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心の地雷をシェアしよう

日曜日ののどかな昼下がり。おおよそ20代前半ばかりだろうという客層のとってもお洒落で落ち着いたカフェで、彼氏とお茶してて、キャリアの話になった。そして彼氏は言った。

「いや、そのキャリアは今の歳からは無理だよ。」

別に「絶対にこれをやりたいの」という話ではなくて、「自分に向いていることや好きなことを考えたら、こういう方向転換もあるかなあと思った」と私が口にした瞬間に言った。

これだからトラディショナルアジアンボーイはよお、と言いたい気持ち、昔会社を辞める時に上司に言われた「そんな若さで何ができる。社会は甘くないぞ」という言葉、昔の彼氏も私が海外に出ると言った時に「何もないくせに、お前は人生をナメてる。」と言ったな、そんなことがぐるぐると頭を巡って、言葉が出なくなってしまった。

「You hurt my heart」なんてダジャレっぽく冗談めかして言おうかと思ったが、自分の誤飲とRの発音が壊滅的でわかってもらえないだろうと思ってやめた。前に書いた記事ですぐに反撃できるようになったと言ったけど、いまいちうまくいかなかった。それで、言葉の代わりになぜか涙が出てしまって、パソコンを開いて、すぐに下書きにおいておいた昨日の記事に追記して公開した。(その間彼氏は、私がなぜ泣いてるかもわからずオロオロしていた。)

文字にしてみたら落ち着いて、「これは自分の地雷だ」と理解した。年齢について。自分の可能性を外的要因で諦めさせられることについて。

多分、いくつか、自分の心の琴線に強く触れるものがある。それを言われると、いきなり上からバケツの水をかけられたり、心臓を鷲掴みにされてググッと握りつぶされるような、そんな気持ちになる。今noteを書くことによって解き明かしている途中だけど、多分5つくらいはある。

人は誰しも心の中に地雷を持っている。地雷を持っているはずなのだ。だってみんな一生懸命生きてきているから、一つや二つくらい、許せない事がある。

年齢。ジェンダー。ルッキズム。

これが私の心の中にある、割と大きくて威力が強い地雷だ。
評価をされたくない。勝手に評価されて「君にはできないよ」と言われたくない。まだやってもいないのに、何がわかる。

思いがけず地雷を認識した。もう私も少しずつ自分を解き明かしてきているので、今までと違うアプローチを試みた。それが地雷のシェアである。Land Mines Share。物騒な字面である。

「私はそのトピックに関して、そういうことを言われる事が嫌いだ。これは私の地雷であるし、あなたの言い方で私は嫌な気持ちになった。今から私の地雷を全部発表します!よく聞け!!」

意外にも彼はすんなりと受け入れた。私が今まで日本で嫌だった事を何度も何度も話していた土台もあるかもしれない。

「僕は人の気持ちを考えるのが苦手だから」とシュンとしていた。そして私は彼にも彼の地雷をシェアするように伝えた。彼の地雷もとても伝統的な価値観に基づいたもので、状況を知っているだけに、ああ彼も苦しんでいるのだと知る事ができた。自分も知らないうちに踏み抜いたものがあった。

今までなぜこの対話をやってこなかったのだろうか。なぜ地雷を踏み抜かれても自分の心の中だけで修復を試みていたのだろう?実際には痛みを麻痺させていただけで、立ち上がることすらできていなかったというのに。

地雷を踏み抜かれてボロボロになってしまったら、誰かの力を借りて修復して歩けるようになる方がいい。義足や車椅子を使ってもいい。

欲を言えば、一緒に、そっと地雷を除去してくれる人と出会えたらいい。

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