超短編『密会』。。。🥺💘
明日いつもの場所で… と。
あの人から2ヶ月ぶりのメールが届いた。
透子は朝からソワソワと落ち着かず、何も手に付かなかった。
ただそんな自分の様子を夫には悟られないように、深呼吸をして出来るだけ冷静さを保った。
その日、夫は飲み会とやらで帰りが遅くなるという。
こんな好都合なことはない。
夫を定時で送り出した透子は家事を簡単に済ませ、あの人に逢う為にゆっくりお風呂🛀に入り、念入りに身体を磨いた。
まだ10時。
約束の時間までにはまだかなり時間あったのでネールサロンの予約を一週間早めてサロンに出掛けた。
これで十全十美。完璧だわとひとり呟いた。
時計の針が1時を回ろうとしていたので、足早に待ち合わせの駅へと急いだ。
透子は元々フライトアテンダントをしていただけあって、決して美人ではないがスレンダーで長身。どことなく古風な面立ちながらも秘めた華やかさがあった。
そんな透子ももうじき50。
子供がいないせいか、年齢よりは遥かに若く見えた。
あの人の関係ももう6年。
もう潮時と思いつつも、断ち切れずズルズルと続いていた。
あの人は透子より5歳年下。
偶然に東京行きの新幹線で隣り合わせになり、
その2日後にも、
またも偶然に都内のある有名ホテルのバーラウンジでばったり再会。
あの人は会社の接待だったらしいのだけど相手先のドタキャンに遭い、帰ろうとしているところに出くわし、一緒にお酒を飲んだのがきっかけだった。
それから間もなくあの人は東京本社から大阪の支社に栄転の単身赴任。
普段は人目に付くので大阪で会うことはほとんどしかなった。
あの人との逢瀬はいつも月に一度の東京本社への呼び出しの時に限っていた。
呼び出しがなければ、月が飛ぶこともしばしばあった。
今回は2ヶ月ぶり。
透子が念入りにめかし込んだのもそのためだ。。。
待ち合わせの時間は新大阪駅13時57分発の東京行き「のぞみ228号」4号車指定前列5列目の席と決まっていた。事前にあの人が指定席を用意してくれた。
程なくしてあの人は乗り込んできて二人の視線は一瞬絡み、全く見知らぬ者のふりをして透子の席の横に座った。
その日は平日ということもあり、思いの外、車内は空いている。なんとなく安堵の気持ち。
誰か知ってる人にあったらと思うと落ち着かないが今日は空いていて心なしか安堵した。
普段なら目的地まで語らないあの人が珍しく口を開き、とりとめのない会話を交わした。それは恋い焦がれたふた月ぶりの再会。
あの人は私に視線を移し、そっとわたしの右手を強く握りしめた。
その瞬間、たったそれだけの行為なのに私は身体を交わす以上に身体の中心までも震える些細な快感を覚えた。
流れる車窓の景色に目を止めることもなく、あっという間の名古屋到着。
『まもなく、名古屋~、名古屋です。』というアナウンスに私たちは席を立ち、あの人が用意した名古屋駅に程近いホテルへと私たちは急いだ。。
後は想像のままに💏。。🥺💘
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