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How to Beat Man City 19/20 ~シティの弱みと強み編~

 19/20シーズンのCLが戻ってくる。多くのビッグマッチが控えている中でも注目なのがManchester City vs Real Madridの2nd Legだ。1st Legの結果は1-2でシティの勝利。マドリーが駒を進めるには、最低でも2点とる必要がある。絶対的カピタンのセルヒオ・ラモスが累積で出場停止の中、マドリーはペップのチームをどう攻略するだろうか。本記事では、マドリー目線でシティの強み、弱みを探っていく。次編はこちら

シティの強み① ハイプレス

 どんな相手であれ、シティは相手ビルドアップと相手陣地でのスローインに対してハイプレスをかける。彼ら(というかペップ)はボール保持に飢えているので、ハイプレスの熱量が半端じゃない。たとえば37節のワトフォード戦(WAT 0-4 MC)では、相手スローインに対して局地的な密集をつくってボールを奪ったり、相手がバックパスでGKに繋いだところにさらにプレスをかけてボールを蹴らせたりしていた。特にマフレズの相手CBへのプレスは絶妙で、多くのCBが苦しそうにしていた。

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シティの強み② サイドからの攻撃

 相手陣地攻略に必要なのは「裏・間・幅」であるというが、シティの試合で目立つのが「幅」だ。両サイドに1人ずつ選手が立って幅を持たせ、相手ブロックを横に広げるのは基本中の基本だが、シティの場合は幅をつくる選手が固定されていない。だから、いろいろな選手がサイドに立つことで相手DFを混乱させられるのだ。メンディやウォーカーがサイドに立ったらシュート性のクロスを入れてくるだろうし、マフレズ、B シルバ、スターリング、フォーデンがサイドに立てば、ドリブルを仕掛けてくるだろう。しかも厄介なのが、相手によってWGの立ち位置を変えることができるということだ。

 たとえば37節のワトフォード戦では、ペップは前半の給水タイム後からフォーデンを右、スターリングを左に立たせた。するとフォーデンもスターリングも積極的に中へ切り込むようになり、イドをほとんど捨てて中央でブロックを形成していたワトフォードからすれば地獄だったのではないか。40分にはスターリングがドリブルでPKを獲得した。

 対して38節のノリッジ戦(MC 5-0 NOR)では、ワトフォード戦とは逆に、ペップは前半の給水タイム後からスターリングを左、フォーデンを右に立たせた。すると両者ともに縦の突破が増え、相手最終ラインを下げることに成功した。この時点でPA前にスペースができたので、デブライネやカンセロがミドルシュートを放つ頻度が増えた。この試合の2点目はデブライネのスーパーなミドルであった。


シティの強み③ ライン間への侵入

 さらに「間」への侵入もシティのストロングポイントだ。D シルバはライン間攻略請負人と言っていい。30節のバーンリー戦(MC 5-0 BUR)では相手が疲れて間延びしたライン間にD シルバが侵入して好き勝手やっていたし、36節のボーンマス戦(MC 2-1 BOU)や38節のノリッジ戦では相手の3列目から一人を釣り出してできたギャップからD シルバがドリブルで侵入していた。ライン間に入った彼にボールが渡ればほぼ王手であり、「この状況からでも入れる保険があるんですか?!」状態だ。

 32節のリバプール戦(MC 4-0 LIV)でもライン間攻略は重要な役割を占めた。リバプールはシティの3トップの裏抜けを警戒するためボール非保持時に最終ラインを上げにくく、しかも中盤3人が積極的にプレスをかけるため、ライン間が空きやすい。そこでジェズスがライン間に顔を出してボールを受けたり、デブライネがライン間に走りこんでボールを受け、そこから裏へパスを送ったりするシーンが見られた。これらは明らかに狙った形であった。

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シティの強み④ ギュンドアン

 シティにはたくさんの素晴らしい選手がいる。たとえばエデルソンの正確かつ速いフィードは局面を一気に打開するし、デブライネの正確無比なラストパスも、またフォーデンの力強いドリブルと献身的なスプリントも脅威となる。そんな中でも「静かなスター」として君臨するのがギュンドアンである。相手のビルドアップの際に相手CHに睨みを利かせているのは彼だ。彼の睨みがあるから、相手はボールを中央に動かしづらくなる。

 またライン間の攻略にも彼は必須。現在のシティで、1タッチで相手のプレスをかわしたり、あえてボールを持って相手をおびき寄せることで味方に時間とスペースを与えたりすることができるのは、ギュンドアンくらいだろう。​


シティの弱み① 空中戦

 シティのアタッカーの身長は全員180cm未満であり、お世辞にも空中戦に強いとは言えない。サイドからクロスを放り込むにしても足元に向かってしか蹴ることができない。31節のチェルシー戦(CHE 2-1 MC)やFA杯準決勝のアーセナル戦(ARS 2-1 MC)では、ゴール前でブロックをつくった相手に空中戦を挑むもはね返され、結局ゴールに至らなかった。空中戦という強引な突破法が無いということは、自明にシティの欠点だ。


シティの弱み② エリック・ガルシア

 エリック・ガルシアはリーグ再開後からラポルトとデュエットを組む右CB。ボールを扱う技術に長けており、最終ラインで冷静にパス出しをする姿はとても成熟している。19歳の選手ながら、30歳のウォーカーのファンキーなポジショニングに怒鳴っていたのは印象深い。

 そんな彼の問題点は、足が遅いことだ。足が遅いのに加え、裏のスペースへの意識が希薄なのが気がかりだ。実際に彼は格好の狙いどころになっている。32節のリバプール戦では、マネに1対1を仕掛けられてぶち抜かれていた。このおかげで、ウォーカーはファン・ダイクやアーノルドからマネへのパスを警戒し、あまりオーバーラップできなくなっていた。さらに36節のボーンマス戦での失点とFA杯準決勝での2失点目はいずれも同じ形で彼の裏を取られている。ここがシティの泣き所だろう。移籍の噂でアケやクリバリの名前が出るのもうなずける。


 以上が、シティの強みと弱み。次の記事でマドリーが練っているであろうプランを考えます。

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