見出し画像

10年のあいだに作られるもの。

「お前には、まだそれは10年早い!」
この前言われてしまった言葉だ。
ニュアンス的にはもっと柔らかかったし、「下手に手を出さない方がいいよ」という意味合いが強かったんだとも、今になって思う。けれど、私は結構なショックを受けた。

もちろん、まだまだ勉強が足りないことは自分でも分かっている。アイデアだなんてとても言えない段階。発芽も何も、まだ袋に詰められてホームセンターで並んでいる花の種くらいのレベルのものを発表してしまった私が悪いのも分かっている。
だとしても、「お前には10年早い!」と言われてしまうと、ちょっと悲しい気持ちになった。

しかし、私はこの言葉を聞いて、思い出したことがあった。それは「10年前に食べていた物や、行っていたことが、今現在の身体に影響している」というものだ。申し訳ないけれど、出典も何もなくて、私の父が言った言葉だ。父は何を見てこの言葉を聞いた(知った)のかは、全然わからない。

この言葉を言われたのは、これまた10年前ぐらいのことだ。
そのころ、私はうつ病になり、仕事を休職し実家で療養していた。療養をはじめたばかりの頃は、とにかくひたすら眠っていた。服用していた薬の作用もあったのだと思う。一日、24時間のうち20時間ぐらいは眠って過ごしていたようにうっすらと記憶している。
とにかく起きていられなくて、「ちょっと寝るね」と言って用意してくれていた食事を摂る以外の時間は、だいたい布団の中にいた。
両親はかなり私の様子を心配していた。けれど、私がオカシクなったのは、今回のうつ病がはじめてじゃなかった。

これまた10年前の、中学生のころ。
私は痩せたい一心からはじめた過激なダイエットのせいで拒食症になっていた。いちばん痩せていたころで身長156センチ、体重は29キロぐらいだったと思う。最後に方は体重計の目盛りを適当にちょろまかし、増やしていたので、正確ではないと思うのだけれど。

一緒にごはんを食べていた時に、父が私にこう言ったのだ。
「中学生のときに、カラダに負担かけたやろ? その時の負担が今出てきてるんちゃうか? 10年かけて、身体は作られるんやて」
へぇ。そうなんやー。聞いたときはそのぐらいにしか受け止めていなかった。そんなものかな? と。

だけど、たしかに15歳ぐらいに無理をしたものが、10年後の25、6歳で反映されているっていうのも分かる気がした。そして今、私は36歳。確かに去年くらいから、あれやこれやと体調に不具合も生じてきている。いまは原因不明のじんましんと戦っている真っ最中だ。10年前に薬だけでお腹いっぱいになりそうだった、あのツケが今きてるのかな? と考えると「じんましんぐらいなら、受けて立つ!」という気持ちすらある。

10年かけて身体が作られていくというのなら。「お前には10年早い!」と言われたことも、今からコツコツ頑張ってみれば10年後には何らかの形になるんじゃないだろうか。
悔しいひと声だったけれど、あの言葉が私の身体の中でフツフツと発酵し続けて、何か形のあるものを生み出してやりたい。道のりはまだまだ遠いし、途中で行き倒れてしまいそうな気もするけれど。
父の言葉を思い出しながら、コツコツやるしか道はないよなぁと思っている。

#エッセイ
#エッセイもどき
#日記

最後まで読んでいただきまして、ありがとうござます。 スキやフォローしてくださると、とてもうれしいです。