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ひとりでいきる

ひとりでいきる覚悟をした。

節目の年を過ぎて子が巣立ち、独り身に戻った。
これからどうするか悩んだ。
少し前まで独身だった人の左の薬指に、いつの間にか指輪が光っているのを見ると、相手が誰であろうと焦りと孤独に飲み込まれるようになっていた。
そのたびに、婚活に時間とお金を注ぐか迷った。お見合いパーティーや結婚紹介所、マッチングアプリで伴侶を見つけ、幸せな家庭を築いている人々も知っている。だから選択肢の一つとして真剣に考えたが、私の出した答えは「ひとりでいきる」だった。

生業も不器用で四苦八苦、執筆や個人的活動も止まり、恋愛だってすっかり遠退いてしまっているのに、なんで小気味良いんだ。
さみしいのに、自由で気ままで、小気味良いんだ。
少し大変な仕事の帰りに、自分の心が晴れ渡っていることに気づいて泣いた。さみしい、以上に圧し殺していた自分の心に気づいた。ひとりでいきてもいい、と自分自身に認めて背中を押してほしかった。

たぶん、子を産むと決めた時と同じ。
色々な罵声や警告を浴びた、同年代の人々と自分を比べて後悔するときもあった。これからも社会的な偏見は消えないだろう。あの時のことを思い出しただけで、これから投げ掛けられる言葉を思うだけで、今から心と身体中が火傷のようにひりひりする。
でも、あの時決めたから助けてくれた人々がいた、出会えた世界があった、間違っていたとは微塵も思っていない。

「ひとりで生きる覚悟」というコラムを読み漁った。
お金のことと、人脈と、仕事のことばかり書いてある。
もうひとつ、ひりひりする心の乗り越え方を探しながら、小雨の夏は過ぎていく。

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