プログラミング教育 またわからなくなった

 何回同じことを繰り返せば気が済むのだろうか,ぼくというヤツは。教師というヤツは。もっというと人類というヤツは。主語を大きくしてみたが,結局のところまた私は「プログラミング教育」というものがわからなくなってしまった。わかったような顔をしていろいろ喋ったり授業をしたりしているが,わかったような顔をしておかないと自重で潰れそうなのである。巨大な水棲生物が陸上では何もできなくなるのと同じように。

 プログラミング教育を全(前)面に打ち出して,授業を公開した。いわゆるB領域の授業だ。極々少数の参観者に絞った公開ではあったが,ある一定の手応えを得ることができた。そしてそれは,また「わからん」という谷に下りていくことを意味している。次の糸口はどこにあるのだろうか。

 B領域。学習指導要領に示されていないが,各教科領域で取り組むもの。A領域(5年算数「多角形」と6年理科「電気の利用」)とB領域の生命線は「教科のねらいを達成すること」にある。算数としての,理科としての,ねらっていることが達成されていないのであれば,それは「(プログラミングの)活動あって(教科特有の)学びなし」という最悪の事態を引き起こす。「教科としてのねらいを達成しよう」というフレーズが,糸口としては有力だし,今後私が主張していく際には,このフレーズが頻出になるだろうという予感がある。

 教科のねらいを達成するにあたって,scratchが有効だ,meshが有効だ,となれば使う。逆に使ったらまずいのなら当然使わない。
 で,その見極めってちょっと難しくね? ということになってくる。難しいと思う。多分,きっと,そうなんじゃないかな。難しいはずです,はい。

 また残酷な話だな,と私は思う。授業が成り立ってない状態,授業としての体を為していない状態,授業としておいおいそれはどうなんだと疑問符を投げつけたくなる状態。プログラミング教育という舞台に上がれない授業というのがある事実を,残酷に浮き彫りにする。
 そして,私の公開授業も,同様に「授業としてどうなんだ」という疑問符をぶつけられて然るべきものではあった。あったが,一歩は進んだのだろうなと実感することはできる。ぼんやりとした実感であったとしても。指の隙間からさらさらとこぼれ落ちる砂のような実感だが。それでも。