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【セルフインタビューVol.07】日本にいた頃の自分、メルボルンにいる自分

娘の高校留学をきっかけに、2023年2月からnoteをはじめました。50歳からの初海外移住(メルボルン)のあれこれを毎週金曜日に更新しています。
2023年より毎週月曜日は、自分自身を俯瞰で見るために“セルフインタビュー”として、スピンオフ記事をお届けします。


【”仕事中毒”と化していた10年前の自分】

―― 今回は、“時間の使い方”について聞かせてください。メルボルンに来られて、きっと大きく変わりましたよね。

夏目 たまたまなんですけどね、今朝、Facebookを開いたら10年前に投稿した自分の記事がぱっと出てきたんですよ。アレ、なんていう機能でしたっけ、”Playback”?、“思い出ストーリー”?

―― “過去のこの日”です。

夏目 そうそうそう。あの機能、おもしろいですよね。一瞬で当時の自分を振り返ることができますから。大抵はキラキラの思い出ばかりなんですが、その10年前の内容がなかなか衝撃的だったというか、仕事中毒の自分がそこにいました。投稿内容は、“今日は早朝取材ということで、すでに新宿着。しかも、原稿締め切りに追われ、3時起き。今日の1日はとてもとても長い…。現場についた時間までは書いていませんが、おそらく7時集合だとして、家を出たのは6時前でしょうね。当時、娘は5歳でしたから保育園に通っていたんですけど、誰に送りを頼んだんでしょう…。さらに、”1日はとてもとても長い”とありますから、自宅に戻るのは22時過ぎていたでしょうね。

―― なかなかのワーカホリックですね。

夏目 “ワーカホリック”…、懐かしい言葉。そもそも朝の3時に起きてる時点で正気の沙汰ではありません。今から10年前だと40歳で、いちばん多忙だった頃。フリーランスってオーバーワークになりがちで、オファーされると全部受けちゃうんですよ。日中は撮影や取材で外に出ているので、原稿は睡眠時間を削って書くしかありませんでした。さらに平日だけだと時間が足りなくて、土日のどちらかは原稿を書いていたと思います。娘は大丈夫だったのかな、さみしい思いをさせていたような気がします。

―― 40歳でその仕事量は大変だったでしょう。からだを壊したりしませんでしたか?

夏目 それが丈夫なんですよ、体調不良で現場に行けなかったことは一度もありません。しかも、とにかく仕事が大好きなので、ストレスも感じないんですよね。どんなに忙しくても、睡眠時間が足りなくても嫌いになれない。子どもとのんびり遊びたいという気持ちもありましたけど、それとはまったく別次元で仕事を大切している自分がいましたから。

―― メルボルンに移住されるまで、ずっとその調子で仕事をされていたんですか?

夏目 コロナになって、仕事に大きな変化がありました。ロックダウン中は仕事が半分以下になり、“そろそろ廃業か……”なんて後ろ向きになっていた時期がありました。撮影もたくさん飛びましたし、大きな仕事もなくなりました。人と会わなくなり、打ち合わせも取材もオンラインになって、仕事量もリズムも180度変わりましたね。私、ものごとポジティブに考えるのが得意なほうなんですが、あの時だけはネガティブになりましたね。“日本のみならず世界が混沌としている状況って何なんだ”って思ってました。そんな時ですよ、海外移住を考えたのは。

【仕事にも人にも追われないことで、生ぬるい生活に】


―― メルボルンでの“時間の使い方”はいかがですか?

夏目 これがホントによくないんですよ、ホントに。生ぬるい人間になってしまいました。日本にいた時は、時間の使い方がうまいほうだったのに、こちらに来てから、ダラダラ過ごしてしまう日も少なくない。7時に起きて8時30分に娘を送り出し、それから1時間ウォーキングして、午前中に2時間程度原稿を書き、ランチ後にまた2、3時間原稿を書いたり、企画や構成を考えています。夕方にはさっと終わらせ、それでNetflixを1~2時間ぐらい見ちゃうんです。10年前の私に比べたら、ミジンコみたいになってしまいました。私は、ホントは早起きして時間を有効活用したいんです。でも、できない……。

―― 何時に起きたいんですか?

夏目 5時です。日本にいた時は早く起きて仕事をしたり、読書をしたり、自分の未来のための投資(当時は英語に取り組んでいました)をしていました。朝ってものすごく集中できるので、日中の倍ぐらい捗るんですよね。しかも、早朝から活動することで、1日のリズムがものすごくいい。午前中には半分以上の作業が終わっているので、午後は比較的ゆっくりと仕事ができるんです。それがわかっているのに、メルボルンではできない。今日も5時に目覚ましセットして、ちゃんと起きたのにベッドから出られませんでした。それはなぜか。”仕事にも人にも追われていない“からですよ。10年前の私は、仕事や子育てに追われていて、時間を確保するために必死で生きていました。でも今は、仕事もそんなにしていないですし、娘も16歳になり、お世話することも少ないですから。

―― いいんじゃないですか。十分がんばってきたんですから、ゆっくりしても。

夏目 移住した当初は、そう思っていたんですよ、“メルボルンにいる時間は人生のご褒美”、“がんばってきた自分、お疲れさま”ってね。でも最近、朝起きられない自分が情けないというか、嫌になっているんですよね。もうひとりの自分が、“おいおい、何で朝起きられないんだよ”、“そんな時間の使い方をして、もったいないと思わないのか”、“やりたいことあるのに、どした?”って説教するんですよ。今の私には、言い返す言葉がありません。私ね、自分のやりたいことや気持ちをずらずら書く“やることリスト”っていうノートがありまして、それにびっしり書いてるんですけど、ぜんぜんできていない。

もう何十年も続けている『やることリスト』。書くことで何をすべきか具体的になり、モチベーションにもなるとか。


―― どんなことを書いているんですか?

夏目 いやいやいや、それは言えませんよ。カタチにもなっていないし、そもそも行動を起こしていませんからね。メルボルンに来て半年が経ちましたから、あと残り2年半でしょ、こんなダラダラ過ごしているなんて、もったいない。このインタビューをきっかけに、自分に喝を入れないと。

ーー “自分に喝を入れる”。夏目さんらしいですね。

夏目 そうそう、たまたまInstagramで見つけたトルソー呉山さんという方にも喝を入れてもらいました。ファッションモデルでもあり、ヨガの先生でもあり、世界を旅している人でもあるという方です。アーカイブにライブ動画があってBGM替わりに何となく聴いていたら、ぐいぐい引き込まれてしまいました。“あと1日しかなかったら、どうしたい? どうありたいかって思う?”、“自分にリマインドして、スイッチを入れなければならない”、“時は同じように過ぎる。自分は何がしたいのか”って。まったく面識ない方なんですけど、すごく救われたというか、気づかせてくれたように思います。動画の中で『Master your Emotion』という本をおすすめされていたので、英語本ですが読んでみようと思っています。

―― では、明日は5時に起きられそうですか?

はい、起きますよ。時間は有限ですからね。自分に向き合える時間があることに感謝して、その特別な時間を有意義に使いたい。私、けっこうがんばれるタイプですから期待してください。有言実行、人生これからですから。

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