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本の事。

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大事な事はいつもこの中にある。 随分前に書いた物も改めて記録。 読みたくなる本に出会ってもらえたら嬉しいな。
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#読書感想文

仮面は、ないよりあった方がイイ。

道尾さんの本は、ハラハラドキドキしながら、頭の中が物語でいっぱいになる事が多いんですけど、、、、 今回はちょっと違った。 『笑うハーレキン』 家も家族も仕事もすべて失いホームレス生活をする家具職人のお話。 『道化師に涙マークを書いたらピエロになる。』 気になって、道化師やクラウンやピエロ、ジョーカーについて、調べてしまった。 ピエロの涙マークの意味を知ったら愉快に笑えなくなってしまう。。。 みんな生きる為、忘れたい記憶に蓋をして、素顔を隠し生きている。 程度の差はあ

温かさは、あたりまえの会話にある

『西の魔女が死んだ』 屋根裏部屋がある三角屋根の小さなお家。 サンルームの1畳程のおばあちゃんの台所。 摘みたてのミントティー。 ルビーのような野いちごの絨毯。 ラベンダーの香りが広がる庭には足踏みタライで洗ったシーツがキラキラとした空気に包まれている。 植物の匂いだとか、ジャムの味、おばあちゃんの言葉の優しさだとか、行動が、本物に触れてるように感じ心を軽く柔らかくしてくれました。 『おばあちゃん、大好き』 『アイ ノウ』 こんな、包容力と安心感ある返事。。。 暖かく

本が与えてくれるもの。

書評集-小泉今日子- 2005年から2014年の10年間、読売新聞の書評欄に掲載された小泉今日子さんの書評97編を一冊の本にまとめたものですが、、、 . 前掲の文章の結びに 『、、、、読み返すとその時々の悩みや不安や関心を露呈してしまっているようで少し恥ずかしい。でも、生きることは恥ずかしいことなのだ。私は今日も元気に生きている。』 と、あります。 書評だけでなく、ちゃんと感情移入したキョンキョンの言葉もそこに綴られてあって、その文章が綺麗で切なくて、、、でも、妙に

女は自分の立ち位置に共感を求める

『永遠の途中』 対照的な人生を歩む、2人の女性の27歳から60歳になるまでの生き方を描いた話。 『いつの時代も、女は迷いながら生きている。揺れながら不安に包まれながら、それでも自分にふさわしい生き方を選びたいと必死に考えている。』(乃梨子の思い。) 今まで、女性向けの小説の類はほとんど読んでこなくて、、、 お勧めしてもらって読んだ唯川恵さん。 この人は、いったい、どんな人生を歩んできたんだろう。 なんでこんなに、女性の気持ちが代弁できるんだろ。 自分にすらわからな