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春のかおり、初夏のさえずり。

週末、いつもと変わらず自宅でのんびりと過ごしていた。日曜日は雪が降った地域もあったけれど、その前日の土曜日はぽかぽかしていた。

外に備え付けられている郵便受けをのぞきに行くために、ほんの一瞬だけ外に出た。自宅の敷地内だから、外出ともいえない距離。外気に触れるていどかもしれない。

ただ、一瞬外に出たときにフワッと甘い香りが鼻先をくすぐった。

バラの花の香り、のように感じた。けれど、うちの隣近所でバラの花を育てているお家はない。バラの花に似た香りの、何かの花が咲いているのだろう。

きょろきょろとあたりを見回してみると、お隣のお家ではプランターに植えられたいろんな花が咲いている。花の名前に疎いわたしには、何の花かもわからない。

お向かえのおばあちゃんのお家は、庭に植えられている黄色い花がしている。その奥にある山というか雑木林には山桜が咲きはじめていた。

ぱっと見ただけでも、これだけの花が咲いていた。ひとつの花だけでなく、いくつかの花の香りがまじりあっているのかもしれない。

一瞬外に出ただけ。それだけでも春の香りを楽しむことができた。

また別の日、駅までの道のりで春に出会った。

ぺちゃくちゃと騒がしく、楽しそうな声がどこからか聞こえてきた。わたしの大好きな、騒がしい声。ツバメたちがひゅいっと空を横切る。

ひさしぶり。元気にしてた? 人間たちはちょっと大変だけど、ツバメたちは元気そうだね。

また、にぎやかなツバメ一家が帰ってきてくれたことが嬉しい。ピチチピチチピチチチチギュギュギュギュル。そのさえずりをまた聞けて嬉しい。

いたるところに春の兆しと、初夏の訪れ。何があろうと、季節は巡る。





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