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振り替えると時代になっていた時間

5年ほど前に同人誌に執筆した小説を、ラジオドラマ用に書き直している。
80年後のこの街で、双子が祖母のために小さな冒険に出る話だ。
新型コロナウィルスの感染拡大など想像できないだったが、海の向こうから確実に忍び寄ってきている、そのような時代だった。
作品には賛否両論があった。「今、ここにある時代」ではなく「もしかすると、訪れるかもしれない未来」を描いた作品だったから。

できれば、そうなってほしくない事件も、望みも祈りも描写した。いつか読み返したとき、こたえあわせをしよう、と思っていた。案外、答え合わせの時期は早くにやって来た。それでも、たった5年の時間は、いつの間にか世界をそのとき想像していなかった時代に押し流していた。
次に訪れる5年後のため、物語に祈りを加えようと思う。

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