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本の事。

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大事な事はいつもこの中にある。 随分前に書いた物も改めて記録。 読みたくなる本に出会ってもらえたら嬉しいな。
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#本

異端児はやっぱり魅力的。

著者 又吉直樹。芥川賞受賞。ベストセラー。 『火花』 すごく、まっすぐで情熱的で異端な先輩芸人 神谷さん。だから、お笑いのこと以外の事が不器用すぎて切ないんですね。 その不器用で切ない部分をすべて汲む感受性が強い後輩芸人の徳永君もまた、神谷さんの事を師と仰ぎ大好きでお笑いに一生懸命なんですね。 会話と会話の間に呟く一言や、もどかしい心の声。 お互いの葛藤が繊細に描かれていて、トコトン人間くさくてイイ。 そういう、心情や苦悩が垣間見れて、どうにも切なく、会話レベルが関西人らし

仮面は、ないよりあった方がイイ。

道尾さんの本は、ハラハラドキドキしながら、頭の中が物語でいっぱいになる事が多いんですけど、、、、 今回はちょっと違った。 『笑うハーレキン』 家も家族も仕事もすべて失いホームレス生活をする家具職人のお話。 『道化師に涙マークを書いたらピエロになる。』 気になって、道化師やクラウンやピエロ、ジョーカーについて、調べてしまった。 ピエロの涙マークの意味を知ったら愉快に笑えなくなってしまう。。。 みんな生きる為、忘れたい記憶に蓋をして、素顔を隠し生きている。 程度の差はあ

『〇〇バカ』は魅力的

【ボックス】 百田さんの書く本は、その内容の専門性にいつも圧感してしまいます。 その分野を職業として生きていけるじゃないかって言うぐらい詳しく、 読んでるこっち側は、その専門用語の意味を調べるのに必死だったり。。 だからこそ、物語の中に深く入り込めてしまうのですが、、、 物語は地下鉄御堂筋沿線。 大阪人としては、リアルな舞台。 ゆう(木樽)ちゃんの真面目にコツコツと確実に仕上げる努力と観察力も凄い尊敬と憧れですが、カブちゃん(鏑矢)の真っ直ぐで無邪気なボクシングバカな

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

多崎つくるは、高校時代に信頼を築き上げた大切な4人の友人から大学に入り突然、絶交を言い渡された。 突然の宣告に彼は深く傷付き、なぜ拒絶されたのかを確かめられないまま、年月だけが過ぎていく。 それでも、心の傷を隠して自分なりの人生を全うしてきたつくるだったが、36歳になったつくるは、ある女性と出会ったことで、固く閉ざした過去の蓋を開けることを決意したのだった_。 私、村上春樹さんの小説は、実は読んだことがなくて、、、 ただ、興味が惹かれたタイトルと“ハルキスト”と呼ばれる理由