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「過去、他人に言われてショックのあまり走馬灯をみたセリフ第24位」発表会

突然だが、「過去、他人に言われて走馬灯をみたセリフ第24位」をここで発表させていただきたい。

栄えある24位!

「女って、無駄に季節のイベント好きだよね(笑)」


これはいまから3年前に、同僚の28歳(当時25歳)に言われたセリフだが、いまでもあの、目の奥が眩むほどのショックを忘れられないでいる。私がどれほど衝撃的だったか?

そう、その一言を聞いた瞬間、

凄まじい情報量で、私の脳裏にそいつの半生が駆け抜けるほどだった。


中学生、高校生、大学生。無条件に同年代の学友と毎日を過ごす10年間。その間、彼ももれなく、10回の春夏秋冬を経験したに違いないはずだった。

彼は、イルミネーションを見にいったことが無いに違いない。「寒い」とか言って友人と、初詣も初日の出も行かない。成人式は不参加。こたつに引きこもり、バレンタインはもちろん気付かないふりをする。花火大会も、海水浴も、夏祭りも、市民プールも、「人がたくさんいるところなんてダルイ」とか言って、幼少期に親に連れられたとき以降、それらには足を踏み入れたことが無い。「虫が嫌だ」と山にはいかず、「筋肉痛になる」と言ってスポーツをしない。「半年もすればタダで観れる」と映画は地上波で観る。自身の誕生日は「シフトの方が大事だし」とか言って、バイトをフルで入れる。インスタに、観光地のおしゃれカフェの写真を投稿する女子たちを「タピオカに長蛇の列(笑)こんなのドトールで飲めば並ばないし半額だけど」と小馬鹿にする。

そんな彼に、私は言いたい。

思わず、宮沢賢治の有名な一節のオマージュになった。

やさしい画面の奥のあなたは「オイオイ言ってやるな」、と止めるかもしれない。しかし止めてくれるな。「女って、無駄に季節のイベント好きだよね(笑)」と先に挑発してきたのはそいつである。ここでは、敢えて応戦させていただきたい。覚悟しろ。

他人を楽しませる口実なんだわ。イベントの存在って。

お前が「女って」といった「女」の代表格を教えてやろう。母ちゃんだろ?

対して知りもしないやつが語る「女」なんて全部お前の母ちゃんなんだわ。これは鉄則。鋼のルール。

さて、それ前提で話を進めるぞ。鋼のルールだから。そのお前の母ちゃんが、イベントごとを張り切ってやってたのは、お前の喜ぶ顔を見るためだ。わかるか?そうだ。まさか母ちゃんも、お前がいつまでたっても「一緒に思い出をつくる誰か」を見つけず、「そいつを喜ばせるための企画をしたい」と思うことなく、10年間も無駄に「永遠のお子様ポジション」でいるとは夢にも思ってもいなかっただろうよ。

母ちゃんはお前に、見習うべき背中を見せてきたんだわ。

それを、「女って、無駄に季節のイベント好きだよね(笑)」???

はぁ??

お前が言う「女って」の女に、お前はイベントを誘われたのか?行ったか?女は楽しんでいたか?

負け惜しみを言うんじゃないよ。仮に本当にお前が言うように、「イベントが好き」だったら、ともに過ごす相手はお前でもいいはずだった。ただただ、その発言によって、気付いてないのはお前だけだということが露呈しただけだぞ。恥ずかしいやつだぞ。そういうところだぞ。お前。

私が見た走馬灯はすべて私の妄想だが、実際の彼の半生も、そう遠くないのではないかと日々、確信を強くしている。なぜなら、彼がいまもする週末のエピソードトークには、登場人物が父親と母親しか出てこないから。

では3年前、このセリフを言われた私は、上記のようなことを滔々と説いたのかと言えば、そうではない。

2歳年上の先輩として、全力でただ、ヘラヘラすることに徹した。

私だって、いまも隣のデスクで仕事をする同僚に嫌われるリスクをとるほど馬鹿じゃない。当たり前だが現実ではこんなこと言わない。

この記事を読んだ方も、決してマネせずヘラヘラ流すことにしようよ。「他人を楽しませる口実なんだわ。イベントの存在って。」だなんて大仰に説教なんぞ始めてみろ。「無意味な会話も、ただのキャッチボール。コミュニケーションなんだわ。」と逆にこちらが空気が読めずに雑談を楽しめないヤツだと認定されてしまうかもしれない。そんな危うさを孕んでいるではないか。これではミイラ取りがミイラになっている。しかしそこにはミイラのような歴史的発見成果があるわけでは決して無いので、マウント取りがマウント取り返されている、くらいに言いなおそう。

そもそも日常会話で相手を論破しようとする姿勢が相応しくない。

投げられたボールごと延長線上の相手の肩を切り落とそうと狙ってくる抜刀斎なんぞ、少年漫画の主人公だけで十分なのである。漫画と日常生活を混同してはいけない。それが大人ってもんよ。

だからあくまで心の中にとどめておく。

同僚のたった一言で、ここまで妄想の走馬灯を走らせることのできる私に感心してもらえているかもしれない。

しかし、察しのいいひとならすでに分かっているだろうね。なにせ、現実で発露できない代わりに私の心は鍛えられてしまった。こういうことが、あと少なくともベスト23位まではあるんだわ。乞うご期待って感じ。






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