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鈴たち(冬眠の短歌)
改札のないまちで待ち合わせするとき 一個だけ鈴を持つこと
でたらめに雪をすくって投げつける ボンボボンボン ラブレタがきた
くまのマグカップ倒してお茶を飲む 夜中いっぱい まっ白の床
わたしたち死んでもふたたび蘇る 小指の皮をむしりにだけ来る
ほんとうは便りがなくて何もない 夜ふかしばかりで奥歯がずれる
鈴の音が聴こえたらすぐダンクする 無音のバスケで年が暮れたよ
オレンジ(2017)
2017年に書いた文
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夜が遠のいて、真知子は寂しい夢を見た。女のキリンが真知子の前を歩きながら振り返らずにこう言った;愛する誰かに首筋を撫でて欲しいけれど、そうしてもらっても、どうしても満足できない。南の強い風がどこかからやってきて、わたしの首の上から下までしつこくさすり回しても、それでもわたしの本番はやってこない。
真知子の額に雨粒のようなものがあたった。真知子が傘を広げると、彼
ソウシキドリを追い払う記号
夜さめやらぬとおくの陰に
一羽のソウシキドリがいた
まっくろのつばさ まっしろのからだ
ソウシキドリ
ソウシキドリがでることは不吉
わたしたちは
あめ やわし そむ
そういったことばを交わす
さらに綿菓子の袋のなか
深刻な炎を焚き上げて
すべてをなかったことにする
かれらのベッドへ飛ばすやりかたで
ソウシキドリを追い払う記号
エチケット まちがえた
クリケット
まちがえた
ソ