差添い

「そんなところで寝てたら、風邪ひくよ」

畳の上でうつぶせになって、本を読んでいたとき。

ひんやりと冷たい風が通る廊下で、ごろごろと転がっていたとき。

たたんだ布団を押入れにしまわずに、だらりともたれて教科書とにらめっこしてたとき。

足だけをこたつに突っ込んで、真剣にクロスワードパズルを解いていたときも。

眉をしかめながら注意して、けれども、カーディガンやはんてんを優しく掛けてくれた。

気付いていない素振りをしながら、いつでも見てくれていた。そっと手を差し伸べてくれていた。その丸く柔らかい手を求めても、もう繋ぐことはできない。

はしゃぎ疲れて眠ってしまった我が子に、柔らかいタオルケットをかけていると、なぜだか涙がこぼれてしまった。
しずかに上下する小さな背中に手を置いて、今はただその温もりだけを感じていよう。

最後まで読んでいただきまして、ありがとうござます。 スキやフォローしてくださると、とてもうれしいです。