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夫の勉強法を笑うな

耐えられず、つい笑ってしまった。本当に申し訳ないけど。夫の勉強方法は、わたしの理解の範疇を超えていた。

夫は少しまえから小型船舶操二級の勉強をはじめた。しかし、勉強を始めたのは形ばかりで、どうやら思ったようには進んでいないみたいだ。

「勉強しなきゃ」というセリフは、夫と顔を合わせるたびに言われるし、テキストも持ち歩いている。しかし、夫に用があって話しかけに行くと、たいていスマホゲームに興じている。

1月の中頃に試験があるんだし、正直なところまだ勉強する気が起きなくってもしょうがないとも思う。わたしは試験に対してコツコツ勉強しておきたい派だけれど、夫は一夜漬けでどうにか切り抜けてきた派だ。

勉強しなきゃな、という気持ちがあるのは分かる。けれど、これまでしてきた勉強方法を考えると「まだまだ時間がある」と思ってもおかしくない。

テキストを読んで、覚えるというのが夫の勉強スタイル。これもわたしとはちがっている。わたしは読みもするけど、書きもする。書かないと脳に定着しない気がするので、パッと見たものを暗記するのはとても苦手だ。

ただ、夫は文章を読むこと自体得意じゃないと言う。苦手意識があるから、なかなか頭に入ってこないのだろう。 読みながら音読していることもしばしばある。声に出して読むと覚えやすいなら、それはいいんじゃないかなと見守っている。

しかし、先日はつい笑ってしまった。いや、笑うつもりじゃなかったのに。

なんというか、音読が演劇調だったのだ。

船の操業状態をライトを点灯して周囲に知らせる項目だった。夫は操業状態と、ライトの組み合わせをうまく覚えられないらしい。「実際にどんなふうになってるか、想像できない」とぶつぶつ文句を言っていた。

操業状態というのは「乗り上げ船」おそらく座礁している場合、とか「運転不自由船」とか。船の状態がおそらく通常通り運行できないもの。

そして、それぞれの操業状態を表すための印、ライトを点灯する。色の組み合わせや、状況に応じてライトを点灯する数が違う。夫は、それらの組み合わせを、なかなか覚えられないらしい。

「船長! あの船は赤3つ、白3つです!」とか「運転不自由船を発見しました!」

何でそんな台詞口? 船長って、船舶免許の試験を受けてるんだからあなたが船長でしょ?

夫の中では、何やらストーリーが作られているらしい。ただ、この覚え方って、効率悪いような……。

静かに聞いていたけれど、つい笑ってしまった。毎回「船長!」から始める必要あるの?

わたしが笑ってしまったため、夫は少しムッとした様子だった。ただ、この覚え方は試験の時には声を出して言えないし、使いにくいんじゃない? と言うと、そうかも知れないとうなずいていた。

夫の試験まであと1カ月。勉強が進むだろうか、やや心配である。



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