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「脱炭素」の政治力について (1)

 2020年9月。長期政権だった安倍政権がついに首相交代することとなり、それまで官房長官だった菅義偉が、第99代内閣総理大臣に就任した。菅首相は従来の安倍政権の路線を継承しつつ、大きな違いを所信でうち出した。それが「2050年までにカーボンニュートラルを実現し、脱炭素社会の実現を目指す」ことだ。この段階では、聞こえのよい政治的アピールにしか思われていなかったこの宣言が、アメリカでバイデン大統領が2021年1月に正式に就任した際に同じく「カーボンニュートラル」の目標を掲げパリ協定に復帰したことで状況は一変する。先行して動き出しているEUと合わせ、世界がカーボンニュートラルを目指して動き出すことになったからだ。

 世界の主要国が同じ目標に向かって動き出すという事は、その先にフォローの風が強烈に吹き込むことを意味する。おぼろげであった各種方針は明確になり、これからの産業構造も固められていくこととなった。最大の製造産業である自動車業界は、それまでのガソリン、ハイブリッド車から、電気自動車=EVへの転向を強烈に加速させた。電力産業も、化石燃料からクリーン電力と呼ばれる「太陽光」、「風力」、「水素」、「原子力」へのシフトを余儀なくされ、世界の共通指標として「二酸化炭素=CO2排出量」が産業構造に組み込まれることとなった。。。

 アフターコロナへの産業活性化の布石であり、環境問題対策がいよいよ動き出したようにも思えるが、自動車の準備産業に組している私からすると、この一連の流れは面白くないものだった。さらにこの裏にあるものが透けて見えてくるたびに、その不快感は増してくるばかりだった。裏にあるものは何か?それは、全て欧州(正確にはその一部の支配者層)が仕組んだムーブメントであるということにある。

 まず歴史の事実として、欧州諸国は過去において世界中の国々を植民地として支配していた。しかし第2次世界大戦後、「自由と民主」の名のもとに植民地は次々と解放され、加えてそれまで明らかに格下としてみていたアジアの敗戦国や、イギリスからの分家国が「経済力」という強さを発揮し始め存在感を増してくると、今まで何百年以上「支配すること」や「上に立つこと」が当たり前だった支配者層からは、それは「分を超えた所業」「越権行為」にすら思えたのではないだろうか?加えて21世紀に入り、それまで「眠れる獅子」と揶揄していた国までが台頭し、近い将来的にはかつての植民地であったインドまでもが、国際社会での存在感を増すことが予測されている。。。第2次大戦後、これらの国家が台頭してくることが予測された時、これまでの直接的な支配から、間接的な支配に切り替え、世界の仕組みを構築することで、結果的に世界を支配することを行ってきたと思うと合点がいく。

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