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ひげペンギン ビビちゃん

だいちくんは4歳。
ある日水族館に行き、ママにペンギンのぬいぐるみを買ってもらいました。
ビビカちゃんと名付けて、寝るときもお出かけもいつも一緒に連れていきました。ビビちゃんのベッドも作り、お風呂も作り、お洋服も作ってあげて、毎日、大好きなビビちゃんのお世話をして、一緒に遊びました。

パパはペンギンの図鑑を買ってくれました。調べてみると、あごのところに線があるビビちゃんは「ひげペンギン」という種類でした。水族館にはいなかった種類。ペンギンは18種類もいて、寒いところに住んでいるということを知りました。一番大きなペンギンは南極に住む皇帝ペンギン。皇帝ペンギンのパパは寒さに震えながら卵をあたため、ママはひとりで旅に出て、赤ちゃんのためにお魚をおなかの中につめこんで帰ってくるのです。生まれた赤ちゃんはふたりの親のもとですくすく大きくなる。
ママは、ひげペンギンが出てくる絵本を買ってくれました。2羽の男の子ペンギンが赤ちゃんを育てる話。
ペンギンの家族のきずなの深さと愛を知りました。
だいちくんは、水族園にいろんなペンギンを見に行きました。ペンギンの顔を見ると、どのペンギンでどこに住んでいるのか言えるようになりました。


そんなある日・・・ママと買い物から帰ると、ビビちゃんがいなくなっていました。
おばあちゃんが買ってくれたご本に夢中で、ビビちゃんを置いてきてしまったようなのです。お店の人に電話しました。戻って探しました。でも、どこを探してもいないのです。
だいちくんの目からは涙がポロリ。あふれました。「さっきまでは一緒だったのに」ビビちゃん、どこに行っちゃったんだろう。かけがえのないビビちゃん。

はじめて愛するものをなくして、悲しみが心をおおっただいちくん。
自分がきずつけられるよりも、愛するものをなくす方がつらいことを知った。やさしいやさしいだいちくん。

大きな悲しみを経験すると、もっともっと人の気持ちが分かるようになって、もっと優しく強くなる。
この気持ちは大切なたからもの。

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