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新鮮な重力

新鮮な重力 新鮮な重力は どこにでもある あたらしい季節と古い季節の中心にも ジャングルジムのうえのきつねの 口の中にも 新鮮な重力をうけて 立ちましょう それか座ったり 川を流れるだるまを掴んだら あなたがだるまに新鮮な重力を与えることになる あそこにカモメがとんでいる カメ アモメ カモモメ モメ 彼にも新鮮な重力がかかっています わたしたちがりんごを抱きしめるとき 世界が回りだすけれど  かならずどこかにS字フックをかけられるばしょがあるはずだ それを探してカレ

    • ぶどう畑の、砂の人

      ロングになるのが待てなくていますぐ三つ編みをしたら毛が硬すぎて綱のたわしみたいになった。首に刺さって痛かった。 きょうはチャリで走った。きのうもチャリで走った。スマホのスピーカーからCoccoを流して走っていたら、自分は子どものころ見たあの謎の大人のひとりになってしまったんだなあと気づいて、でもすこし清々しい気持ちになった。 土日、どちらもドラム缶の見張りをした。誰かのドラム缶はすこしずつぼろぼろな感じになっていく。人のものが、金属が、雨ざらしで朽ちていくのを見張るのはなん

      • 精神の穴ぼこ

         雪に、傘で穴ぼこを開けてバスを待っていた。  とてもさむく狂ったように食べてしまう。ごはんの時間のほかに、10じと15じに強烈にお腹が空く。それで帰宅するとそこら辺にあるものを手当たり次第食べてしまう。きょうはチーズトーストとスクランブルエッグを食べた。朝の気分になった、それから珍しく長く湯船に浸かったらすこし元気になったのでひさしぶりに日記を書くことにした。  さいきんはドラム缶の見張りにもあまり行けていない。ジョギングも雪が邪魔でできない。ひたすらバスに乗って出かけ

        • 鈴たち(冬眠の短歌)

          改札のないまちで待ち合わせするとき 一個だけ鈴を持つこと でたらめに雪をすくって投げつける ボンボボンボン ラブレタがきた くまのマグカップ倒してお茶を飲む 夜中いっぱい まっ白の床 わたしたち死んでもふたたび蘇る 小指の皮をむしりにだけ来る ほんとうは便りがなくて何もない 夜ふかしばかりで奥歯がずれる 鈴の音が聴こえたらすぐダンクする 無音のバスケで年が暮れたよ

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        • kmpd きょうのにき●
          75本

        記事

          オレンジ(2017)

          2017年に書いた文 :::  夜が遠のいて、真知子は寂しい夢を見た。女のキリンが真知子の前を歩きながら振り返らずにこう言った;愛する誰かに首筋を撫でて欲しいけれど、そうしてもらっても、どうしても満足できない。南の強い風がどこかからやってきて、わたしの首の上から下までしつこくさすり回しても、それでもわたしの本番はやってこない。  真知子の額に雨粒のようなものがあたった。真知子が傘を広げると、彼女たちが歩いていた道は林の奥へと続く小川になった。  真知子はラジオを聞いていた

          オレンジ(2017)

          2023

          ●2023 後厄の2023 おやすみみたいな一年だった 年の初めに「いらないものを捨てる いるものを捨てない」と手帳に書いた うまく行ったかはわからない 1月は元旦から走った 年末につづいて毎日のように走っていた それから精神が悪くてやたら吐いていた 時間をかけて絵を描く練習を始めた 仕事おわりと休みの日 1ヶ月かけて1枚絵を描くというのを4月くらいまでやった 具合がわるく仕事を休みまくっていたら2月にとてつもなく金欠になった 食べるものも買えないレベルの いろんな方に助

          ここに光るものはなにもない 

           十字架が光って、哀しいシーンを照らす夜。  それは目の前にあるわけではない。どこをどう通っても誰かに怒られたり咎められたりすることもない風が、おなじように誰に止められることもなく際限なしに冷たくなった風が、光る十字架のうえから・誰もいない畑から・休む蝶の羽と羽のすきまから、とにかくあたり一帯を通り抜け自分のところまでやってくる。ただそれだけによるもので、実際には十字架どころか、ここに光るものはなにもない。  停電が起きたと仮定した。あれこれ考えて、哀しくなってすぐにやめた

          ここに光るものはなにもない 

          窓窓(冬眠の短歌)

          都会の戸 都会の窓と わたしたち ふたつのあいだ 紫の風 この光 砂漠のひかり 忘れたら セルフレジでも まばたきばかり どろどろの こぼしてもまだ 重スープ 地下まで垂れて 電車が止まる  いちごあめ あったら食べる なかったら ところかまわず 貶しさえする いつからで どこまでだったか わからない 蹴ったら飛んで 脳になる星 床を拭き メスティンを捨て 旅に出る 両端ひらいた ままの窓窓

          窓窓(冬眠の短歌)

          古墳と光(冬眠の短歌)

          街をぬけ ドーナツ持って 草原に ガラガラのこし 古墳で眠る さむかった あたたかかった おとといの にきを書いたら 爪がとれたよ アメリカを あめにかといい ザリガニを にゃりにゃりという 街灯がつく 起こしてね そう言うわりに 立ちつづけ 真っ赤なひとみで かもめをみるね エメラルド グリーンたすと エメラルド グリーンになる 算数がある 左向き ねるとたいてい 夢を見る わたしと誰か 古墳と光 2023/10/30

          古墳と光(冬眠の短歌)

          これからくる終末にむけて

          イラストのくまは茶色なのにニュースで見る熊は黒い、と言ったらそれはヒグマであれはツキノワグマといわれた。どっちがどっちか思い出せない。 さいきんなんだかすごく気分がいい。でもそれは悪いことらしい。自分の気分がすごく良いことが悪いことなのは哀しい。アンパンマンのくらやみマンもこんな気持ちなのかもしれない(くらやみはどこにでもある。とか言うブラックホールのキャラクタ)。詳しく言うと、すごく気分がいいときは頑張りすぎたり余計なことをしてしまったりして、しかもそのあとすごく気分が落

          これからくる終末にむけて

          歯の使者がくる

          またサナトリウム(と呼んでいるだけの何もないところ)に戻ってきてしまった。もう1ヶ月ちかく居る。夕方に水を500ml持って散歩にいく以外ほとんどなにもしていなくてからっぽになった。銀行口座の残高は1円で、仕事もなく恋人もいない。2016年以来の何もなさ。でも2016年はなぜか東京にいてしかもいまより7才若く10キロもやせていた。病気もここまでは悪くなかった気がする。7年かけて、ふりだしよりずっと前に戻った。 たまに病院にいくために街に行く。あまり落ち込んだり暗いきもちになっ

          歯の使者がくる

          ソウシキドリを追い払う記号

          夜さめやらぬとおくの陰に 一羽のソウシキドリがいた  まっくろのつばさ まっしろのからだ ソウシキドリ  ソウシキドリがでることは不吉  わたしたちは あめ  やわし  そむ そういったことばを交わす さらに綿菓子の袋のなか 深刻な炎を焚き上げて すべてをなかったことにする かれらのベッドへ飛ばすやりかたで ソウシキドリを追い払う記号 エチケット まちがえた  クリケット まちがえた ソウシキドリを追い払う記号を おいかける 遥か春からくる くるま 引きずるぼろき

          ソウシキドリを追い払う記号

          2022

          ●2022 ことしは厄年 厄年はいろいろなことが起こるときいていたけどほんとうにいろいろなことが起こった というか起こした気がする 1月に門司港にいった その翌日とつぜん精神がおわってしまった しんでしまわないようにひとりで熱海にいった ひさしぶりの熱海 大好きな熱海 こころが癒された かえってきて絵をたくさん描いた 恋人じゃない人と結婚するからおしごともやめて引っ越す、と騒ぐだけ騒いでけっきょくしなかった あたらしいともだちと出会った 3月に思い立って7年分の文と詩の

          個展のまえに

          書店「nowhere」さんにすてきな企画を用意していただき、絵の個展を行えることになりました。個展は2回目です。1回目はこのまえの年末年始におしごとのおやすみにあわせて自分のアトリエで行いました。場所は非公開、完全予約制で行いましたが20人の方が来てくださりました。外で個展するのははじめてで、しかも東京なのでどんなふうになるのかどきどきします。 個展「いつも誰でもいうことを特別にした」 11月21(月)-27日(日) 12:00〜19:00(最終日は18:00まで) 下北

          個展のまえに

          みずうみ

          こころのふちから溢れる水の うつくしいことばを あなたにかならず それから こぼれた水の一滴を握って 窓辺の葉のうえに そっと垂らすと ささいなきらめきを眺めていたあなたの あたまのなかには 畑のあたらしい 芽のあたらしい 緑ときみどりと白と 透明がうまれる 夜がふける 川のほとりで 息をしているわたしたちのそばを 飛んでいった丸々とした鳥の おなかの大きさは わたしの怖さの ほんのすこしを形にしたくらい そのくらい大きな おなかだった あたたかいおにぎりをたべたのね 新

          2021

          ●2021 2021年は目まぐるしい愛の年だった 起こるとおもっていなかった不思議なことがたくさんおきた 北海道にいった 精神病院に入院した いろいろな花のお花見をした 夏は朝の海に入った こころがあらわれた ドライブにでかけた 九州のあちこちにいった ウイルスはまだみんなのそばから居なくならなかった ナイトマーケットをした ほんとうにたくさんの方にみてもらえた 秋は恋人と旅に出た 2週間のおもしろくてうつくしい日本海の旅 いくつもの朝と夜を海辺でむかえた 冬には満月の月