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大腸検査 顛末記 第2章

大腸検査顛末記は、前半と後半で終わるはずだったのだが、第2章を書くこととなった。
前回の大腸検査の後、ポリープが2cm程度と少し大きいので入院施設のある病院で取りましょうということになった。そのため、紹介状を持って、とことこと総合病院に行くことになった。
朝8時には受付を済ませたのだが、診察は10時半過ぎ。総合病院は待ち時間が長い。
30代後半くらいの男の先生と挨拶をして、具体的な診療の話を始める。
先生曰く「もう一度、検査をさせていただきたい。」
「えっ?」っと私が心の中で声を出す。
「どういう手術をするか、再度検査して決めたいので、検査をしたいと思います。」
(おいおい、勘弁してくれ。ひっかけて取るか、浮かせて取るかだけの問題じゃないか。どちらも内視鏡でできる手術だろう。どちらでもできるように準備して手術すればいいじゃないか。)と腹の中で思いながら、「検査の時に、手術はできないのですか。」と尋ねる。
彼はそのことには直接答えず、考えられる除去方法を説明しだした。
(まあ、私がどんなことを言っても、医者は方針を変えることはないだろう。)と、また下剤とニフレックを2リットル飲むのかとへきへきしながら聞いていた。
いろいろ言っても前に進まないので、検査日を決めて病院を後にした。

検査日に病院を訪れた。この救急病院では大腸検査専用の場所があって、一日に10人ほどが検査を行うようだ。朝、8時半には病院についたが既に何人か大腸検査の準備を始めていた。
血圧を測り、問診を受けたら、用意された席に並んで15分ごとにニフレックを飲む。並んでいる姿はまるで養鶏場のような光景。15分ごとに200mlの薬剤を飲み、1リットルほど飲み進むと、それぞれがトイレに行きだす。なんとも滑稽な光景だ。
排便の1回目から4回目まではとっとと流して、5回目からトイレの水を流さず看護師に見てもらう。看護士は、患者の便(ほとんど水)の色を見て、検査ができる状況になったかを判断する。
この科に勤務する看護師さんは、毎日この仕事をしているのかと思うと頭が下がる。決して楽しい仕事ではないことは容易に想像がつく。看護師さんたちは嫌な顔一つせず、明るく対応してくれる。僕のような心の狭い人間にできる仕事ではない。博愛の心がなければ笑顔で対応することなどできないだろう。きっと、このような看護師さんの献身的な対応に男は恋心を抱いたりするのだろう。一方で、看護師さんのやさしさにほだされて恋心を抱く男を、「男とは浅はかなものだ。」と見下されるのだろう。
今回、トイレの中をのぞいてくれたのは女性の看護師だった。普段なら恥ずかしいと思うのに、今回は女性でよかったと思った。男の看護師に見られるほうが嫌だ。どのような感情なのか表現が難しいが、男性に見られるほうがきっと辛い。男性の看護師が僕のトイレの中をのぞいて「もう少しですね。頑張りましょう。」と言われるのはちょっと想像できない。

検査は12時過ぎから行われた。
俎板の鯉の面持ちで、ベットに横たわる。
看護師さんたちが、周りでいろいろ話している。「先生は、森山先生に変更ですね。」
???先生が変わったのか?知らんぞ。
寝そべっている私の耳元で、若い女性の声が。
「松尾さーん。担当させていただきます森山です。よろしくお願いします。」
半分お尻を突き出した姿勢で、ベットに寝ている私は、ただ「はい。」ということしかできない。(女性の先生なんだ・・・参ったなあ・・・)この年になっても、恥ずかしさは残っているようだ。
車で来たので、麻酔は使わないで行うことをお願いした。
前回の検査でもなんとかなったから、大丈夫かと思っていたが、今回は苦しかった。腹の中を内視鏡が這いずり回る状態で、内視鏡が通りやすいように看護師が私の腹を抑える。検査の途中ではおなかの中に空気を入れられる。おなかが張っておならはしたくなるのに、得体のしれないものが腹の中を這いずり回る。1時間程度だったのだろうか。苦悩の時間だった。

その後、血液検査とCT検査を行った後に先生との話をして具体的な手術の段取りを決めた。「ポリープが2cm以上あるので、がんの可能性もあるから、内視鏡で引っ掛けて取るのではなく、浮かせて取りましょう。血液検査とCT検査の結果では、癌の反応は出ていません。ただ、芯の部分にあったりしますので、取った後検査して判断します。」
昨年末の健康診断での要検査を受けて、2月に自宅近くの病院で大腸検査を行い、紹介を受け今回2回目の大腸検査を行った。本来なら、今回、簡単な手術のお話しを書いて終わるはずだったけど、残念ながら次回に続くことになった。

手術日は6月26日と決まった。

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