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そんなに急いで何処へゆく

2024年もはや2月に入った

年が明けてからしばらく経って、少し身体が動くような気になってきた
思えば去年はすっかり休憩の一年になった
もがけばもがくほど上手くいかなかった
いったんすべてを諦めストップすることでどうにか体調を維持することが出来た

役所勤めを辞めてもうすぐ7年になる
よくここまで生き延びてきたと思う
いくつかの出会いと助言がなかったら死んでいたかも知れない

組織で働くことを筆頭に、コントのように向いていないことばかり選択してきた
まずは持ち家と結婚生活を放棄し、身軽に生きていこうとしたが、そんな程度では終わらず、心身の状況は悪化するばかりだった

とどめは公務員という立場を維持するために手を出した心療内科通い
向いていない仕事のストレスと、一時期すっかり深みにはまった薬のダメージは思った以上に大きかった

約2年の休職を経た後に安定の公務員生活を諦め、
そこから自分では随分色々と手放し、自分を解放したつもりでいた

心療内科の薬を漢方薬に置き換えたのも7年前の今頃だった
施術を習った師匠からは、薬の影響から完全に抜けるには7年かかると聞いていた
その言葉を頭の片隅に置いてはいたが、ほんとうにがっつり7年かかるとは思っていなかった
置き換えた漢方とて薬には違いないので、正確にはもう少し時間はかかるのだろう

その間、何度となく世間で言うところの社会復帰を試みたが、全て中途半端に終わった
自分の中では既に出遅れているという感覚がこの7年間、ずっと頭の中にあった
決して遅れてなんかいない、むしろ順調に来ているぐらいですよ、という助言を受けたこともあったが、それを自分の中心に据える勇気が持てなかった
振り返れば、休むも進むも、全てが中途半端になっていた

何となくよさげな部分だけSNSに貼り付けて共感を得ようとする、お茶の濁し方まで中途半端であった

去年の半ばには最後のより所だった珈琲まで、飲むと眠れなくなった
喫茶通いが出来なくなり、いよいよ自分の中心と向き合わざるを得なくなった
それでも完全に自分が求めている休み方が出来たのか、今もって確証は持てない
それほどまでに、これまで強固な社会通念をよすがに生きてきたということなのだろう

そんな自分をも受け入れて、自分で機嫌を取りながら、これからも生きていくことになるのだろう

とにもかくにも7年経った
すぐにしゃしゃり出る自我をよしよしとなだめながら、次の展開を模索していこうと今は思っている

そんな矢先、しばらく会っていなかった友人が亡くなったと連絡を受けた
仮にAさんとしておこう

Aさんとはとある勉強会で一緒に学んだ仲間であり先輩であった
そのご縁で仲良くしてもらったが、最近はAさんの事業がますます忙しく、なかなか会えるタイミングがなかった
一昨年の年末に、Aさんの繁忙期が落ち着いたら食事に行こうと約束したまま、果たせずじまいとなってしまった

半年ほど前からAさんのSNS更新が途絶えているのが気になってはいた
それまではマメに業務の進捗状況や、オフの様子がアップされていた
しばらくは、SNSにも手が回らないぐらい忙しいのなら、それはそれで結構なことだと思っていた
自分自身の体調が低調だったこともあり、あまり他人の動向を深く考える余裕はなかった
こちらから連絡して約束を催促する感じになるのも嫌だったし、約束しようにも自分にあまり人と会う元気がなかった

しかし今年に入り、いくら何でもおかしいと思い、メッセージを送っても既読が付かないので、つてを頼って情報を得ようとしていた矢先のことであった

人づてに聞いた話では、SNSが途絶えた頃には既に面会謝絶状態だったようだ

Aさんとお互い元気にやり取りしていた頃、僕は施術の仕事で身を立てようとしていた
Aさんにも何度か施術させてもらった事があった
その時に、以前大きな病気で手術を受けたことを聞いた

「一度死んだようなもんやから」と話していたAさん、無理がきかない身体であったことはご自身がよく分かっていただろう
一方、今の仕事が天職だとも話していたAさんにとって、多くの人の役に立てていたことは大きな喜びであったに違いない
SNS上にはキラキラしたAさんの姿が今も残っている

直前までバリバリ動いていたのなら、それは本望だったのかも知れない
でも、こんなに早く人生を卒業する予定ではなかっただろう

早い遅いは外から見た自分が勝手に決めていることで、Aさんはその人生を予定どおりに全うしただけなのかも知れない
それでもあえて言う。
ポジティブな面ばかりを賛美するのも、人の役に立つことばかりをもてはやすのも、ほどほどにしておかないと、時に思わぬリスクを伴うのだということを。

Aさんは単に死ぬまで生きた、それだけなのかも知れない
それでもあえて言う。
死んでしまったらそれで終わり。
生きてさえいれば、まだ何とかなるのだ。

今回ばかりは声を大にして言いたい
「もっとワシを見習え」と(涙

明るい話題に水を差す勇気を、僕は持ち続けていたい。

そんなに急いで、何かを成さねばなりませんか?
それ、身体の警告を無視してまで、やらねばならん事ですか?
何も成さずとも、死ぬまで生きるだけ、とは思えませんか?

一切世間様のお役に立っていない、生きた見本がここにいるぞ
どいつもこいつも、自分の気持ちに蓋をして、自分の事をないがしろにして、後回しにしてばかり。
もっとワシを見習え(涙

#安らかに
#水を差す勇気
#生きていれば何とかなる

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