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言葉を伝えるということ

フランス人の仲の良い友人だけに限定していますが、翻訳などのお手伝いをしています。そんな素人の私ではありますが、自身の知識の豊かさが試されると言葉を訳し伝えることには日常的にもかなり敏感でいます。


コロナ禍でまだアクリルのパーテーションがある時期、雰囲気の良いうどん屋さんでお品書きの中の食べてみたいものを好きなだけオーダーし、お酒から〆のうどんまでどれもとっても美味しくいただいていました。

店内中央に設けられた大きな長方形の木のテーブルは、6分割するようにアクリルで仕切られていて、私達は窓の外に広がる中庭を一望できる中央の席に腰掛けていました。

しばらくすると、目の前に女性2人組が。
向かって左側は60代くらいの日本人女性、右側は50代くらいの英語を話される欧米人でどうやら通訳とクライアントと行ったご関係のようでした。

欧米の女性は私たちの前に並べられた料理に夢中で、給仕されるたびにお連れの女性に「あれは何ですか?」と質問を繰り返します。
ちょうど熱々のだし巻き卵に箸をつけようとした時、やはり興味津々に尋ねています。
耳を澄ますと、日本人女性は「オムレット」と一言で返したのです。
聞こえた瞬間、私は心の中で(ないない!)とツッコミを入れていました。
もちろん彼女たちの会話が盛り上がることはなく・・・
目の前には高く聳えるアクリル板で妨げられていなければ「食べてみませんか?」と声をかけたいくらいでしたが、諦めました。

私なら、その作り方や和名、食べ方などを説明し、時間や費用など問題がなければ、オーダーし試していただきたいところです。

先日、通訳を生業とするおふたりにこの「オムレット事件」をどう思われるか質問してみました。
Aさんは、国による。フランス人だったら細かく説明するが、アメリカ人やドイツ人だったら説明しない。なぜなら食に興味がないから。と。

Bさんは、事細かに説明し理解してもらう。と仰られました。

なるほど!とAさんのご意見に一度は納得してフランス人だって皆んなが食に興味があるわけではない。アメリカ人だってグルメな人はいる。私がもし通訳をお願いして、興味ない人の枠に分類されて教えてもらえないとしたら悲しい。

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