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宝塚花組『NICE WORK IF YOU CAN GET IT』【#まどか観劇記録2020 36/60】


3日後の2月6日にライブ配信があります。

2012年にブロードウェイで初演した際にトニー賞10部門にノミネートされた、ガーシュウィンの名曲に乗せたロマンティック・コメディ『NICE WORK IF YOU CAN GET IT』を宝塚バージョンとして花組が上演。

ライブ中継とライブ配信が今週土曜日2/6 16:30からありますので、ぜひとも見ていただきたくこの感想noteを書いています。

さっそく始めましょう。

観劇後に間違いなくハッピーになれるコメディ

個人的にはまさに今、このような作品を待ち望んでおりました…!
コロナだなんだとふさぎこみがちな毎日ですが、キラキラした舞台にはハッピーが欲しいと自分勝手な気持ちとともに観劇しましたが、見事、柚香光さん率いる宝塚花組はその期待に応えてくださいました...!

コメディとはいえ、もちろんお話の中には浮き沈みがあって紆余曲折があるのですが、こちらの心まで引っ張られてしまうほど悲しかったり嫌だったりすることは起こらず、深く考える方はいろいろと考えられる一方、楽しみたいという見方にも対応してある作品です。どんな気持ちで行っても大丈夫という心強さ。

誰かが幸せになるために、誰かが身を引くとか、悲しい思いを心に隠すとか、そういったことがなく、全員が幸せで終われる大団円のなんて優しいストーリー。
宝塚なのですが、いつもの観劇後の「素敵だった…!かっこよかった...!」という感情よりも「ハッピーだー!」という感情が強かったです。(もちろん至上のかっこよさと美しさですし、あくまで個人の感想です)


配役の妙

原作がブロードウェイということもあるのか、今までの「宝塚ってこういうものだよね」という既成概念を壊してくれるようなキャラクターが多かったように思いました。といっても、私自身は宝塚を観始めてそこまで時間が経っていないので個人的な思い込みかもしれません。すみません。

格好いい男役、可憐な女役。ではなくて、
むしろ逆転しているような、男前な女役と、かまってあげたくなるような男役といった印象です。

少しずつですが何人かの方について思いの丈を書かせてください。


ジミー役の柚香光さん

女たらしで情けなくて親に頼りっぱなしのおぼっちゃまでという絵にかいたようなダメ男ジミー。それでも柚香さんが演じられるととてつもなく上品でキュートなジミーの出来上がりです。苦労なく世の中の悪い面なんて知らずに育ったんだろうなと思うような純粋さはまるで少年のようで(バツサンなのに…!)、立っているだけで品の良さがにじみ出てきます。

パンフレットでも披露されていますが、自由自在に動く眉がコミカルな表情を描き出し、お茶目な柚香さんの面が見られると思います。お茶目でかわいらしい面が強いように見えるジミーですが、お顔の美しさは変わらず、スリーピースがお似合いすぎて大変です。

そして最後に、今作で柚香さんにタップを、と決めた方に心からのお礼を申し上げたい…!足の長さ際立つ軽快なステップは眼福でした。


ビリー役の華優希さん

「はいからさんが通る」の花村紅緒役といい、今回のビリー役といい、芯のある心の強い女性を演じさせたら日本一の華さん。可憐な容姿や、普段の柔らかいお声と同一人物と思えないほど、低めに抑えた声音がまず格好いいのです。

そしてお芝居の幅が広くていらっしゃる。『A Fairy tale~青い薔薇の精~』でひとつの作品の中で少女から老婆までを演じ分けられたのには驚愕しましたが、今回のビリー役も強くいて、そして繊細に揺れ動く心の表現や、守ってあげたくなるような背中とか、華さんのお芝居力がいかんなく発揮されていて素晴らしかったです。

そして、華優希さんはなぜかわからないのですが視覚的な記憶に残る方のように思います。観劇後に思い出すのは、華さんのふとした仕草だったりするのです。


クッキー役の瀬戸かずやさん

ギャングの一味が潜入のために執事のコスチュームを着るのですが、ビジュアルがかっこよすぎて生粋の執事。笑。とりあえず、頭小さすぎ、スタイルよすぎで二度見必須です。そんな完璧スタイルの瀬戸さんがたすき掛けしたシーンのかわいらしいこと…!必見です。

個人的には瀬戸さんの放つ安心感というか、瀬戸さんがいらっしゃることで花組の皆さんがのびのびできているような印象を受けています。主演のお二人が思う存分役として生きることができるのは、お話を進める役割を担うクッキーを瀬戸さんが演じられているからかな、なんて思ったり。絶妙なコメディの間を生み出しながら、お話を空間を回し続ける、万能薬みたいな方だな、と思います。


アイリーン役の永久輝せあさん

出てきた瞬間忘れられないテンションと動きのアイリーン。このコメディそのものというような役をまさか永久輝さんが演じられるとは...。普段は男役の方なのですが、登場された瞬間二度見どころか三度見、四度見しました…!

とにかく強烈なので見ていただきたいのですが、役のキャラクター面のみならず、普段は男役の衣装に隠れている華奢で手足の長い抜群のスタイルも必見です。


マックス上院議員役の和海しょうさん

和海しょうさんの安定感が大好きです。落ち着いた役が多いからかもしれませんが、毎回周りの空気がいい意味で和海しょうさんなのです。あの突拍子のないアイリーンを育て、某シーンでは何があってもスピーチを続け、ラストの衝撃の事実にもその瞬間は驚いたもののあまりにすぐ納得して次を考えられてしまうという揺るがなさ、舞台に和海さんが出ていらっしゃるだけで個人的には安心します。


エストニア侯爵夫人役の鞠花ゆめさん

「はいからさんが通る」の如月役の時から鞠花ゆめさんが好きすぎて…!
前作も今作もキャラの濃い役でしたが、鞠花さんでなければできないと思います。というか、一度鞠花さんで見てしまったらそれ以外考えられないという方が正しいでしょうか。お芝居にどれだけの熱量を掛けていらっしゃるのだろうという表現が本当に素敵です。某シーンの豹変ぶりはぜひご覧いただきたいです!

音くり寿さんの眉毛の角度とか、女っぷりとか、他にもたくさんお話したい方はいらっしゃるのですが、終わりが見えないので一度このあたりで。
配信を見てどうしようもなくなったら追記するかもしれません。笑。


継続してひとつの組を観続ける楽しみ

「継続して~」なんて偉そうに言えるほど、宝塚歴が長くないのですが、今までと違う面が見れた、とか、こんな役のふり幅、といった、前の作品との比較で気づくこともあったので面白いなと思いました。

特に、今回の「NICE WORK IF YOU CAN GET IT」は全体的に、前回花組の「はいからさんが通る」でそれぞれの方が演じられていた役とはがらりとイメージの違う役をやられたいたという印象が強かったです。

初見の観客が楽しめるという面もしっかり保ちつつ、継続して応援しているファンにとっては、新しい面が見れたり、より関係性が深まったように見えたり、とうれしいサプライズの詰まった作品だったように感じました。

だからと言ってはなんですが、そしてあまり言ってはいけないのでしょうが、華優希さんの退団が残念でなりません。

「はいからさんが通る」を観た時に、こんなにぴったりなお二人がいらっしゃるだろうか、と思いました。

柚香光さんと華優希さん。
お二人がお二人でいらっしゃるときの空気感が素晴らしすぎて。。。

おかしな言い方になりますが、舞台上の方は作品を通して、観客に対して想いを届けてくださると思います。もちろんお話は舞台上で完結するのですが、舞台上の相手への想いのベクトルと共に、観客へのベクトルも存在しているから、我々観客は感動を深めるのだと思うのですが、柚香さんと華さんはもしその観客へのベクトルがなかったとして、お二人だけの世界しかなかったとしても、そのお二人を見るだけで幸せになれる気がするのです。どうかお二人で幸せになってくれ。。。

退団発表が取り消されることはないのかしら、と思ってはいけないことが頭をよぎりながらも、今のぴったりすぎる花組トップコンビを観ることができる日々をかみしめたいと思います。
なので、ぜひ、このnoteを読んでくださった方は週末のライブ配信を買っていただいて、その目に柚香さん華さんコンビを焼き付けてください。衣装も最高によかったので!

***ライブ上映・ライブ配信情報***

ライブ配信日時:2021年2月6日16:30~

映画館で見るライブ上映はこちらから(チケット販売は2/5(金)12時まで)

PCやスマートフォンでどこでも見られるライブ配信はこちら(チケット販売は2/5(金)12時まで)


おすすめの作品などを教えていただけるととてもうれしいです。