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花見は苦手だが



四月になり閉じていた桜のつぼみが暖かい空気に触れ徐々に開き始めた。

桜が多く植えられている公園があり、用事の帰りにふと寄ってみる。

見頃にはまだ時間がかかりそうだったが、よく見ると枝の先が咲き始めている木があった。

そのまま歩いて通り過ぎようと思った足を止め、先程の道を戻りスマホのカメラを起動して撮ってみる。

桜は好きだが、人混みが苦手で毎年花見の名所へ行くのは避けている。

数年前に大学のサークルの人達と上野で花見をしたことはあるが、人が多すぎたのと場の空気を壊さないようあまり関わりがない人とも会話が途切れないよう謎の気を遣ってしまい、桜の記憶なんて一切残っていない。

この日は暖かかったものの、花見をするにはまだ寂しく、公園に訪れている人は少なかった。

一足先に咲き始めたこの枝が、なんだか人混みを避けて咲いたように思えた。

恐らくこの枝はこの公園の見頃には葉がつき始めているだろう。

人混みが苦手な人もいるように、桜も一緒に咲きたくない子がいるのだろうか。

君とは馬が合うな。

満開の時期はあと少し。

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