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みずうみ

こころのふちから溢れる水の
うつくしいことばを あなたにかならず
それから こぼれた水の一滴を握って
窓辺の葉のうえに そっと垂らすと
ささいなきらめきを眺めていたあなたの
あたまのなかには 畑のあたらしい
芽のあたらしい 緑ときみどりと白と
透明がうまれる

夜がふける 川のほとりで
息をしているわたしたちのそばを
飛んでいった丸々とした鳥の
おなかの大きさは わたしの怖さの
ほんのすこしを形にしたくらい
そのくらい大きな おなかだった

あたたかいおにぎりをたべたのね
新幹線の荷台で眠っている灰色のねこが
トンネルの外では 空になってしまう
わたしにはわかる
あなたの う という寝言が
神さまを呼ぶ奇妙な合図になった
わたしは消えてしまったから
ゆるやかに ゆるやかに
しなだれてしまった

わたしはうつくしいことばを
さがして もういちどこぼして
すくうため
あなたのつくった湖にもぐる
あちこちに ある水のうみにもぐる

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