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台風の日のこと

「備えあれば憂いなし」といえども、どこまで備えておけば良いのだろう?台風19号接近のニュースを見ていた木曜や金曜から、もう不安で仕方なかった。

私が住んでいる地域は、台風が直撃する可能性が高そうだ。神奈川県の三浦半島に住んでおり、フェリーで渡れば1ヶ月前の台風で大被害を受けた千葉がすぐそこにある。

千葉から、ほんの少ししか離れていない。それなのに台風15号の被害は、数時間の停電くらいで済んだ。

さて、今回はどうなってしまうだろう? 今回、台風が通るルートはどうなるんだろう? 怖かった。けれど、来るものは来る。怖がってばかりもいられない。

お水が軒並み売り切れていたり、パンが店頭から消えていたり。たっぷりと食べ物ばかりを買ってもしかたないのにと横目で見ながら、でも何が必要なんだろう? と悩む。とりあえず、人間は夫と二人しかいないので、ネコに関する備蓄をしておく。その他の災害用品は、夫釣りグッズがアウトドアに転用できるものの多く、それを再確認して足りないもの調達してもらった。

そもそも、自宅には乾麺や羊羹などを含めると一週間から十日は過ごせるくらいの食料はある。慌てて食べ物ばかりを買い込まなくてもいいだろう。自宅で過ごせるのならば。自宅で過ごせないならば、食品は捨てていかねばならない状況だろう。



12日の朝。起きたらすでに雨が降っている。風も強い。ひとつだけ心強いことは、夫が休みだったこと。夫はシフト制の仕事なので、夜勤の可能性もあった。偶然休みだったことがありがたい。庭の周りなどを夫が見回ってくれ、私は朝から外に出ない。気圧の低下で頭痛もするし、朝起きるもののまた昼まで布団をかぶる。

南側から吹き付ける雨風が、窓ガラスにどんどんとぶつかる音が激しくなってくる。

お昼ご飯をたくさん作って、夜にも食べられるようにと準備しておく。夫はなぜかかなりのんきで、「タコ焼きが食べたい」と言っているので、冷凍庫に入っていたタコを解凍して、タコ焼きもどきを作る。我が家にはタコ焼きの型がない。なので、いつも卵焼き器でたこ焼きならぬ「タコ巻き」を作る。

たこ焼きの生地に小さく刻んだタコとねぎ、紅生姜と天かすを入れて混ぜ合わせておく。それをお玉ですくって、卵焼き器とフライパンに流し入れる。卵焼きを焼く要領と同じように、くるくると生地を巻いてタコ巻きは完成する。とろとろではなく生焼けになってしまうので、卵焼き以上にしっかり焼くことが肝心。

フライパンで焼くと、あんまり伝わらない例だと分かっているけど、阪神百貨店で売ってるイカ焼きみたいな形になる。

作り始めたときは、若干いらいらしていた。なんとなく今食べるメニューじゃない気がして。しかし、食べると「ああおいしかった」と大満足。関西人だからか、お好み焼きとかたこ焼きを食べるとちょっと精神的に満たされた。

食事を終えて、早めに風呂に入っておく。15時には風呂に入り、お風呂に水を貯めておく。

自宅で過ごすのだから、持ち帰った仕事とか、部屋の掃除でもしようと思っていた。けれど、やはり気圧の低下にやられて、それどころではない。窓に打ち付ける雨風がどんどん強くなる。夕方ごろからは怖いと思うほど。ずっと強い風が吹いているのだけれど、時折強烈な風がドカンドカンと打ち付けて、その度に「どこか壊れた?」と夫と震え上がる。

夫の実家や、夫の兄弟が住まう地域はかなりの降雨があるようだった。夫の実家から近いダムの放流がテレビで報道されていたが、夫の実家はダムよりも山の中にあるため、川からの直接被害は受けないだろう。ただ、土砂崩れがあるんじゃないかと心配になる。(ありがたいことに無事でした)

停電はしなかったけれど、何度かつけていたテレビがプツンと切れたり、蛍光灯が一瞬暗くなったりした。近隣地域で停電が起きたようなので、その関連だったのだろう。

翌朝に点検してみると、大きな被害はなかった。近隣の家の様子を二階から眺めてみると瓦が数枚飛んでいる家もあるようだった。それでも大きな被害がなかったのは、ありがたいとしか言えない。

自宅の周りでは、海沿いの道路がえぐりとられ、一車線通行になっていた。夫の実家なども、地域的に土砂崩れがあった。でも、命は助かった。

千葉や長野、茨城、福島やその他にもたくさんの地域で災害が起きている。ニュースを見ていると胸が痛む。けれど胸ばかり痛めていても仕方ない。募金なり、私にできることを何かしていくつもりだ。


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