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日本発売のカバランのハイボール缶はなぜ甘くなってしまったのか?



2021年6月に日本で発売された台湾のカバランのハイボール缶とジントニック缶。

こちらは2020年6月に台湾本国で発売されました。

もうコロナ禍で台湾に行けない日が1年以上も続いてます。

日本人にとって台湾に行かずに台湾の商品を手に入れられるので、非常にありがたい発売と言えるでしょう。

ちなみにカバランは世界的に注目され始めた台湾発のウイスキーメーカーです。

ウイスキーの世界では、世界5大ウイスキーと言って、スコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダ、日本が優秀な産地として有名でした。

しかし、突如ここに2010年代に入って、殴り込みをかけてきたのが台湾産ウイスキーです。

ウイスキーの蒸留は暑い地域では向いていないという常識を覆し、美味しいウイスキーを作ることに成功したのです。

そこが出したこのカバランのハイボール缶。

日本で例えれば、サントリーがウイスキー山崎を使って、ハイボール缶を作るようなものです。

しかし、意外と予想していた味と異なり、台湾のカバランウイスキーのハイボール缶は甘くなってしまいました。

ぼく自身はお酒に弱く、甘いカクテルを好むので、このハイボール缶は嫌いではありません。

しかし、お酒を飲み慣れている人や本格的なウイスキー好きの人は、「悪い意味で裏切られた……」という声もあるようです。

なぜこんな味になってしまったのでしょうか?

台湾に4年間住んでいたぼくの勝手な想像なのですが、ちょっと理由を考察してみました。


台湾人の好みとお酒の話

ぼくは台湾でワーホリをしていた時、台北の繁華街の林森北路のスペインバルで、バーテンダーのアルバイトをしていたことがあります。

雇ってくれたオーナーは日本人だったのですが、苦笑しながらよくこう言っていました。

「台湾人は普段お酒を飲む習慣がないから、日本の居酒屋ビジネスモデルが全然通用しないよ」と。

日本の居酒屋はフードの利益率は低く、お酒やソフトドリンクを飲んでもらうことで利益を出すビジネスモデルです。

(一説によると、サワーやウーロンハイの利益率は75〜80%にもなるそうです)

しかし、台湾人は居酒屋で料理を注文するばかりで、お酒を全く注文してくれません。

そんなお酒を飲む習慣があまりない台湾で、このカバランの新商品はコンビニで発売されました。

(台湾のコンビニ業界1位のセブンイレブンと2位のファミリーマートで販売中です)

ぼくはこの台湾のコンビニ発売というところに、ハイボール缶が甘くなった理由がある気がします。

実は台湾のコンビニ密集率ってすごいんです。

2021年7月15日のTaiwan Todayの報道によれば、台湾のコンビニ密度は1平方キロメートルあたり0.31軒で、世界第2位!

1位が韓国ですので、日本よりも多いのです。

お酒をあまり飲まない台湾人に対して、新商品のハイボール缶を売るにはどうすればいいか?

「台湾人に手に取って飲んでもらうために、砂糖を入れて飲みやすくしよう!」

きっとカバランのハイボール缶が甘くなったのは、こんな事情があるとぼくは思うのです。

これはまったくの想像なので合ってるかは分かりません。でもお酒をあまり飲まない台湾人に、コンビニに卸して大量消費してもらうためには、甘くして飲みやすくするのがベターな戦略な気がしました。


カバランハイボール缶は日本で売れるのか?

日本ではパッケージだけを変えて、中身そのままで発売されたハイボール缶とジントニック缶。

日本用に新しい調合をしてたらコストが見合わないでしょうし、台湾本国と同じ味で発売されたのはわかります。

しかし、日本の酒店の棚に並べられてるのを見ると、ちょっとコスパの悪い商品だと思わざるを得ません。

なんせカバランハイボール缶の値段は294円(税込)です。

パッケージもシンプルに削ぎ落とし、高級感を打ち出しています。

ただ、飲んでみるとこのハイボール缶は甘いのです。

日本のお酒コーナーの棚には、150円くらいで買える甘いお酒がたくさんあります。

わざわざ約300円で甘い台湾のハイボール缶を買うなら、150円くらいのチューハイを選ぶ人は多いのではないでしょうか。

それか日本のハイボール缶を150円で買って飲む人もいると思います。

ぼくも最初は物珍しさで買いましたが、毎回買うのはちょっと気が引けます。

このハイボール缶が辛口で、本格的なウイスキーハイボールだったら、もう少し300円でも飲み続けてみたかったなと感じました。

いろいろな事情があると思いますが、ちょっとカバランハイボール缶は日本で人気を得るのは難しい気がしてなりません。

本場の味と現地化。自国のものを海外に売る時は、どこまでもついてまわる難しい問題です。


【※】この記事は自分のブログに掲載しましたが、Googleの広告規定を違反してしまったので、泣く泣くnoteに掲載しました。嗚呼、お酒は厳しいよ。

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