頑張れって言ったら、不機嫌になりそうな君

「いいよね、好きなことを仕事にしていて。私なんか好きでも何でもないつまらない仕事をずっと続けていて毎日が死ぬほど退屈だよ」

と、昔ある業種の人に愚痴ったことがある。その人は十代の頃に夢見た職業に就いて、爆発的に成功したわけではなかったけど食うに困らない程度だったと思う(傍から見て)

私も昔は夢はあったし、自分の好きな仕事に就いたこともあったけど、その仕事がこの先まったく金にならない事実が分かって諦めてしまった。仕事のやりがいよりもお金を選んだ結果、待っていたのは「死ぬほど退屈な日常」だったわけで、それでもこの道を選んでしまったから仕方がないという気持ちもあった。死ぬほど退屈な日常と引き換えにお金は入ってきたし、海外旅行も行ける。どっちが良かったかなんて実際のところよく分からないけど、生活をかけてまで好きな仕事をやっていきたいという根気も覚悟もなかった。

その人とは個人的に話すことはなくなって、ツイートを見る程度だけど、コロナ禍になってその人の仕事は大ダメージを食らっていた。元々世俗に疎い人だったから上手く舵を取れていないようにも感じたし、身内ノリになってしまうところもあって、クローズドだった世界に協力者が入り込める隙はあるのかなともいらん心配もした。好きな仕事を続けるには自分の生活をかけた覚悟がいる。それを分かっていたと思って、あの愚痴を吐いたけどそんな覚悟はなかったみたいだ。三月からずっと酔っ払いの愚痴みたいな浮き沈みの激しいツイートを繰り返している。

「必要以上に人に好かれなくてもいいけど、嫌われるのはダメだよ。嫌われると仕事の邪魔されたり、物事がスムーズに進まなくなる。閉鎖的になればなるほど、困った時に助けてくれる人が減るからね。仕事もお金も結局、人が持ってくるから、間口は常に大きく開いた方がいい」

好きな仕事に就いていた時に言われた言葉だ。私はそれが出来なかった。そんな事をぼんやりと思い出しながら、退屈な日常に戻る。



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