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これからの一年、役員の皆さんよろしくね。

「心配じゃないけど、心配かも」

夫が首をかしげながら、ちょっと困った様子だった。なんのことかと言うと、この5月から町内会の理事を任されていることだ。

うちの町内会は、もう半数以上の世帯が高齢者で成り立っている。空き家も多い。それでも、地域のお助け活動が趣味、というような元気な方も多い。高齢の一人暮らしのおばあちゃんのお家の庭木を整えたり、子供たちの登下校の際の交通整理、地域の防犯パトロールなども行なってくださっている。

ただ、町内会活動が大変すぎると、町内会に加入しない世帯も多い。町内会に入っていたけれど、やめる、という人もちらほらいると聞く。一年間担当すれば良いのかなと思いきや、くじ引きで二年や三年連続して担当することになった人もいる。

わたし自身、町内会の婦人部という「この部門、このご時世に要らんやろ」という、本当にお茶汲みとか雑用のような仕事を数年前に一度体験した。仕事をしている、というのが前提になくて、平日でも構わず「豚汁の準備」「おでん作りの下準備」などが割り当てられていて、会社を休まざるを得ないこともあった。

大変という感想よりも、「ムダが多い」というのが正直な感想。年に二回、防災訓練を行うのは有意義だろう。消火器の使い方とか、実際にそのタイミングで体験しないとわからないことも多い。けれど、非常時に「前日に下準備した豚汁」というのは存在しない。豚肉は一回下ゆでしたり、お味噌を漉したりもできないだろう。

「去年とおんなじように。マニュアル通りにやって!」と怒鳴る人もいて、変えていきましょうよ、と率先的にはなれなかった。おじいちゃんたちの老後の楽しみ、という感覚も強かったので、良い面と悪い面があるなあというところ。

今年の5月から、理事の仕事が回ってくるので、またちょっと面倒かもなあと、夫もわたしもどんよりと悩んでいた。毎月一、二回は役員会があり、何かしらのイベントがあり、準備がある。まあとにかく時間と身体を差し出さなきゃいけないなあというところ。

新任としては5月から、なのだけれど、3月、4月も月二、三回集まりがある。懇談会とか、役員ぎめとか、研修会とか。

そうして、今回「新任理事の自己紹介」という場が設けられていたので、夫はそれに参加してきた。30名程度の集まりだから中止にしないという判断だった。

理事の仕事、いろいろ大変かな? という予想を反して、夫は「心配」だという。

40歳の夫が、最年少。次に50代くらいの人が二、三人。後はもう定年退職を迎えている男性だったり、お独り住まいのおばあちゃん。自己紹介でそれぞれ年齢やら趣味やらを言ったので、ちょっとした個人情報がわかったそうだ。

中には79歳のおばあちゃんがいたそうだ。またメールで連絡できるかどうか、という話題の際に「うちは、この前おかしな電話がかかってきて。警察にお願いして、大変なことになったから……」と、メールも使っていないけど、電話に出るのも怖い、というおばあちゃんがいたという。その場にいたみんな、リアクションが取れなくて、困ったそうだ。

本当に、いろいろ心配だ。理事の仕事はこの際どうでも良い。多分できるだろう。ただ、メンバーの健康とか、日常の危機管理が心配になる。

今年は、イベントの開催も、もしかしたら中止や縮小されることもあるだろう。とりあえず、これからの一年間、みんな元気で理事の役員会に参加してほしい。





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