本州の100円回転寿司は北海道の◯ー◯ーの寿司に敗北する説
北海道は食がうまい。スープカレーや回転寿司は言わずもがな、駅近のパン屋さんや居酒屋の小鉢、宮越屋珈琲のお冷の水まで美味い。
道民のみなさんは気づいていない人が大半だが、それほど北海道の食のレベルは高い。
今回は寿司に焦点を当てて、海外と日本各地をまわった経験のあるぼくがそのすごさを言葉にしてみよう。
第1回は「本州の100円回転寿司は、北海道のスーパーの寿司に敗北する説」である。
北海道のスーパーで驚いたことがある。
写真を見てもらうとわかると思うが、これは札幌の近所のスーパーで撮った写真だ。
お分かりいただけるだろうか?
量が多いのだ。18巻で1,058円である。
1巻あたり59円。2巻で120円。
これはもうほぼ100円回転寿司の値段である。
たぶん道民以外の人は驚いてると思う。
関東のスーパーの寿司はこんなに量が入ってないし、四国や中国地方に住んでた人に聞いてもスーパーの寿司の量に驚いたらしい。
ついでにスーパーでは見切り品で18時や20時くらいは安くなるので、待ってしまえばこのような値段で買うことも可能だ。
もうバグってるとしか言えないだろう。
一言で表すと、コスパが良すぎるのだ。北海道のスーパーの寿司は。
ここまでくると、北海道にあるスシロー、くら寿司、はま寿司あたりは、なぜここに出店しているのか?という疑問が湧いてくる。
神奈川県の横浜に住んでいたとき、ぼくは100円寿司の良さを「安さ」だと思っていた。
だが、もしぼくが北海道のくら寿司だったら、おそらくアイデンティティークライシス(自己喪失)して、生きる意味を失い、メンタルヘルスをやられてただろう。
なぜ私は北海道に出店しているのだ?
(味は回転寿司のトリトンや根室はなまるに勝てない……。)
私の生きる意味はなんなのか?
(値段はイオンのスーパーの寿司に並ばれている……。)
私はこの北海道に存在しててもいいのか?
(強みが自動レーンとびっくらポンくらいしかない!)
ぼくは台湾に住んでいたとき、スシローやくら寿司というだけで、その存在をありがたがって拝んでいた。
ニセモノだらけの日式寿司があふれる台湾で、本物の味を伝えてくれる寿司の伝道師。
日本に比べて一皿1.5〜2倍(だいたい台湾のスシローは一皿150〜200円くらいである)だろうが、この海外での企業努力に感涙。
寿司のシャリが硬くても、マグロが多少硬くても無問題。
あなたがここ(台湾)にいてほしい。
それだけで私は幸せ。もう何もいらないわ。
台湾の台南に住んでいたとき、毎日感謝の気持ちを込めてスシロー台南安平店を横切っていたぼくだが、慣れとは恐ろしいものである。
「スシローなんか行かなくても、札幌のイオンで8時まで待って、半額の寿司を買えばいいじゃん」
台湾にいた時はあんなに感謝していた「スシローさん」だったのに、北海道ではいつのまにか「スシローなんか」になっている。
うちのオレに限って、こんな裏切りに走ることはないと思ってたのに……。
しかし、これも仕方ないのかもしれない。
台湾にいる時、ぼくの中のスシローやくら寿司の価値はこうだった。
「味がいい。値段もそこそこ。丁寧な日本式サービス最高!」
しかし、北海道においてはどうだろう?
「味はスーパーの寿司と同レベル。値段も同じ(むしろ時々見切れ品に負ける)。勝てるところは自動化レーンやびっくらポン!」
こんな感じである。うちの3歳の甥っ子は光速で押し寄せる寿司皿に感激し、びっくらポンに手を叩いて大感激してくれる。
しかし、35歳のスレたおじさんは、「まえちゃんさん、今度はま寿司行きませんか?」と道民の女友達が誘ってきても、「は、はま寿司かぁ……」とためらうレベルである。
(どうやら道民は本州からやってきた新規チェーン店に興味をそそられるらしい)
冷静に考えると、本来35歳のおっさんは、歳下の女友達から飯の誘いが来ること自体、感謝しないといけないはずだ。
しかし、週末はイオンの見切り品のパック寿司を2つ買って喜んでいる身体になってしまったぼくである。
果たして北海道のはま寿司に喜べるのだろうか?
道民の友人も、こんなに美味しい寿司を満喫してるはずなのに、100円のはま寿司に価値を見出せるのか?
はま寿司の魅力は、選べる醤油の味のバリエーションだけだぞ。
気になるので、今度他の道民の方々も誘い合わせの上、彼ら彼女らがどのような反応をするのか見てみたい。
だいぶ話は外れたが、道外の人はぜひ北海道に来たらスーパーを覗いてみてほしい。
驚きの量と値段のスーパーの寿司がそこにあるはずだ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?