問われ続ける学級経営 <4月>

 3月に得た幾許かの達成感と、その直後から始まった新年度ダッシュを終えて、大型連休を前にほんの少し平安な心持ちでいます。前校長が勇退され、新たな校長、そして初任含む多くの新しい先生が赴任して始まった令和5年度でしたが、ここまで楽しく走ってこれていると感じます。歓迎会と称して夜の飲み屋街に繰り出すことにちょっと感じていた抵抗もなくなり、小規模ながらも歓迎会のようなことができたのも大きいでしょう。多分、おそらく、きっと。

 教員界隈でまことしやかに語られる「黄金の3日間」については、私は少し懐疑的ではありつつ「まあそういうのもあるよね」くらいのスタンスでいます。新年度ブースト効果のかかった子どもたちに対して、ルールや学級システムの説明が入りやすいのは事実です。また、熱意でゴリ押しし、俺について来いと言わんばかりの剛腕経営で押し通していけるのもこの3日間の成せる業です。しかし、そんな力業ではその後の約200日間のどこかで致命的な歪みを生み出しかねないので、結局のところ、この3日間の言葉、表情、姿勢、行動と態度については神経を尖らせていく必要が出てしまいます。もっと自然体でありたいのですが、そう楽はさせてくれません。

 そして、最近盛んに言われている「学校・学級を安心して学べる安全な環境にする」という学級経営の大きな方針は、3日間で成立するような生やさしいものではない、という大きな壁が立ち上がってくるわけです。身体的な安全も、心理的な安心もない子どもたちにとって、3日間の体験がどれだけ意義深いものになるのかは、やはりいろいろ割り引いて考えなくてはならないと感じます。
 4月、これから約200日間をかけた「安心して学べる安全な環境づくり」が始まったわけです。
 小学生の子どもたちがみな「この隣の席に座っている子は、優しいいい子なんだろうな。」という淡い期待をもっていてほしいのですが、現実はそうではありません。「こいつもきっと俺を攻撃してくるに違いない。なら先にやっとくか。俺が上位だと知らせておかないとな。」「”私が”楽しい学校生活を送るために、この中の誰を利用しようかしら。」そんなことはお首にも出さずに、でも無意識下で黒い渦を巻き上げて燻らせている子どもは多少なりとも存在しています。「今年度こそは」と意気込んでいるその心の内の内で、何かを企てているかもしれないな、そういうことも考えておく必要があるのです。

 種を蒔いたり苗を植えたりする前に、土を耕さなければなりません。4月はきっとそういう時期なのでしょう。種を蒔く前の大事な仕事は、その時にしかできないのですから。