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休み明けの病院は、いろんな悩みを抱えていた。

お盆休み明けの月曜日、少し早めに仕事を切り上げて病院へ出かけた。

ふだんなら夜の受付時間ギリギリに病院に入ると待合室には三人くらいしかいなくって、しかもそのうちの一人はお会計まち。全然待たずに診察してもらえる。

けれど、さすがに長期休暇明けとあって、小さな病院の待合室はしっかりと満席状態で、「あーこりゃ一時間以上待つな」と覚悟した。

どんな患者さんが多いんだろう? ときょろきょろ小さな待合室の様子を伺ってみる。ごほごほと咳をしている人が多いだろうか。夏風邪をこじらせたのかな。その割にはみなさん薄着だけれど、寒くないのだろうか?

その待合室はエアコンがガンガンに効いているわけではない。それでも、座る場所によっては風が直接当たるから、そこそこ寒いと思うのだけれど。

ああ、案の定「なにかブランケットのようなものないですか? 寒くて」と、看護師さんに訴えかけている。いや、そりゃそうだよ。半袖だし。

他にも「ずっと高熱が出てます」というおじさんが、奥様と同伴でいらっしゃっていた。看護師さんが「なにか、お薬は飲まれましたか?」と質問していたら「ルルを」と言っている。くしゃーみさんかい、ルル三錠、のルル。

しかし、聞き耳を立てていると、とくに風邪をひいているような症状はないという。確かに、見たところ鼻水もないし、咳もしていない様子だった。それでも熱がでるのは風邪だろうという認識でルルを飲みました、でも全然熱が下がらなくってと言っていた。

そらそうやろ! とこころの中で突っ込んだけれど、看護師さんは忍耐強く「扁桃腺が腫れやすいなど診断を受けたことはありませんか?」とか、「熱以外、尿や便はいつもと変わらない様子ですか? など、質問してはメモにあれこれ記入していた。

この病院のいいところは、先生の問診の前に、看護師さんがけっこうしっかりと「こういう症状はありませんか?」など質問して、問診時の手助けをしてくれるところ。先生とはご夫婦のようだから、先生だけではやりきれないところを看護師さんがカバーしてくださっていて、ありがたい。

わたしはその日は採血することが事前に分かっていたので、なるべくあたたかい(むしろ暑い)くらいの服装で待っていた。寒ければ血管が細くなって、うまく採血してもらえずへこむのはわたし自身だ。できる限りの対処はしておかなくっちゃ。

結局二時間近く待って、診察と採血をしてもらった。

採血のときに、「今日は風邪の方が多そうでしたね?」と質問すると、「でもね、全体的には腹痛でいらっしゃった方が多かったですよ」と。

なかでも「ちょっと困っちゃいました」と嘆いてらした案件がけっこうひどくてびっくりした。詳しくは書けないけれど、お腹が痛いといって内科を受診された。小さい病院ではわからないからと、大きな病院への紹介状もお渡ししていて、検査を受けたけれど内科では結果は何も出ず。お盆休みの間には救急車で運ばれもしたらしい。けれど、また痛くなったからといって来院されたという。

けれど、今回、その患者様によくよくお話を伺ってみると、どうやらほかの場所から発せられる痛みだろうということが判明。また、大きな病院の、今度は内科ではない別の科に宛てた紹介状を作成したという。

「大きな病院で、内科じゃなくてこの症状なら、この科かな、とかやりくりしてもらえないもんなんですかねえ?」と、看護師さんはため息をついていた。「結局辛いのは患者さんですもん。たらいまわしって思われても、しかたないですよね。ただ、患者さんももう少し自分のからだについて意識してほしい」と悲しそうな顔をしていた。

大きな病院は忙しいから、そういうのもできないんですかね? とか、科があれこれ分かれているから、患者自身は判断しにくいのかなど言いあってるうちに、わたしの採血は無事に終了した。

ちいさな町の病院だけれど、一人ひとりに向き合ってくれる。ありがたいことだ。

その後、すっごく憂鬱な胃カメラの予約をして、病院を後にした。いい先生だし、いい病院だけど、胃カメラはやっぱり苦手である。


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