義務はなく、退職金の優遇税制も受けられ問題ありません。

でも、それじゃあ留学する意味ないですよね。
それに、退職日は早めに固めないと会社も人事も困るので、いつVISAが下りるかわからないからといって、ずるずると退職日を引き延ばしていくのは認められないと思います。

ということで、残念ですが有給休暇の取得はあきらめることになりました。

非常に損をした気分です。
勝手に取らぬ狸の皮算用で妄想を膨らましていただけなんですけどね。

終わり



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