働きたくなかったのは、自分の幸せのために、お金を使えなかったから。

収入がなくても
望むように暮らせるなら
あなたは、働きますか？

私の答えは、働かない一択だ。

以前は、違った。

私にとって仕事とは、
生活のためだけではなく、
生き甲斐となるはずのものだった。

私が生きる理由。
私がこの世界に存在する理由を
与えてくれるもの。
そう信じていた。

そんな綺麗事で自分を騙さなければ、
仕事なんてやっていられなかった。

私が働く理由は、生活と体面のため。
そして、承認欲求を満たすためだった。

ずっと自分以外になりたかった。

褒められ、信頼される自分になりたかった。
姉のように。

人から褒められそうなもの。
いいね、と言ってもらえる響きのいいもの。
それが仕事を選ぶ基準だった。

人から「ありがとう」と言われる仕事を、
天職だと思い込んだ。

挙句、超絶向かない接客業に励んでは、空気を乱し、
上手くいかない理由を、人間関係や景気のせいにした。

迷惑な人材だったと思う。ごめんなさい。

職場は、承認欲求を満たしてくれる唯一の場所。

仕事を通じて社会貢献してるつもりだったけれど、
承認欲求のために、仕事を利用していただけ。

仕事で承認欲求を満たす代わりに、
自分を愛することにした。

愛するという意味が分からずに、
欲望のままに甘えさせたりもしたけれど、
なんとか愛せるようになったと思う。

自分以外になろうとすることは、やめた。
最低な自分を認めて、徐々に赦せるようになってきた。

内心の自由を誓った。
何を思っても、いいことにした。
想像したくもないようなことを思いついても、
思うだけなら、よしとした。

自分を愛する程に、働きたくなくなった。

とは言え、生きてゆくのにはお金がかかる。
生きるためだけでなく、楽しむためにも使いたい。

働きたくはないけれど、お金は欲しい。

子供みたいな矛盾する願望に困り果てていたけれど、
今日、確信した。

私が働きたくないのは、
自分の幸せのためにお金を使えないからだ。

私は、承認欲求を満たすために仕事をしていた。

認められるためには、やりたくないことでも、
前向きに頑張ることが多かった。
そりゃ、辛いよね。

そして、そんな苦労して、
嫌なことを我慢して稼いだお金を、
そう簡単には使えなかった。

1円でも安いガソリンを探す。
飲み物も、極力自販機では買わない。
スーパーか、コンビニのオリジナル商品。

節約は正義だった。

私には、承認欲求を満たすことと、
節約すること以外、目的がなかった。

なら、ザクザク貯まりそうなものなのに、
本心ではやりたくもない仕事をしているので、
ストレス解消のためにお酒を飲んだり、
使わないセール品を買い込んでみたり、
身にならない散財を繰り返してきました。

自分の幸せのために、
お金を使うことが出来なかったんだよね。

承認欲求が満たされていないということは、
自分にはお金をかける価値もないく、
幸せになることも許せない。そんな状態。

無自覚な不幸せに、もがき苦しんでいる。

自分を幸せにしようにも、
ありのままの自分が嫌いなので、
本当に欲しいものがわからない。

欲しくもないものを買ってしまい、
すぐに飽きる自分を責めたりする。

そんな私が、今日、衝動買いをした。

布で出来た古風なペンケース。

今、使っているものに不満はない。
使いやすさに満足しているくらいだ。

なのに、買ってしまった。

一目で、欲しい、と思った。
けれど、ペンケースは二つもいらない。

無駄だからと、諦めた。
けれど、買うことにした。

衝動買いの無駄遣い。

なのに、とても気分が良いのです。

100均のナイロンバックは、コスパだけでなく、
見た目もシンプルで、使い勝手もいい。
満足していたはずだった。

なのに、一目惚れのペンケースを買ってみたら、
手持ちのペンでは不釣り合いに感じて、
似合うペンのことを考え始めてみたり。

「ロフトで見かけた製図用のシャープペンとか、似合いそうだな」

そんな夢想している間中、それはそれは幸せでした。

あるものは壊れるまで使うことを美徳としてきたけれど、
それは確かに地球にも優しい生き方だけれども、
貰い物のボールペンを使う私は、幸せではなかったんだな。

コスパや、使い勝手が良くても、
合理的であることだ、幸せは違うんだな。

幸せは状態なので、モノではない。
けれど、
幸福な時間を派生させるモノは、幸せの一部。

所有することに加え、
中に入れる文具を私好みに仕上げること。
あれこれと思い描く時間。

何を入れるか？
どこに買いに行くか？
何色が似合うのか？

私の幸せは、そういう時間。たぶん。

モノが幸せな時間を生み出すのなら、
私の幸せは、お金で買えるのかも。

なら、私は、自分の幸せのために、お金を使おう。

私を幸せにするために、お金を稼ごう。

私を幸せにするために、働いてみよう。

そんなことを思ったのでした。

fumori