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善意と依存

 あなたの倫理観はどこから?私は恐怖感から 補語です
 私にはずっと「媚びなどではなく純粋に常に他人のしあわせのみを考え続け行動し、自分を全て押し殺して完璧な自分を演じられる器用さを持ち、最後にはその重さに潰されて死ぬ」という人間像及び人生観が自分のなるべき像としてあります 要するに「真っ当に生きられないならせめて全て他人に捧げてから死ね」という事です

 歪んでいます 自覚はあります ではこれは何から来ているのか
 考えられるのは自己肯定感の低さです 当然ですね 自分を屑だと思っているから、「善くある事」に執着する しかし「媚びなどではなく純粋に常に他人のしあわせのみを考え続け行動し、自分を全て押し殺して完璧な自分を演じられる器用さを持ち、最後には潰れて死ぬ」などという事は恐らく人が人である限りは不可能でしょう ガンジーもマザーテレサも水面下では意外と強かであったとされています 「どうしてこうではないのだ」と無理難題を自分に押し付けてはまた自己肯定感が下がる それをただ自分が損するためだけにやっている 自分の事が嫌いだから 自分の事は嫌うべきだから 自分を好きになる事は恥ずべき事だから 
 ではなぜ自分の事を嫌いになるのが正しいと思っているのか? これは恐らく幼少期に摂取した絵本や児童書や昔話が原体験でしょう 本や文字は幼少期の私の大の友達でした が、彼らは口を揃えてこう言いました「調子に乗るな」「他人の事を考えろ」「わがままを言うな」「さもなくば痛い目に遭うぞ」 まあ、扱いやすい子供になってほしい という大人目線の意思が見事に透けて見える教えのラインナップですよね そして痛い目に遭う人間は増長満の夜郎自大のように描かれている事が多かった それを見た私は「自分を良く思ってはいけないものだ」と学習したのです 今考えると脅迫してくる友達、明らかに友達ではない もっといい友人になってくれる本を探すべきだった
 おまけに私は癇癪持ちかつこだわりが強い そのため周囲からはよく「わがまま」であると形容されました はい繋がりましたね そういった経緯で私は本の中で言ったら悪役なのだという自認が生まれました 私は軽度発達障害のため恐らく癇癪もこだわりも自分でどうにかなるものではなかったのですが、そのような事は当時の私も周囲も知りません 膨れていく悪い自我を恐ろしく思った私は、必死で自分を嫌いになる事で自我の増長を、悪役になる事を止めようとしました
 とにかく、絶対に身のこなしから何から何まで全て間違えたくなかったのです 間違えると怒られるから 必ず痛い目に遭うから 本当の本当に怒られたくありませんでした 義務教育期間中ずっと周囲に馴染むのに失敗していた私は何もかもが怖かったのです 周囲を恐れれば恐れるほど癇癪がひどくなっていく 怒られる どれだけ自分を嫌いになっても恐怖から逃れられない、やさしくされるのも怖い やさしくされた自分が調子に乗ったらどうしよう 怒られる 痛い目に遭う どんなに逃げ隠れても、例え誰も怒らなくたって世界のシステムが必ず私に天誅を下す よからぬ内心を見透かして鉄槌を下す 怖い怖い怖い

 つまり、私は根っからの臆病さからなんとか一度も間違えずに生きようと公平世界仮説めいた価値観と履き違えた謙虚さ(=卑屈さ)を内面化し、そこに発達か精神由来の不適応が加わって自己肯定感が低くなり、「自分は間違っている」という認識から「正しさ」への歪んだ憧れを持ち、「真っ当に生きられないならせめて全て他人に捧げてから死ね」という価値観を持つようになった 多分

 あなたが好きです(だから怒らないで)、あなたの幸せを常に願っています(怒られたくないから)、あなたが笑っていると私もうれしいです(少なくとも怒ってはいないから)……要するにこれは媚びです エゴです 人間が主観から出られない以上世の中の善意でエゴでないものなど究極的には存在し得ないと思いますが、それにしても私の「全て他人に捧げろ(完璧な他人軸になれ)」という価値観は「自分は何においても間違っている」という劣等感の裏返しによる他者からの価値判断への無根拠かつ全幅の信頼、つまりは依存です そして依存は他者を傷つけ得ます つまり私の善意は善意たり得ません

 ではどうすればいいか 私の問題は恐怖するにしろ依存するにしろ世界と自分との距離感を誤っている事であると思います 依存というのは過度に距離を縮めるという事、恐れるという事は過度に距離を遠ざけるという事なので、他者と、ひいては世界との適切な距離感を探る事が重要となってくるでしょう きっと私のような出来損ないでなくても大変難しい問題だと思うので一生付き合っていくしかないのかもしれませんが、やる以外ないのでしょうね…     具体的には人間とコミュニケーションを取ることによって手探りでやっていくしかなさそうです まずは他人に質問できるようになるところから…(人間が怖すぎて、できないので…)

 粘着でも無精でもない愛、ひとつ届けられるようになりたいですね おわり

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