朝井リョウ『正欲』読書感想文
おすすめしてくれて貸してくれた、私にとって大切な本。
この本は人気みたいですぐに借りられず、6人待ちは困るわ~って思っていたら、貸してくれて本当に嬉しかった!謝意を表します。
丁度映画化されるタイムリーなタイミングで読むことができた。
映画の主題歌、Vaundyさんの《呼吸のように》も良い曲だから気になる方は是非聴いてみてほしい。
どのように感想を述べても的外れになりそうで、感想を書くことから逃げたいけれど勇気を出して書いてみようと思う。
日常生活にリンクさせながら話が進んでいくので親近感というか、身近な話に感じる作風。整理された文章で非常に読みやすかった。
色々な意味でお腹ペコペコで欲しがりの私は、『端的に言うと、食欲は人間を裏切らないから、です』という言葉を理解するのは容易であった。
潤いを与えてくれるはずの様々な『水』の表現の中で、織り成す欲に揺れるものを感じた。
どの場面に自分自身を嵌めてみても、登場人物と順応しそうな、一緒に対話できそうな気がして、その感覚が少し怖く感じた。
自分軸以外で捉えると『正しさ』とは何?って思って、どこからが正解なのかよく分からなくなった。そもそも正解もないのかもしれない。
人同士の繋がりもテーマな内容だった。
過去、私は自分自身の人生に究極に絶望していた事があった。その当時は、乱雑な心の渦の中で孤独感とやるせ無さに埋もれ、とても寂しかった。
でも実際は、私もこの本の大前提である『明日、死にたくない』『明日死なないこと』の一員になりたかったのだと思う。
心の片隅でやっぱり人生を諦めきれなくて、諦めたくなんかなくて、どうしてもこのまま悲しい思いの中で死にたくなかった。
だから、大声で泣いて喚いて心で思いっきり叫んで、聞いてくれ肯定してくれ慰めてくれる誰かを探し、人との繋がりを求めたんだろうな~って思った。
この本を貸してくれた人は、その当時の精神的体調的にボロボロの私とたまたま知り合って、泣いていた私に寄り添い、前を向かせてくれた。あの時、叫んでみて良かった!!笑
『いなくならないから』そのひと言も思いっきり深く重く心にグサッと刺さった。
私の手元に来るべくして届いた本な気がした。
兼近大樹さんの映画を見た後のコメントも良かったなぁ〜。最後にかねちーの言葉を引用させてもらう。
《否定に怯えるあなたの側に、分かり合える誰かがいてくれる事を願う。》
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