夜の声が聴こえる
「こんなにうるさいと、気になって寝られないよ」
あたりを見渡しながら、ほんの少し眉をひそめてぼくは言う。
「りょうくん、もしかして、怖いかな?」そう言って、おばあちゃんはボクの手をきゅっと握ってくれた。
「りょうくんが住んでいるところ、夜は静か?」曲がった腰をさらにかがめて、ぼくの顔を見ながら、たずねた。
「車とか、バイクのエンジンの音。あとは、エアコンのモーターの音が一番うるさい。」ぼくは少し思い出しながら返事をした。
「おばあちゃんもね、ここで暮らし始めた時、夏の夜がこんなにも賑やかだなんて知らなくてね。ちょっと驚いちゃった。でもね、すぐに慣れるよ」おばあちゃんそういってぼくの頭を優しく撫でてくれた。
あちこちから聞こえるカエルや虫の声。ピィッと甲高い音。夜なのに鳥が鳴いてるのかな?
田舎なんてつまんないって思ってたのに。
こんなに夜が騒がしいなんて、知らなかった。
怖いけど、ちょっと、ワクワクする。
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