まどぎわ

まどぎわの隅から紡ぐのは。

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まどぎわの隅から紡ぐのは。

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彼女はいつも気怠いシーシャの香りを纏っていた

水曜の午後3時。この時間に吸うシーシャが一番美味しいんだと、彼女は言う。 僕には全く理解ができなかったけど、毎回午後休を取って会いに来てしまう僕も随分この煙に脳を侵され始めたのかもしれない。 トルコランプの薄明かりと外の陽に照らされる窓際の席。 そこが彼女の特等席だった。 そして決まってミルクティーのシーシャを頼む。 僕はタバコも酒もダメでー 彼女いわくタバコとは違うらしいが、どうにもあの煙を体内に入れることがひどく禁忌的に感じて、ゴポゴポと音を鳴らし吸われる奇妙

    • 別に私は特別なんかじゃなくて、あなたも決して劣っているわけじゃない

      4年生になって友達が黒髪に染めてスーツでゼミに来ても、私は私服で金髪だった。 「会社に属する」自分が想像できなくて、表現することが好きでその道に進もうと思っていたから。 一度だけ、ちょっぴり不安になってキャリアセンターなるものに行ってみたけど、ゴリゴリと就職をすすめられるだけで私には窮屈だった。そりゃあ大学からしたら、行き先不明の切符を手にした学生なんてあまり輩出したくないだろう。 それでも私は、自らの希望する進路にまるでケーキ入刀みたいに大きなナイフで「NO!!」を振

      • 返信も既読も何もいらないからただ好きでいさせてくださいなんていう押し付けがましい迷惑

        ただ、好きだった。 それだけだった。 別れてから2年経った今でも、新しく彼氏が3人できてからも、まだ、好きだった。 辛い時に頼りたくなるのは彼だった。 それが迷惑なのもわかっていた。 でも、それでも、たまにくれる返信に甘えていた。 追い詰められて自殺未遂をした時に家に駆けつけてくれて 何してんだよ、と呆れた声で言った彼に、私は生きる活力をもらった。 そのあとに入った独房のような精神病棟で、彼の顔、声、温もりだけが支えだった。 馬鹿でしょう。 でもそれだけ、

      彼女はいつも気怠いシーシャの香りを纏っていた

      • 別に私は特別なんかじゃなくて、あなたも決して劣っているわけじゃない

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